ピエロ
忙しい日常の中で自分がわからなくなったとき。
ありふれた幸せ飾っていた
棚上げされた不安の渦で
自分の愚かさを知っていた
だから笑った
明るく笑った
自分を飾って欺いた
雛人形が嫌いだった
飾られて
めかされて
まるで現実を映すもの
鏡の世界でもがいていた
本当の私がもがいていた
けれども私は本当は知らない
本当の私の姿を知らない
ピエロは笑った
まるで綺麗に楽しげだった
夢を送ると意気込んで
自分を忘れてお道化てた
そのうちピエロは“ピエロ”になった
お道化た自分が独り歩き
本当の自分が嘆いても
本当の自分をすっかり忘れて
笑って生きることしかできなくなった
あんた踊らされてるんだぜ
誰かがピエロに囁いた
一体どうしてそんなこと
お前になんかわかるんだ
思ったけど
怒ったけど
結局笑った自分に気づいた
怒った自分はどこにいる
お道化を知らないピエロはどこ
笑って踊ってごまかした
そんな思いすらごまかした
ピエロの顔した本当の“ピエロ”が
ついに自分を乗っ取って
本当のピエロを消していた
夢を送るとピエロは笑う
今日もどこかでピエロは笑う
お道化た仕草に笑いを乗せて
届けた夢は一体何だ
自分を偽るピエロは笑う
笑いながらも泣いている
本当の自分は一体何だと
今日もさまよい静かに笑う
どこかで落とした
自分を探して
鏡を覗いてみたりする
ありふれた幸せ飾っていた
棚上げされた現実の中で
自分の愚かさ測っていた
そして笑って夢をつくっていた
そうして自分を欺いて
誰かの為だと偽った
自分の夢を描くのが
本当は何より怖かった
不安の渦に飲み込まれ
見つけた光にすがっていた
お道化たピエロの見つけた光は
何かに反射した鏡だった
偽り世界に仮面をかぶって
誰かを誘う夢を与えて
笑うピエロは今日も踊る
鏡の向こうの自分を忘れて
ありふれた幸せ着飾って
笑うピエロは今日もお道化る