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ドリームショップ ~あなたはどんな夢を買いたいですか?~  作者: はしたかミルヒ
ケース10:小説家になりたい(芽衣子編)
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第五話 一部変更しました!

2015.04.02 なぜ芽衣子が芽衣美になったのかよくわからなかったという指摘を受けまして話の一部を変更しました。

指摘していただいた方、どうもありがとうございました。勉強になりました。今後はもっとわかりやすく書いていきますので今後ともお付き合いのほどよろしくお願い致します。

■■■


 街の片隅にある一軒の小さな店。この目立たない小さな店にほとんどの人は気付かない。しかし夢を叶えたいと強く願うものだけが気づく不思議な店……。


「次は新人賞を受賞しましたこの方々にスピーチをしていただきましょう」


「姉貴、落ち着いて!」

「お姉さん、ガンバです!」

「ありがとう、直哉にあかりちゃん。じゃぁ、行ってくるね」


 今は出版社の授賞式典の会場のに来ている。弟の直哉なおやと弟の彼女であり、アイドルでもある西園寺あかりさんも私の受賞を祝うために会場に駆けつけてくれた。

 私は作家になった。高三の冬に出した、私をモデルにした芽衣子という女性と夢を売る店員、夢子の切ない友情物語を描いた作品が見事、新人賞に選ばれたのだ。しかも最優秀新人賞に。私は壇上の階段をゆっくりと上がり、ライトが一段とまぶしい真ん中へと司会者の方に導かれた。


「え~、では新人賞を受賞したお三方の皆様、前園まいのさん、ユウ・ユウノスケさん、そして最優秀新人賞の青木芽衣美さん、おめでとうございます! では前園まいのさんからお言葉をいただきましょう」


 私の右隣にいる前園まいのさんという女性は緊張の面持ちで中央にあるマイクの前に立つ。


「こ、こんにちは、前園まいのです。本当にうれしいんですが、私なんかがもらっちゃっていいんでしょうか……?」


 照れ臭そうに彼女はそう言うと、会場からは盛大な拍手が起こった。


「あ、ありがとうございます。な、なんか本当に夢のようです。というか今でも夢を見ているみたいで……。この作品を書いたきっかけは――――」


 ルル、だんだん緊張してきたよ。なんて言おうか? 前園さんのようにこの小説の書いたきっかけでも言おうか?

 私は両手でルルを抱き、優しく撫でながらながらどうにか緊張を和まそうとしていた。


 パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!

 

 再び会場に大きな拍手が沸き起こる。どうやら前園まいのさんのスピーチが終わったようだ。


「続きましては、ユウ・ユウノスケさん、どうぞマイクの前へ」


 すると私の左隣からさわやかな声色で「はい!」という返事が聞こえてきた。中央にあるマイクの前に立ちスピーチを始めるユウ・ユウノスケさんは私よりもだいぶ若そうな、見た目は高校生の感じだった。


「まずは、新人賞に私の作品を選んでいただいたことを深くお礼申し上げます」


 彼が一例をすると会場はユウ・ユウノスケさんに大きな拍手を送った。


「ありがとうございます! まさか私の作品が選ばれるとは思ってもみなかったので、驚愕の思いでいっぱいです。この作品、『ペンの先のその向こう』を書いた背景には私の強いペンへの――――」


 見た目は若いのにしっかりした言葉遣いだな……。この次は私か……。言いたいこと、うまく言えるだろうか?

 緊張を和らげようと思い、私は会場を一面見渡すことにした。 

 すると弟の直哉と彼女のあかりさん、二人と目が合った。二人は私に笑顔で手を軽く振る。私も緊張した色を見せながら二人に手を振った。


「ユウ・ユウノスケさん、どうもありがとうございました! それでは最後のスピーチです。最優秀新人賞に輝きました、青木芽衣美さんです!」

「は、はい!」


 心臓の鼓動が止まらない。ルルを胸にあて、必死で緊張を抑える私。数歩歩き、中央にあるマイクに片手を添える。


「み、皆様、こんばんは。青木芽衣美と申します。このたびはこのような名誉ある最優秀新人賞をいただき大変うれしく思います。ありがとうございます」


 するとほかの二人の受賞者と同じく、大きな拍手が送られた。もちろん、直哉とあかりさんも笑顔で拍手を送っていた。そして遠くにいるあの人も……。私は小さく呼吸をし、そしてゆっくりとある人への言葉を紡ぐ。


「この作品を書いたきっかけは小学校四年生の時に出会った友達との約束でした。その友達、夢乃ちゃんの将来の夢はアイドルになること。そして私の夢は小説家になること。その時に思ったのです。もし簡単に自分の夢がかなえられるお店があったらどんなに素敵なことだろうと。もしそんなお店があれば、夢乃ちゃんの夢も私の夢も簡単にかなえることができるのに。まぁ、あくまでも子供が想像した夢の世界の話です。しかし夢乃ちゃんは、夢は自分の力でかなえるものと言っていました。そうです。その通りなのです。夢は自分で掴み取るもの。そしていつの間にかどんな願いでもかなうお店、ドリームショップのことは私の中ですっかり忘れていました。しかし小説家になることだけは強く強く私の心の中に留まっていたのです。私はその夢を抱きながら今日までやってきました。私は今この瞬間、夢がかなったのです。小説家としての第一歩を踏み出す道が今日できました。しかし私の友達、夢乃ちゃんがすでに夢を果たせたのかどうか私にはわかりません。なぜなら彼女は交通事故に会い、いまだに彼女は行方不明なのです。彼女に会いたい気持ちを今でも抑えることができません。会いたい、夢乃ちゃんに会いたい。会って夢乃ちゃんがアイドルになって活躍している姿をこの目で見たい! その一心でこの作品、『ドリームショップ』を書いたのです。アイドル姿の夢乃ちゃんが私の経営するドリームショップの店員になって人々の夢をかなえる。でも結局は夢なんて簡単にかなうものじゃない。夢乃ちゃんが言っていたことを読者の皆様に伝えるべくこの作品を作り出しました。小説家になる夢は今、叶いました。でも夢乃ちゃんに会いたい、その夢はいまだかなえることができません。これだけは努力してもかなわぬ夢です。もし私が作った世界の中に存在するこのお店『ドリームショップ』が本当の、現実の世界に存在するならば私はこのお店で夢の液体を買います。もちろんその夢は、『大好きな友達に会いたい』です。夢乃ちゃん、待っていてね。私、ドリームショップに行ってあなたに会えるように夢の液体を買ってくるから……。ゴホン……。すいません、長くなってしまいました。最後にもう一度お礼を言わせてください。応援してくれた皆様、本当にどうもありがとうございます。そして……お母さん、あなたにもお礼を言わせてください。私をこの世に産んでくれてありがとう」


 そして私は遠くからひっそりと見ていたお母さんに向かって深々と頭を下げた。するとお母さんは、壇上に向かって歩いてきた。泣きながら、鼻水を出しながら。


「芽衣美……。今までごめんね……。そして本当におめでとう」


 震えた声で言った短い言葉は私の胸に深く深く突き刺さった。私は思わず壇上の真下にいるお母さんに向かって手をすっと出す。


「芽衣美?」


 お母さんは顔を真っ赤にさせながらキョトンとした表情を私に見せた。


「握手してよ。お母さん」

「めい……み」


 お母さんは再び涙をぽろぽろと流し、そして私の手をやさしく握った。その瞬間会場から盛大な拍手が私とお母さんに向けて送られた。

 

 パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!


「青木芽衣美さん、大変感動するスピーチをどうもありがとうございました! 以上で新人賞の授与式を終わりたいと思います。お三方の皆様、どうもありがとうございました」


 パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!


 私はルルを右手に、そしてお母さんの温かい手を左手で握ったまま、壇上からゆっくりと降りる。


「ドリームショップ、面白かったわよ」


 お母さんがごくごく小さな声で足元に注意を払いながら私にそう言ってきた。

 お母さん、読んでくれたんだ……。

 お母さんがドリームショップを読んでくれたうれしさと短いながらもほめてくれたことに対して、恥ずかしくなりながらも私は小さな声でお礼を言った。


「ありがとう」


 今日は私にとって本当に素晴らしい日。これが現実だなんて信じられない。まるで夢のよう……。こんなにうまく行くなんて思ってもみなかったけれど今、最高に幸せなことは確かな事実。こんな素敵な人生がいつまでも続きますように……。

 私は頬を軽く染めたお母さんをちらりと見て微笑み、そして右手に持っていたルルを見つめた。


 あなたのおかげかもね。ありがとう、ルル。


 END




 END…………?


 カラン!


 壇上から降りた瞬間、私のスカートのポケットから何かが落ちたのを感じた。拾おうと後ろを向くとお母さんが先に私の手を放し、それを拾ってくれた。そしてお母さんは不可思議な表情を湛えながら私にこう言ってきたのだ。


「芽衣美、これはなぁに?」

「え?」

「なんで空の小瓶なんか持ってるの?」

こんにちは、はしたかミルヒです!


読者のみなさま、ドリームショップを読んでいいただき本当にどうもありがとうございました!

長かったです! 当初、ここまで書くつもりはなかったのですが話が膨らみここまで書いちゃいました。 プロットをろくに書かずに書いていたので途中、壁にぶつかり、たくさん悩んだこともありましたが、応援していただいた皆様の温かいお言葉に支えられ、本日、無事に最終話を迎えることができました。初めてです。こんなに達成感を味わったのは。ゼロから作り上げるという創作活動をしてまだ一年もたっていない未熟者ですが、創作の楽しさをこのドリームショップで味わうことができました。ドリームショップのキャラクターたちにも感謝したいです。みんな、ありがと♪ これからもまだまだたくさんの作品を書いていって、自分の能力を磨き上げる努力をしなければいけませんが、とりあえずドリームショップをすべて書き上げた余韻にでも浸りたいなぁと思っているこの頃です。ってこの作品で終わらないようにしないと! すぐ怠けちゃうからな、私(笑)ってなことでもう一度お礼を言わせてください。皆様、本当にお付き合い、どうもありがとうございました(*^_^*)

また”すぐに”会いましょう!(もうそろそろ次のアイディア出したほうがいいよね?(笑))


P.S ドリームショップ、謎のままで終わったので、もしかしたらセカンドシーズンがあるかも……。(^o^)


ミルヒ

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