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ドリームショップ ~あなたはどんな夢を買いたいですか?~  作者: はしたかミルヒ
ケース6:売れっ子漫画家になりたい(英治編)
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第五話

~おしらせ~ ※本日は三話連続投稿です!

  ■■■


「買っちゃったよ、買っちまったよ……」


 家に戻ってきた英治はそうブツブツ言いながらドリームショップで買った夢の液体を見つめる。


「千円と言えどもこんなもの買っちまって、どうかしてたよな俺……こんなことぜってー亜弥に言えねーな。ぶっ殺されそう……」


 そんなこと言いながら何気なく英治はリモコンを手に取りテレビを付けた。


 プチッ


『ミュージックプレイス、今日のゲストはこの方、ゆかりんさんでーす!』


「ゆ、ゆかりん?! 今日のミュージックプレイスのゲストだったのかー?! テレビ付けてよかった!」


 英治は体を前のめりにし、テレビを食い入るように見る。


『こんにちは、ゆかりんです!』

『ではさっそくゆかりんさんに歌っていただくんですが、今日は何とスペシャルゲストとともに歌ってくれるんですよね?』

『はい! 横山くるみさんと一緒に私の曲、「水しぶきキラキラ」を歌います』


「へー、くるみちゃんと一緒に歌うのか。そりゃ~楽しみだ! あっそうだ、ナオちんに連絡したほうがいいか? でもアイツのことならチェックしてるよな。俺より熱心だし!」


 その時一足早く英治の携帯から『水しぶきキラキラ』が流れた。


 『水しぶきキラキラ♪ 太陽もキラキラ♪ 素敵だね! 輝いてるね! まるで僕たちみたい♪ キラキラ! キラキラ!』


 英治は携帯を手に取り、その電話に出るかどうか悩んでいた。


「こんな時にりんさんからだ……。タイミングわりーな。何の用事だろう? 居留守使っちゃおうかな? いやしかし、大事な電話だったら困るし……」


 テレビの中では『水しぶきキラキラ』のイントロが流れ始めている。


「はぁ……もーうチキチョー! 出るよ、出てやるよ!!」


 悩んだ挙句英治は通話ボタンを勢いよく押し電話に出た。


「もしもし秋田です!」

『あ、もしもしー、はやしです。遅くにすいませんね、今よろしいですか?』

「いえいえ! どうぞご用件を!」

『なんかすごい力んでません? なんか急ぎの用事でもあるんすか?』

「いえいえ! さぁ、ご用件を!」

『なら別にいいんすけど……あのですね、生田先生が盲腸になっちゃいまして、それで来週は生田先生の漫画が休止になることが決まったんですよ。それで急きょ誰かに読み切りの漫画を描いてもらおうと思ってたんですけど、秋田先生に頼んでもいいですかね?』

「え? 俺でいいんすか? しかもあの生田先生の代わりに?!」

『えぇ、急でほんとに申し訳ないんですけど』

「いやいや、描かせてください! 今度こそ本気出しますから!」

『それは……いままで本気出してなかったってこと?』

「え? あ、いや、それは言葉のあやで……」

『まぁ、いいや、描いてくれるのなら助かります。ジャンルは何でもいいのでとりあえず描いてもらえますか?』

「はい、任せてください! この秋田イェーガーが素晴らしいものを描き上げて差し上げましょう!」

『なんで声張り上げるんだよ……演技の練習でもしてんのか? まぁ、いいや。よろしくお願いしますね。では失礼します』

「すいません、最初の方あまりよく聞き取れなかったんですけど何て言ったんですか?」

『いえ、大したこと言ってないので気にしないでください。では』

「わっかりました! はい、では安らかにお眠りを~~!」

『…………』


 英治は編集者、林との電話を終わらせ一息ついた。


「こんなこと言っちゃなんだけど、生田先生サンキューです! また漫画が描ける~! イェーイ! めっ~ちゃホリデー♪」


 思わずあややの歌を歌いながら踊ってしまう英治。しかし英治はあることに気づく。


「あーーーーーーーーー!! ゆかりんの歌、終わっちゃった!!」


■■■


「シャワー浴びたし、歯も磨いたし、あとはこれ飲むだけだな……。これを飲めば俺は売れっ子漫画家か……ってなーにマジになってんだか」


 夢の液体を眺めながら自嘲気味に薄笑いを浮かべる英治。


「まぁでも、ものは試したよな。せっかく千円で買ったんだし……」


 そう言い聞かせながら軽く深呼吸をしたあと、英治は仁王立ちになり厨二病モードに突入した。


「われはイェーガー王国の王、イェーガー様だ! ワシはこの液体を飲むことにより、人類最強の王となる! さぁ民を、ワシが今から飲むこの液体をまじまじと見るがよい! きれいな朱色の液体が我の血となり肉となるのだ! では今から飲むぞ! う゛う゛ん」


 ゴクリ


「あれ? 味が無い……。ただの水に色をつけただけのような……これ、本当に夢の液体か?」


 英治はいぶかしげにその液体を見つめこうつぶやいた。


「羽毛布団に続き二回目の詐欺にあったか……」


 そういうと英治はふかふかの羽毛布団に飛び込み、こうつぶやきながら夢の中へと入っていった。


「まぁ、森川さんと付き合える夢でも見られればそれでいいや。千円の価値はあるだろ……」


続く

第五話を読んでくださり、ありがとうございます!

ではでは引き続き第六話もお楽しみください!

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