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8.ドミノ倒し(貫井徳郎)

【ドミノたおし】

「しりとり読書日記」のためだけに新品の本を購入したのはこれが初めてです。今までは元々所持していた新品本、またはブックオフの中古本、図書館本をしりとりに利用していました。

 帯には「連鎖する未解決事件と衝撃の真実」とあります。そして作者は貫井徳郎。ここまででこれはきっとかなり重々しい話なのだろうな、と予想し、ページを開いたところでまさかのノリの軽さ、ユーモアミステリーという驚き。


 視点は私立探偵である十村(とむら)の一人称。


 さて、内容について書きたいところですが……。まず、良い点。それは文章が大変読み易いところ。そしてそれが最大の美点であることは、つい「オイオイオイ」と声が出そうなオチからも明らか。いえ、本当のことを言うと、ストーリーの中盤から「あれっなんだこれ」という薄ぼんやりとした不安を覚えてはいたのですが……電車の中や待合室で切れ切れに読んで、その度に読み易い文章だもんだから、特に文句もなく読めてしまうのでストレスもなく。文章が綺麗な人はそれだけで随分得をしていることになりますね。間違いなく単行本2013年刊行でこのネタ、この出来ってマズイはずなのに、「でも読めはするからなぁ」となんとなく許す気持ちが湧き上がってくるのが不思議なところ。

 もう一つ学ぶべきは、こんなちゃらんぽらんにも思えるユーモアミステリーでも、人物背景(特に職業)をそれなりにしっかり書き込んでいるから、素人小説とはやっぱり一線を画しているかな……というところ。いや、絶対これより面白いネット小説もいくらでもあると思うのですが、商業として成り立つってのはこういう細部をさらりと書けてしまうところなのだろうな……と思いました。正直羨ましいですね。人物背景って、ミステリーの根幹みたいなところがあるから。それさえ書ければ何でも書けるんじゃないか……と社会経験のまだまだ未熟な私は思ってドツボに嵌ってしまうのです。


 大体、連鎖する未解決事件も連鎖のショボさにはビックリだし、ドミノ倒し感ゼロなのに「まるでドミノ倒しのようだ」と言われても、全然しっくりこない。似たようなタイトルの「ドミノ」(恩田陸)のように、一つのアクションが次の人に影響してそれを繰り返し……というのを想像すると全く違います。「てか何でドミノ倒し?」ってくらいにこじつけに感じます。ショボくて。このタイトル、最初から念頭にあったのかなぁ。p.137で「ドミノ倒しのようだ」って言葉が出てくるのですが、作者がこの事件の構図をドミノ倒しのように感じていたなら、私とは大分感覚が違うんだろうなぁ、と思います。


 さて、この本の単行本の表紙をどこかで見たことがあるなぁ、と思ったら、Amazonレビューでボロクソに言われていたので印象に残っていたのですね。ちょっと笑ってしまうぐらいだったと記憶しています。それを数年後、満を持して(?)書店で選んでしまったとは(笑)。人間の深層意識とは侮れないものです。自分で選んでいるようでいて、誰かに選ばされているのかもしれない。この「☆しりとり読書日記(日本編)☆」が結局なんだかんだいつも読む人見たことのある名前が並んでいることに若干の危機感を覚えつつ、やっぱり次回も知っている人なんだよなぁ……。でも重い内容の方に舵を切るつもりなので!

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