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ドリームショップ ~あなたはどんな夢を買いたいですか?~  作者: はしたかミルヒ
ケース3:両想いになりたい(エリカ編)
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第一話

「おはよー!」

「「「おはようエリカ!」」」


 ここはエリカが通う高校の教室。高校一年生ながらほとんどの女子はブランド物のバッグや小物を持っているかなりハイソな高校だ。もちろんエリカもその一人。


「おぉ! エリカってばまたバッグ変えたね! ってしかもそれクッチーじゃない?!」


 友達の一人、マナがいち早くエリカの新しいバッグに気づいた。


「よくわかったわね~! 前にクッチーのお店の前通ったら、新作バッグが出てて~、値段見たらそんなに高くなかったからパパにおねだりして買ってもらっちゃった!」

「さっすが、西園寺グループオーナーの娘! 私のパパも経営者だけどエリカのお父さんには負けちゃうわ~。いいなぁ~、エリカが羨ましいよ~」

「そ~お~?」


(ウフッ。みんな私のこと羨ましがってる! なんて最高な気分なの! この世はお金だけがすべてじゃないって教育されるけどそんなのはウソ! お金で全部解決できちゃうじゃない! そう、なんでも……)



 ケース3: 両思いになりたい



「何……? この空間??」


 学校帰りの夕方エリカはゆっくりと店の中に入ったと同時にこの怪しげな店の内装に心底驚いていた。いらっしゃいませと挨拶をした後、夢子は唖然としているエリカに話しかける。


「西園寺様のお姉さまでいらっしゃいますね?」

「えっ? 何で知ってるの?」

「西園寺様のことはなんでも存じております♪」


(あぁ、ゆかりがペラペラとこの店員にしゃべったのね……)


「あのさぁ、妹から聞いたんだけど自分の夢が叶う液体が十万円で売ってるって……」


 ニコリを笑みを浮かべエリカの質問に答える夢子。


「はい、この店ではお客様のどんな夢も叶える液体を売っております」

「もし叶わなかったら?」

「いえ、そんなことは到底ございません。絶対にその液体を飲めばお客様のお望みの夢は叶います」

「でも、そんなこと言っても将来にならないと分からないじゃない? あ、まさか客からお金もらって逃げようと企んでいるんじゃないの?」


 エリカはこの時点で夢子のことを完全に疑っていたのだが、次の夢子の発言でその疑いはうっすらと晴れる。


「このことは妹様にはお聞きしていないのですね? かしこまりました。説明しましょう。就寝前に夢の液体をすべて飲んでいただいてからお休みになると、実際に西園寺様の将来の出来事が夢の中で体験できるのでございます。もし万が一、体験後にお気に召さなければ、次の日にその空になった瓶をわたくしにお戻しください。その瓶と引き替えに西園寺様にはお支払いいただいた金額全てをお返しいたします」

「え?! ってことはってことはだよ……」


 エリカは腕組をしながら一生懸命考える。


「自分の夢を夢の中で体験できてしかもその夢に納得いかなければお金返してくれるってこと?」

「はいさようでございます♪ しかしお金を受け取った時点で夢の液体の効果は無効となってしまいます」

「いい! いいじゃんそれ!!」


 驚きながらも嬉しそうな表情を見せるエリカ。


「十万円でしょ? 今ちょうど十万円もってるから買うわ! その液体、頂戴!」


(ゆかりもそのこと言ってくれれば、もっと早くこの店に来たのに!)


 そう思いながら財布から十万円を取りだそうとしたとき夢子がエリカに尋ねてきた。


「西園寺様、恐れ入りますがまず初めに西園寺様の夢をお教えいただきますでしょうか?」

「あ……自分の夢を言わないといけないの?」

「はい、お客様の夢をお聞きしてからその夢のための液体を探しますので……」

「そっか。う~ん……言うの恥ずかしいんけど……」


 夢子は笑みを浮かべエリカが叶えたい夢を自分の口から言うのをじっと待っていた。


「でも言わなきゃ夢の液体を探せないんだよね? えぇっと……」

「ウフッ。時間はまだたっぷりありますよ♪」

「えぇい! わ、私、両思いになりたいの!」


 目をつむり力を込めてそう口にした途端エリカは顔を真っ赤にさせる。


「ほ~う、なるほど。ちなみにお相手のお名前を教えていただけますか?」

「え? 名前も??」


 夢子は微笑みながらコクンと頷く。


「え~っと……ほ、ほ……」

「ほ?」

「ほ、星野くん……」


 下を向き再び完熟したトマトのように顔を真っ赤にさせるエリカ。夢子はエリカのその表情を見てニヤリと笑い彼女をもてあそぶかのように再度質問をする。


「下のお名前もうかがってよろしいでしょうか?」

「……じゅ、純。星野純……」

「西園寺様は星野様と言うお方を好いていらっしゃるのですか~♪」

「ちょ、ちょっとそんなこと口に出さないでよ!」


 エリカは慌てて夢子に注意をした。


「そんな恥ずかしがる必要なんてございません。人を好きになるのは人として当たり前のことでございます♪ 素晴らしいですわ、素晴らしいですわ、西園寺様の夢! では少々お待ちくださいませ~♪」


 夢子はひらひらと踊りながら店の奥に入って行った。


(まぁ、確かにあの店員の言う通り、好きになるって人として当たり前のことなんだよね。あぁともかく昨日パパに相談して十万円もらっといて良かったわ! 人間、こう賢く生きなきゃね!)


「クククッ!」


 思わず笑いが漏れてしまうエリカ。


「西園寺様の夢の液体はこれでございます」


 と言い、いつの間にか夢子はエリカの横にいた。


「うわっ! び、びっくりしたー! ちょっと驚かさないでよ!」


 エリカは驚いた瞬間つい足元がおろそかになってしまう。


「え? ヤバい! どうしよー!」


 転びそうになるのを必死で堪えようと夢子の腕をつかんだその時――――


「西園寺様! ちょ、ちょっと!」


 夢子が持っていた夢の液体が手元から離れゆっくりと宙を舞う。そしてその液体の入った瓶は無情にも床に落ち――――



「あー! 私の夢!!」



 思わずエリカは目をつむる。


 カラン!


 小瓶が床に落ちた音が店中に響き渡った。


(私の夢の液体が……)


「はい、西園寺様。これが夢の液体でございます」

「え?」


 ゆっくりと目を開けるエリカ。


「あれ? 割れてない……」

「ウフッ。この瓶は頑丈にできておりますのでちょっとやそっとのことでは絶対に割れないのでございます」


 夢子はニコリと微笑む。


「はぁ、良かった……ってかそれを知ってるんなら驚かさないでくれる?? こっちは心臓止まるかと思ったわよ!」

「申し訳ございません。しかし仮にこの瓶が割れて台無しになったとしてもいくらでも西園寺様の夢の液体はありますので心配なさらないでくださいな♪」


 そう言うとウインクしてエリカに微笑む夢子。


「え……? そんな簡単に夢の液体が作れるの?」

「簡単ではございませんがそれほど難しくもございません。しかしそれは企業秘密でございます♪」


 夢子はニコリと笑い自身の唇に人差し指を当てた。


「何よそれ……ってかいいから早く売ってちょうだいよ!」


 そう言ってエリカが財布から十万円を取りだそうとしたときに夢子が「う~ん」と考え始めた。


「西園寺様の夢の液体はいくらにしましょうか……」


 夢子のその言葉に当然エリカは頭に疑問符を浮かべる。


「え? 何言ってるのよ? 十万でしょ? 妹が言ってたわよ」

「いえ、夢の液体の値段はお客様の夢によって、お客様の強い願望によって変わるのでございます」

「何それ? 夢によってって言うのは夢が大きいほど高くなるってことでしょ? じゃぁ強い願望ってことはその願望が強ければ強いほど値段は高くなるってこと?」

「ウフッ。それは禁則事項でございます♪」

「ウッ……あっそう。ってかその台詞どっかで聞いたことあるような……」

「はい! 西園寺様の夢の値段決まりました!」

「んでいくらなの?」


 この時エリカは夢の値段にそれほど関心を抱いてはいなかった。


(どうせ高くたって十万超えることはないわよね。それに私の夢はゆかりの夢に比べれば小さいもんだし)


「西園寺様の夢の値段は……」


 じっとエリカの顔を見ながらニヤリと笑う夢子。そんな夢子の様子を見てエリカはイライラしてしまう。


「ちょっと何なのよ? 溜めないでさっさと言ったらどう?」

「失礼いたしました。では……」


 エリカは腕組をしながら夢子の顔をちらりと見る。


「西園寺様の夢の値段は……」


 またここでも溜める夢子。そんな夢子の態度につい声を張り上げてしまうエリカ。


「早く!!」

「百万円でございます!」

「あっそ。ひゃくまんえ……」


 エリカは一瞬夢子の発言を何気なく聞き入れたのだか驚きの金額を夢子が口にしたのにふと気づき、目を丸く見開きその場で硬直してしまった。


「……え? あのさ、も、もう一回言ってくれる? 良く聞きとれなかったみたい……ハハハッ……」


「はい。百万円でございます♪」


「……そ、それ本気で言ってるの? それとも冗談?」

「もちろん、これが西園寺様の夢の値段でございます! ウフッ♪」


 そう言うと夢子はエリカに満面の笑みを投げかける。


「ちょ、ちょっと……冗談じゃないわよ……なんで私の夢が……ひゃ、ひゃ……」


 エリカは下を向き拳をグッと握りしめた。


「これは西園寺さまの夢の大きさや強い願望によって決まった結果であります」

「ゆ、夢の大きさったって、妹の夢より小さい事じゃない! 願望にしたって妹の願望はかなりのもんだったわよ! アイドルになりたくて必死だったし!」

「いえ、西園寺様の夢は妹様の夢と同じくらい大きな夢ですわ。願望も妹様と同じ、いやあなた様の願望の方が相当お強いものを持っていらっしゃいます」

「うっ……た、たとえそうだとしても、ひゃ、百万円ってどうなのよ? いくらなんでもおかしいでしょ??」


 唇を噛みすぎて血がにじんでしまっている。相当ショックなようでエリカの声は小さいながらも怒りで震えていた。


「しかし西園寺様、たった百万円で西園寺様の夢が簡単に叶うのでございますよ? そう考えると決して高い値段ではないように感じるのですが……それに……」

 そう言うと夢子はニヤリと笑みを浮かべこう続ける。


「西園寺様にはお父様がいらっしゃるではございませんか! お父様にお頼みすればなんとか……」


 エリカは体をプルプルと震わせながら夢子の話を途中で遮り顔を真っ赤にさせ大声で怒鳴った。


「もういい……もうこんなインチキな店に二度と来るもんですか!! 自分の夢ぐらい自分の力で叶えてあげるわよ!」


 そう言いエリカは店のドアを激しく閉めた。


 バタン!!!!!!


「あらら……ワタクシそんなに西園寺様を怒らせるようなこと言ったかしら?」


(なんなのあの店? 完全に私からお金をだまし取ろうとしてるんだわ!)


 店から出たエリカはまだ怒りが収まらないまま家路に向かおうとしたとき、行きつけのブランドショップのショウウィンドウがエリカの目に入ってきた。


(あっ! これ新作の靴!)


 エリカは無意識に店の中へと入る。そして――――


「ありがとうございました!」


 店員の挨拶とともに店から出てくるエリカ。


(新作なのに七万ちょっとってかなり安いわよね~! いい買い物しちゃった♪)


 先ほどの怒りはどこへやらいつの間にかエリカの心はこの新作の靴でいっぱいになっていた。


 つづく

お久しぶりでございます。はしたかミルヒです。

ついに、ケース3:エリカ編を投稿することができました!わーい(^◇^)飽きっぽい私の性格でここまで書くことができたのは応援していただいている皆様のおかげです。本当に感謝しております!m(__)m エリカ編はちょっとシリアスな感じに仕上がりました。読んでいただければ幸いです。

次回は、エリカの学校のクラスでのお話になります。エリカの怖い一面が垣間見れます。この性格があとで災難を招くことに...

次回もお楽しみに♪

ミルヒ

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