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ドリームショップ ~あなたはどんな夢を買いたいですか?~  作者: はしたかミルヒ
ケース10:小説家になりたい(芽衣子編)
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第一話

『街の片隅にある一軒の小さな店。この目立たない小さな店にほとんどの人は気付かない。しかし夢を叶えたいと強く願うものだけが気づく不思議な店……』


 ケース10:小説家になりたい(芽衣子編)


「な、なんで?! どうして?? わけがわからないわ!」

「由奈! 俺たちはもう三年生なんだよ」

「そんなバカな! 私たちは昨日まで二年生だったじゃない? なんで今日になって三年生になっているのよ!」


 寺田さんがひどく動揺しながら幼馴染の星野君に向かって疑問をぶつけていた。


「だから由奈はずっと病気で学校を休んでいただろう?」

「え? どういう意味? 私はずっと元気だったわよ。病気なんて――――」


 私は寺田さんの身に起こった怪奇現象を今日、街で偶然会った時から感じでいた。おそらく原因はどんな夢でもかなえてくれる不思議な店で買った液体のせい。そうに違いない。寺田さんを見てみるといまだに頭を抱え込みながら錯乱していた。

 やっぱり気になる……。ドリームショップというお店が……。でもどこかで聞いたことあるような……。行ってみる価値はありそうね……。


「わかった! これは夢なのよね?」

「由奈、ここは現実だ。夢なんかじゃないよ」

「わかってる! わかってるよ。他の人にとってみればここは現実になるんだから。でも私にしたらここは夢、夢の世界なの!」


■■■


 日曜日、私はお母さんに同人誌を買いに行くといっておいて、あの店のある街へと再び足を運んだ。でも結局、私は夢を売る店、ドリームショップを見つけることができなかった。夕方、しょんぼりしながら家へ帰るとお母さんと直人がリビングで話をしていた。


「ただいま」

「お帰り、芽衣子。夕食の支度ができたから早く席に着きなさい」


その時、お母さんが私のショルダーバッグからひょっこりと顔を出していたルルに目を向けた。一瞬、お母さんの眉間にしわが映し出される。その様子を見て私は一気に不安に駆られた。


「まーた、あなたったらそんな汚いぬいぐるみ持ち出して! もう二十七なのよ? いい年してそんなもの持ち歩いて買い物なんてみっともない!」

「で、でも……ルルは私の大切な友達だから……」


 そう言いながら私はルルをギュッと抱きしめる。すると目を伏せ、ため息交じりでお母さんは言葉を発した。


「はぁ……母さん、こんな育て方した覚えないんだけどな~」

「でも母さん。人の趣味ってそれぞれだろ? だれがどんな趣味持とうがそれは母さんにとって関係ないと思うけど」


 直人は私をかばってか、お母さんに反論した。しかしお母さんは直人に向かって自分の意見を話す。


「でも芽衣子はもう二十七なのよ? その年でぬいぐるみを持ち歩いてるなんて恥ずかしいでしょ? 母さん心配なのよ。もう嫁に行ってもいい年頃だっていうのに、彼氏も作らないでずっとぬいぐるみに向かって話したり、こうやって四六時中ずっと持ち歩いて。普通の二十七歳はこういうことしないわよ」


 そう言ってお母さんは私の顔をちらりと見た。目が合い、気まずくなった私は思わず視線をそらしてしまった。

 もう私、お母さんと目が合わせなれない……。


「そうかなぁ?」


 一言そう言って直人はお母さんの意見に対して頭に首をかしげた。


「そうでしょ! あなただって、もう十九だというのに、マンガ読んだりアニメみたり、それにわけのわからないコスプレアイドルだかに夢中になっているでしょ? そんなことするのはオタクだけでしょ? そんな趣味危ないからやめなさい。あなたには気持ち悪いオタクになってほしくないのよ」

「母さんってそんなふうに俺たちのこと思っていたのか……」


 直人の疑問に興奮気味になったお母さんの言い放った言葉で直人は俯き落ち込むような表情を見せた。


「そんなふうって! 母さんはあなたたちのことを思っ……」

「美智子(みちこ)、そんなに熱くなるな。廊下まで丸聞こえだぞ!」


 そう言って新聞を手に持ちリビングに入ってきたお父さんはどんどん熱くなるお母さんを嗜(たしな)めた。


「だってあなた!」

「さぁ、夕食を食べよう! この匂いはカレーだよな?」


 お父さんは顔の表情を切り替え、ニコニコと笑みを浮かべながら鍋のふたを開ける。しかしお母さんは話がまだ終わってないらしくお父さんに向かって興奮気味に言葉を放った。


「あなた! 子供たちのことを思うならちゃんと聞いてよ!」

「あ? 趣味のことか?」

「そうよ。前から私が言ってたでしょ。この子たちってば……」

「いいんじゃないの?」

「はっ?」

「趣味ってなもんは人にああだこうだ言われて決まるもんじゃないぞ。お前だってついこの間まで、韓流スターにワーキャー言ってたじゃないか」


 口を尖らせ、そう言いながら皿にご飯を盛るお父さん。


「そ、それとこれとは……」

「違うっていうのか?」

「ち、違うわよ……というかあなたがそんなのんき者だから西園寺が逮捕されるまで横領のこと何も知らずにいたんじゃない!」

「おいおい、それとこれとは話が違うだろ?」


 そこでようやくお父さんはカレーを盛る手を止め、お母さんの顔を見る。


「同じことよ! 子供たちのことを何も考えていないからこんなふうにちゃったじゃない! そうよ、あなたがもっと自分の周りに目を向ければこんなふうには……」

「おい、自分の子供たちにそんな言い方はないんじゃないのか?」

「あなたが悪いのよ! 横領のことだっていち早く知っていれば、早くあんな会社辞めて違う大企業に勤めることができたかもしれないのに……フッ、なーに今のありさまは?」


 お母さんは小馬鹿にしたような態度をとり、お父さんに詰め寄った。お父さんもお父さんで眉間にしわを寄せて不満げな表情をあらわにする。


「近所の自動車整備工場で働いていることに不満があるのか?」


 やめて。


「そうよ! だって今までは西園寺グループの機械部門で部長をやっていたあなたがよ? あなたがなんで近所で車の整備なんかしてるのよ!」


 もうやめて。


「じゃぁお前は何をしてるんだよ?」


 もうやめてよ……。


「な、何を! 私は家族のために頑張って主婦業……」


 もうやめてよ!!


「もういいよ二人とも! 早くカツカレー食べよう……」


 直人……。

 私の心の叫びが聞こえたのか、直人は二人の言い争いを制止した後、深いため息をついた。私は両親の言い争いに怯えてしまい、思わずルルをギュッと握りしめてしまう。


「ルル……」


 続く

こんにちは、はしたかミルヒです!


芽衣子編第一話をよんでくださりどうもありがとうございます! 最終ケースが始まりました。このケースは思ったよりも短くなってしまったので、おそらくすぐ終わっちゃうと思います(^_^;) でもでも不思議な終わり方ができましたので満足かな?

ってなことでケース10も楽しんでくだされば幸いです!

ではまた明日♪

ミルヒ

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