第六話
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土曜日、私は姿見の前に立って服装のチェックをしていた。
今日はついに三人で話し合う日が来たわね……。
そう思いながらクローバー型のペンダントを軽く整える。
「西園寺さんとお揃いのペンダント……」
ふとそんな言葉が口から出てしまった。
何言ってんのよ! 今日は純の本当の気持ちを西園寺さんに知らせるために会うの。そして私は二人のサポートをする! それで終わりじゃない? 違う?
その時、一人だけしかいない私の頭の中の悪魔がこんなことを囁いた。
『今日のイベントは西園寺エリカに告白するためでもあるだろう?』
「十分前に着けばいいわよね」
駅前に十時に集合。そしてどこか適当にブラブラ歩いた後、喫茶店に入りお茶を飲み、最後に公園に寄ってあの話を切り出す。今日はこういうプランになっている。
家から出て歩いて約十分後、駅が見えてきた。するとなんとすでに西園寺さんがいるではないか?!
西園寺さん、いつから来てたんだろ?
そう思いながらも私は西園寺さんのもとへと駆け寄った。
「あっ、西園寺さんお待たせ!」
あ、またいつもの癖が出てしまった! もうそんな自分が嫌い……。
「おはよう、寺田さん」
西園寺さんがニコリを笑みを浮かべながら挨拶をしてくれた。私も挨拶を返す。
「おはよう、西園寺さん!」
その時、西園寺さんの胸にキラリと光り輝くものが目に入った。
あのネックレス、私がプレゼントしたもの……。
途端にうれしくなる私。思わずジャンプしたくなった。その飛び跳ねそうな勢いの喜びを私は必死で抑える。すると西園寺さん、まだ純が来ていないのにもかかわらず体を駅のほうへと向ける。
「じゃぁ、おいしいクレープを食べに行きましょうか」
その言葉に「え?」と頭に疑問符を浮かべる私。
「あれ? 純は待たなくてもいいの?」
すると西園寺さんは残念そうな顔色を浮かべこう言ってきた。
「あぁ、星野君は今日、急用ができてこれなくなったんだよね……」
私もその言葉を聞いて西園寺さんの同じ表情を浮かべてしまう。
「そっか……。まぁでも仕方がないよね。ってことは今日は西園寺さんと二人っきり……親交を深められるチャンスだわ……。ねぇ、今日は二人で楽しいガールズトークをしましょうね!」
私の頭の中の悪魔の声がつい口から漏れてしまった! ヤバイ! と思ったのだが、西園寺さんは一瞬訝しげな表情を浮かべるも笑顔で答えてくれた。
「うん、そうね」
私たちは改札を通り、ホームへと向かう。私は西園寺さんの脚を気遣ってエレベーターの方へと歩みを向けたのだが、本人はお構いなしにさっさと階段の方へ向かう。そんな彼女のもとに駆け寄り、「西園寺さん、エレベーター、使わないの?」と言ったのだが本人は、「別にエレベーターに乗るほどの段数じゃないから平気」と言ってスタスタと階段を上がり始めた。
私は緊張の面持ちになりながらも思い切ってガールズトークを彼女にしてみる。
「西園寺さんがお勧めするクレープ屋さんのクレープって普通のクレープとは違うの? ほらずっと前にも西園寺さん、おいしいクレープ屋さんを見つけたから一緒に食べないか? って誘ってくれたでしょ? でも事故があって……まぁ結局行くことができなかったけれど……あっ、もしかして今日はそのクレープ屋さんに行くの?」
「ま、まぁね……」
「やっぱり♪ どんなクレープなのかなぁ?」
「えぇっと……し、新感覚のクレープだよ」
わ、私、西園寺さんとちゃんとガールズトークできてる! う、嬉しい……。
私は頬を赤く染めながら彼女ともっと話したい思いを胸にクレープの話を続けてみた。
「私クレープ大好きだから、西園寺さんがおいしいクレープ屋さんに連れて行ってくれるって聞いたときは本当にうれしかったんだよ! あぁ~、これから楽しみだなぁ♪ 今度は絶対にそのクレープ食べたいし!」
「そ、そう。楽しみにしててね」
クレープの話に花を咲かせているといつの間にやら駅のホームへと着いていた私たち。私はこの雰囲気が楽しくて仕方がなかった。
なんか今の私のテンションだとこのまま勢いで「好きです!」とか言っちゃいそう! でも早まっちゃだめだよね……。嫌われるの怖いし……。でも……
そう思い西園寺さんの顔をちらりと見る。ん? 西園寺さん……? 私は心配になって彼女に聞いてみた。
「どうしたの? 西園寺さん。汗、すごくかいてない?」
「え、えぇ、大丈夫よ」
しかしそんなことを言う西園寺さんの目の焦点が定まっていなかった。あまりしつこく心配してもウザいと思われそうだったので当たり障りのない言葉を彼女にかけた。
「ならいいけど……もし具合が悪かったら遠慮せずに言ってね」
すると西園寺さんは薄い笑みを浮かべてコクリと頷く。数秒の沈黙が続いた。その間にチラリと腕時計を見てみる。
電車が来るまであと二分か……。
何か話しかけた方がいいと思い、彼女の趣味を聞いてみることにした。
「あっ、そうそう、西園寺さんの趣味って聞いてもいい?」
「……おしゃれをすることかな……」
「わー! 西園寺さんらしい! いつも素敵な物を身に着けて学校に来てるもんね。あっ、じゃぁクレープ食べたら、一緒に服とかアクセサリーとか見て回ろうよ!」
すると西園寺さんはまたもや薄い笑みを浮かべて「そうね」とか小さい声で答えた。その直後なぜか彼女は不安げな面持ちで呼吸を整え始めた。大きく息を吸い込みそして思い切り吐く。これを二回繰り返していた。
「西園寺さん、どうしたの? もしかして息苦しい?」
「ううん。大丈夫。心配してくれてありがとう」
この様子……もしかして西園寺さん、緊張してるのかな? でもなんで……? ま、まさか、彼女も私のことが?? い、いやそんなはずはない……。西園寺さんが好きなのは純なんだから……。でももしかしたら西園寺さんにも何か不思議なことが身に起きたとすれば……。例えば純が言ってたように、なぜだかわからないけど一時的に無性に告白したくなってしまうような心理状態になっていたりして……。
すると私の頭の中の悪魔が私にこんな言葉を囁いてきた。
『これをうまく利用すれば、西園寺エリカと付き合うことができる!』
もう私の頭は悪魔に占領されていた。
い、言わなきゃ……。今がチャンスじゃない……。もう電車が来る? あぁ、こんなタイミングで! でも彼女に言わないと、ここで彼女に言わないともう一生言えない気がする! そして――――
「西園寺さん! 私、西園寺さんのことが好き!」
続く
こんにちは、はしたかミルヒです!
第六話を読んでくださりどうもありがとうございます!
人生で初めてピニャコラーダというカクテルを飲みました。あれ、めっちゃおいしいですね! お酒があまり好きじゃない私でもおいしく飲めました!
今まで知らなくて損してた……(+o+) まだ飲んだことのない方は是非!
ってなことで由奈、過去を変えちゃいましたね。どうなるんでしょうか??
お楽しみに♪
ミルヒ
※土曜日、日曜日は朝の7時に投稿します。




