表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドリームショップ ~あなたはどんな夢を買いたいですか?~  作者: はしたかミルヒ
ケース3:両想いになりたい(エリカ編)
28/109

第四話

■■■


 西園寺家のパーティー当日。


「さすがエリカお嬢様とてもよく似合っております!」

「そう? 似合ってる? ありがとっ!」


 先週買ったドレスに身を包み、お手伝いの今日子に髪を綺麗にセットしてもらい、その上化粧もし、鏡の前に立ったエリカはかなり上機嫌だった。


「うん。これで準備はオーケーね! じゃぁ、行ってくるね! 今日子さんもパーティーに参加するんでしょ?」

「はい、もちろん参加させていただきます」

「だよね~! そうこなくっちゃ! じゃぁ、また会場でね!」


■■■


 西園寺家の別館にあるパーティー会場に足を運ぶと、すでにゆかりが来ていた。


「ゆかりー!」


 ゆかりがエリカの声に気づき振り向く。エリカはゆかりの格好を見るさま信じられないと言った様子でゆかりに尋ねた。


「なーに? それいつのドレスよ?」

「いつのドレスって言っても去年買ったばっかりのドレスだよ」


 そう言うとゆかりは、ドレスを広げエリカに見せる。そんなゆかりを鼻で笑った後エリカは新品のドレスを見せびらかしながらゆかりに説明する。


「まぁ! 去年?? そんな時代遅れのドレス、私は絶対着れないわ。どう私のドレス? 新作よ! 新作なのに三十万円って安いでしょ?」


(これが西園寺家のお嬢様ってもんよ! ゆかりはその点、お手伝いレベルよね! クックック!)


 しかしそんな姉とはよそにゆかりはため息交じりでこう答えた。


「お姉ちゃん、もしかしてパパに相談があるって言ってたのは、ドレス買ってもらうおこずかいをもらうためだったんでしょ?」

「失礼ね! 違うわよ! ってかその前にドレス買うためのお金はママに内緒でこっそりくれたんだけどね。ってなことで全然違う相談したんです!」

「もう、ちゃっかりしてるんだから……んで何の相談したのか聞いてもいい?」


(まさか、夢の液体を買うために十万円もらったなんて言えないしな……)


「え? いや、た、大したことないわよ。あ、そうそうゆかりに聞きたいことがあったんだ」


 エリカは、ゆかりに質問をされた途端急にそそくさしだし、話をはぐらかした。


「あ、あのさ……あの店あるでしょ?」

「あの店って?」


 疑問符を頭に浮かべるゆかり。


「あの店って、あの店よ! その……ド、ドリームショップ?」

「お姉ちゃんもしかしてそのお店に入ったの?」

「え? いや、その、ち、違うわよ! 入ってなんかいないわよ!」

「じゃぁ、どうしてお店の名前知ってるの? あのお店看板ないよ?」


(しまったー! 看板なんて確かになかったわね……)


 冷や汗をかきつつも適当に話を見繕うエリカ。


「え? そ、そう? い、いや違う、か、看板出来たのよ~! きょ、今日ね散歩がてらにあそこ通ってみたら看板あったわよ? ハハハッ……」


 ゆかりはそんなエリカの言葉に対し怪訝な顔をしながらも突っ込むようなことはしなかった。


(あ~、何を言ってるのよ私ってば! えぇっと何を言いたかったんだっけ……あっ、そうだ……)


「そ、それでね、その店の夢の液体のことなんだけど、それを飲めば……」


「エリカ、ゆかり!」


 エリカの質問を遮る声が向こうの方から聞こえてきた。


「「茜お姉ちゃん!」」

「二人とも久しぶり!」


 そう言いながらボブヘアで小柄な女性が二人のもとへとやってきた。


(まぁ、液体の話はあとでもいっか~)


「JAPANテレビ、就職おめでとうございます!」

「あら! 情報早いわね!」

「私の情報力はインターネットより早いですよ!」

「お姉ちゃん、それ自慢すること?」

「ちょっと何よ、その言い方!」

「まぁまぁ二人とも~」


 そしてエリカたちは他愛のない話をしたあとついにパーティーが始まった。


  ■■■


「皆さんこんばんは。本日は西園寺グループのパーティーにご参加いただき誠にありがとうございます。社員の皆様には……」


 総一郎のスピーチが続く中なぜかゆかりきょろきょろし始める。そんなゆかりを不思議に思いエリカは小声でゆかりに声をかけた。


「なにキョロキョロしてんのよ?」

「え? あ、いや、ちょっとね……ヘヘヘヘッ」


 とっさにゆかりの顔が赤くなる。そのゆかりの表情をエリカが見逃すわけがなく――――


「は~ん……青木くんとやらのことでしょ?」

「え? いや、ち、違うよ! ってか違わないけれど……」

「なになに? もしかしてこの中にゆかりの好きな人がいるわけ??」


 そこに割って入ってきたのはゆかりたちの従姉、茜だ。

 しばらくエリカと茜はゆかりの恋バナいじりに花を咲かせていると、いつの間にかゆかりの姿が消えていたことに気づく。


「あれ、ゆかり、どこ行っちゃったのかな~」

「ちょっといじりすぎて拗ねちゃったかしら?」

「茜さん、心配はご無用です! ゆかりはそんなことで拗ねるような子じゃないですよ!」

「そうよね~、ゆかりはエリカと違っていちいち根に持たないタイプだしね」


 その言葉に対し苦虫を噛み潰したような顔をするエリカ。そんなエリカの様子を見てニヤリと微笑む茜。


「わ、私、別にそんな性格じゃないですよ……」


 エリカが否定をすると茜は人差し指を顎に当てながらこう話す。


「本当かなぁ~? 私、小さいころから人を見る観察力が優れていてね、すぐに相手の性格分かっちゃうのよ~。例えば意地が悪い人とかぁ。ウフッ!」


(うっ……何なのよ茜さん……もう茜さんと話す気なくなったわ……)


 もう茜と話したくないという気持ちからかエリカは自然と茜に背を向けてしまう。


「あ、おじ様のスピーチが終わった!」


 そう言うと茜は一目散に総一郎の所へと向かった。


(ハァ……良かった……)


 そんなエリカは茜の後ろ姿を見て、安堵の表情を浮かべる。しかし一人きりになってしまったエリカ。先ほどまでは茜がいなくなってくれて良かったと思っていたにもかかわらず途端に寂しくなってしまった。


(ってかこんなにお洒落したところで私を見てくれる人がいないと意味がないよね……ハァ……星野君がここにいたらなぁ……)


 そう思い何気なく辺りを見回すエリカ。その時、見たことがある女性を発見する。


(ん? あの女性どっかで見たことあるような……どこで見たんだっけ……あっ! 学校だ! うーん、話し相手ぐらいにはなってくれるよね……)


 そしてエリカは暇つぶしにその女性の所に向かった。


「青木さん! 青木芽衣子さん!」


「…………」


 背が高くモデル並みのルックスを持つ青木芽衣子。しかしいつも表情は暗くあまり人と話しているところを見たことはない。今、エリカに呼ばれたときも彼女は無言で振り向いた。


「あっ、やっぱりそうだ! 制服着てないから全然わかんなかったよ! 青木さん」


 エリカは笑みを芽衣子に投げかける。


「あぁ、エリカさん……」

「青木さんのお父様もうちの会社で働いてるんですね~。水臭いなぁ、教えてくれればいいのに~!」

「すいません……」


 エリカの笑みも空しく芽衣子は今日も相変わらず伏し目がちだ。


「そんな謝んなくたって~! 軽い気持ちで返してくれればいいのに~! ははは……」

「すいません……」


(うぅ……調子狂うなぁ……ってか彼女って絶対前向いてしゃべったことないよね……)


「私たち同じクラスメイトなんだしぃ、青木さんのほうが年上なんだから敬語で話さないで下さいよ~」


 そう言いながら苦笑いを浮かべるエリカ。


「すいません……」

「…………」


(もう何なのよ! 全然話進まないじゃない! こんな事だったらこの人に話しかけるんじゃなかった……)


 そんな芽衣子との会話でイライラしているエリカの目にふとびっくりするものが飛び込んできた。


「えぇ! そ、それ……」


 思わず声を出してしまうエリカ。


「あぁ、この子……ですか……?」

「ゴクン」


 エリカは返事の代わりにつばを飲み込む。


「私の友達のルルです」


 そう言って芽衣子は自身の手に持っていたくまのぬいぐるみをエリカの目の前に出してきた。


(うわ……下が暗くてよく見えてなかったけどバッグだと思ってたものがぬいぐるみだったなんて……ってか友達って何よ……?)


 エリカは思わず苦い顔をしながら後ずさりしてしまう。芽衣子はと言うとそんな彼女にお構いなしにルルを見ながら微笑んでいた。


(うげっ! マジキモイんですけど……)


「じゃ、じゃぁ、わ、私ちょっと他の人たちにも挨拶しなくちゃいけないからこれで失礼しますね……ハハハッ……」

「こちらこそ、お忙しいところ私の所まで挨拶に来ていただきありがとうございます……」


 下を向きながら芽衣子はエリカに感謝の言葉を述べた。


(初めて長文喋った……喋ろうと思えば喋れるのね。ってか話すときは人の顔くらい見て話そうよ……)


「じゃ、じゃぁ、来週また学校で」

「あの……」


 もとの場所に戻ろうとしたとき芽衣子がエリカを呼び止めた。エリカは少し驚きながら芽衣子の方を見る。


「え?」

「エリカさんは好きな人……いますか?」

「??」


 芽衣子の突然の質問にエリカは当然頭に疑問符を浮かべた。


(何なの?? 急に)


「も、もちろん人間だからね。好きな人、一人や二人いますよ」

「私もいます……」


(あっ、そう。ってかあんたの好きな人なんて全然興味ないけど……どうせその手に持ってる汚いものを見て、「この子が好きなんです」とか言うんでしょ?)


「へぇ。そうなんですか」


 適当に相づちを打つエリカ。


「クラスの中にいます」

「え? ク、クラスの中って……」  

 

 その言葉を聞いてエリカは急に焦り出した。以前マナが言っていた言葉が頭をよぎる。


(その好きな人ってもしかして……まさか……)


 しかし次の芽衣子の言葉でエリカはほっと胸をなでおろした……が、違うことで驚いてしまった。なぜなら――――


「彼……女子なんですけどね……」

「じょ……し?」


(えー?! なになに? この人、女の人が好きなの?! ってかこんなところでカミングアウト?)


「まぁ……恋愛は自由ですからね……」


 苦笑いを浮かべるエリカ。その顔をじっと見つめる芽衣子。


 ギクッ!


(ちょ、ちょっと待ってよ……まさか、まさか……私のことを好きなんじゃ……? そうだよね……だってそうじゃなきゃこんなところでカミングアウトなんかしないもの……)


 エリカの顔は見る見るうちに青白くなっていった。


「わ、私の好きな人は男子ですよ! ハハハッ! 男大好き!!」


(今のうちにバリア張っておかないとね……ってか男大好きって他の人が聞いたら絶対勘違いしちゃうよね……)


「そう……ですか……」

「じゃ、じゃぁ、さようなら~!」


 つづく

こんにちは、はしたかミルヒです!

この時期に蚊に刺されました(笑)もう11月ですよ!11月なのに~~!11月に蚊に刺されるって生まれてはじめてな気がする……「蚊に刺されたね」と君が言ったから十一月四日は初めて11月に蚊に刺された記念日。By 俵ミルヒ

うわー意味不明……

ってなことで第四話を読んでくださりありがとうございます!

次回、エリカはついに100万円を手に入れます。さてどんな方法ででしょう?

お楽しみに♪

ミルヒ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドリームショップが好きな方は”勝手にランキング”をクリック!! 小説家になろう 勝手にランキング もしよろしければ私のTwitterに遊びに来てください! Click here! ミルヒのブログ:『ねぇ、日本人じゃなくてもいいんじゃない?』ここをポチっと!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ