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ドリームショップ ~あなたはどんな夢を買いたいですか?~  作者: はしたかミルヒ
ケース2:アイドルになりたい(ゆかり編)
19/109

第七話

■■■


 沖縄でのCM撮影が終わってから数日が過ぎた今日、久々に雑誌のグラビア撮影の仕事がきた。


「ゆかりちゃん、今日は単独グラビアでしかも四ページだよ! だから今日は絶対に成功させてよね」

「わかってますって! グラビアは前に撮影したことあるし、それに写真撮影で失敗のしようがないでしょ~」


 私は以前、某雑誌の新人アイドル特集でグラビア撮影をしたことがあるのだ。その時の経験があるので今回の撮影も大丈夫だと思っていたのだが――――



「ゆかりちゃん! 恥ずかしがらないで! ハァ……これじゃぁ、撮影にならないよ~」

「す、すいません……で、でも水着で さ、撮影だなんて知らなかったから、は、恥ずかしいんです!」


 まさかの水着撮影!! そんなことは露知らず、私は以前と同じアイドルの衣装を着て撮影するものだと思っていたので、人前で裸同然の格好をするのにはかなりの抵抗があった。そんな白いビキニを付けた(付けられた?)私は撮影スタジオの隅から動けないでいた。

 カメラマンさんごめんなさい! でもあなたが強姦魔に見えるのはなぜ~~?! そんなこと口が裂けても言えないけど……


「ゆかりちゃん……」


 山本さんが呆れ顔で私を見る。


「や、山本さんも山本さんですよ! どうして今日の撮影は水着ってことを教えてくれなかったんですか?? ひどいですよ~!」

「アイドルで単独グラビアったら水着撮影は当たり前でしょ! そんなことは承知だと思ってたのに……」

「ゆかりちゃん、最後にもう一度聞くよ」


 カメラマンさんが私の顔を見つめ尋ねてきた。


「ゴクリ……」


 私は思わずつばを飲み込む。


「水着撮影はしたくない?」

「…………」


 三秒の間を置いた後私はコクリと頷く。カメラマンさんは深く深呼吸をした後、覚悟を決めたように言葉を発した。


「わかった! じゃぁ、アイドル衣装や私服で撮影しよう!」

「す、すいません……ありがとうございます……」


 私は申し訳ない気持ちでいっぱいだったが水着撮影なんて死んでも嫌なのでとりあえずそれを回避できたことを安堵した。

 山本さんは、顔に手を当てて俯いている。もう私の顔も見てくれない……私やっちゃったね……うん、やっちゃったよ……


■■■


「はい! これで撮影終わり! ゆかりちゃんお疲れ様!」

「お疲れ様です! ありがとうございました!」


 なんとか無事(?)グラビア撮影は終了した。しかしこれから山本さんに説教されることを考えるとこの撮影が終わって欲しくない気持ちもあった。

 あ~、なんか憂鬱だなぁ……

 そう思いながら山本さんの様子をチラッとうかがう。

 平然としている……あれ? 怒ってない?? でもなぜか逆に怖いんですけど……

 そんなことを考えているうちに山本さんの方から声をかけてきた。


「ゆかりちゃん……」

「はい……」


 この低い声のトーン。すごく嫌な予感がする……


■■■


「クビだよ! クビ!!」


 この狭い楽屋の空間で山本さんの声が響き渡る。


「す、すいません!!」


 私は目をつぶり身を縮める。


「今日僕が言ったこと、君が言ったことを忘れたなんて言わせないよ!」

「で、でも水着撮影なんて死んでもやりたくないです……」


 私は恐る恐る自分の主張を口にする。


「あっそう……じゃぁ、水着撮影NGなら、大勢の前で緊張することもNGだからね! 水着撮影がダメ、それだけなら僕も文句言わないよ。でもアイドルなのに大勢の人の前に出て緊張して歌うこともできない、CM撮影しても緊張してセリフが言えない。これじゃ、仕事が来ないよ! ってかアイドル失格でしょ!」


 その通り、山本さんの言う通り私は、現時点でアイドル失格だ。アイドルらしいこと何一つできてない。しいて言えばこの顔だけかな……うぅ、こんなこと言うなんて自分でも苦笑しちゃう……


「ゆかりちゃん、君はアイドルとして何がしたいの?」

「え、ええっと……と、とにかく歌を歌いたいです。そして尊敬する横山くるみちゃんのようなアイドルになりたい……」


 そうだ、自分でも忘れていた。私はくるみちゃんに憧れてアイドルになろうと決意したんだった。そんな基本的なことを今まで無視していた……


「山本さん、ありがとうございます!」

「え? な、なに急に? どうしたの?」


 山本さんがきょとん顔になっている。


「山本さんが私のアイドル魂に火をつけてくれました! 山本さんが気づかせてくれたんです。ありがとうございます! 私、夢のために頑張って緊張しないようにみんなの前で歌を歌います!」

「あ、そう……気づいてくれたんなら良かった。でもなんで突然この場で気づいたんだか……」


 そう言いながら山本さんは苦笑いを浮かべていた。


「よーし! 新生西園寺ゆかり、今日から再スタートだ! オー! ……ほら山本さんも『オー』って言って!」

「オ、オー!」

  

  ■■■


「さぁ、次はちょっとシャイなアイドル、みんなのゆかりんこと西園寺ゆかりちゃんのステージでーす!! ゆかりん、カモーン!」


 「「「「「「「ゆかりん! ゆかりん! ゆかりんりん!! ゆかりん! ゆかりん! ゆかりんりん!!」」」」」」」


「こんにちは~! みんなのゆかりん、西園寺ゆかりだよ~♪ 私のデビュー曲、聞いてください! 『水しぶきキラキラ』」


 ♪♪♪夏の太陽が~まぶしくて~水遊びしたくなる季節♪ 君と一緒に海へ行こ~う! そこで青春刻もう! 水しぶきキラキラ♪ 太陽もキラキラ♪ 素敵だね! 輝いてるね! まるで僕たちみたい♪ キラキラ!キラキラ! 水しぶきキラキラ♪♪♪


「「「「「ウォーーー!! ゆかり~~~ん!!」」」」」


 う、うまく歌えた! 私、みんなの前で歌えた! よし、つぎ二番!


 ♪♪♪夏の海辺が~きれいで~はしゃぎたくなる年頃♪ 君と一緒に海で遊ぼ~う! そこで青春刻もう! 水しぶきキラキラ♪ 太陽もキラキラ♪ 素敵だね! 輝いてるね! まるで僕たちみたい♪ キラキラ! キラキラ! 水しぶきキラキラ♪♪♪


「「「「「「「ゆかりん! ゆかりん! ゆかりんりん!! ゆかりん! ゆかりん! ゆかりんりん!!」」」」」」」


 二回目のライブはもう最高な気分だった。みんなの前で歌を歌うってこんなに気持ちいいことだなんて何で今まで気づかなかったんだろう? (というか歌う前に緊張しちゃって、みんなの前で歌を歌ったことがなかったんだよね……)でもこれができたおかげで本当に胸を張って私はアイドル! って言える! くるみちゃんにも一歩だけど近づけた気もする。ほら山本さんも笑って……ない! いや泣いてるーーーー!! 顔をくしゃくしゃにして泣いてるよ。山本さん……ありがとう。 あれなんだか私も……


「えーー?! ゆかりん! 泣いてるーー!!」

「どうした? ゆかりん?」

「がんばれ、ゆかりん!」

「みんなで励まそうぜ!」


「「「「「「「ゆかりん! ゆかりん! ゆかりんりん!! ゆかりん! ゆかりん! ゆかりんりん!!」」」」」」」


 ありがとう、ファンのみんな……


 つづく

こんにちは はしたかミルヒです!

皆様土曜日は何をして過ごしていますか?私は本を書いたり、ラノベを読んだり、アニメを見たり、寝たり、寝たり、寝たり...(笑)どんだけ寝るのよ!ネコかよ!ってくらい気が付けば寝てます(笑)つーか家から出てないし...あ、買い物するときは家から出ますよ!(あたりまえ!)

ってなことで第七話をよんでくださりありがとうございます!

次回は、ゆかり、初めてのドラマ撮影に挑みます。果たしてうまく演技できるのでしょうか?また共演者の人たちとも仲良くできるのでしょうか?

お楽しみに♪

ミルヒ

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