お嬢様と先生が「世界三大発明」に不満な点で一致した単元
「ぷんすか」
「どうしました、お嬢様」
「この問題が納得いかないの」
「どれどれ。『世界三大発明とされるのは、印刷技術、羅針盤、【 】である』確かにおかしな問題ですね」
「そうでしょ! 答えは『プリキュア』でしょ! なんでバツなの?」
「違いますお嬢様。この問題は『世界』という表現がおかしいのですよ。」
「どういうこと?」
「これは、世界三大発明ではなく、ルネッサンス期の三大発明とされているものですよ。しかも、フランシス・ベーコンという哲学者のおっさんが著書で記載しただけなのに、あたかも世間の常識みたいにしてしまった、糞欧米人と欧米好きの糞日本人がこしらえた糞コラボですね。こんなのを事実として掲載する出版社や、試験問題として出題する学校は滅びたほうがよいですね」
「先生、ちょっと怖い。それなら【 】には何が入るの?」
「『火薬』ですね」
「火薬って、どっかーん! の火薬?」
「そうですよ」
「何か陰謀を感じるわね」
「どうしました?」
「印刷技術はわかるわ。こうして毎月『花とゆめ』を読むことができるのはグーテンベルク様のお陰だし。羅針盤ってコンパスのことよね。これもわかるわ。北極星を見つけるのに必要ですものね。でも、火薬っておかしくない? どっかーんだけなのに、何でエントリーされちゃうの?」
「まあ、ベーコンのおっさんも、印刷技術は学問、羅針盤は航海、火薬は戦争の役に立ったと、皮肉っぽく書いているのですけどね」
「それにしてもおかしいわ。それなら最初から世間に広めなければいいのに。これってやっぱり陰謀かしら」
「誰の陰謀なんですか?」
「ノー○ルとかいう、発破屋のオヤジよ」
「彼のことを発破屋のオヤジ呼ばわりするのは、お嬢様だけだと思いますよ」
「きっとあのオヤジは、ノーベ○賞に全財産を託したふりをして、実は世界中にお金をばらまいて、三大発明を定着させたに違いないわ」
「そんなこというとスウェーデンとノルウェーに国家レベルで怒られちゃいますよ」
「大体、三大何とかって胡散臭いのが多いわよね」
「例えば?」
「世界三大珍味が『トリュフ』『キャビア』『フォアグラ』というのが納得いかないわ」
「それはそうですね。それも糞欧米人の主観ですものね」
「先生、欧米人が嫌いなの?」
「大嫌いです。やっぱり三大珍味といえば、『まつたけ』『いくら』『あんきも』です」
「先生、おっさんくさいわよ」
「おっさんですから」
「私は、『ボンゴレ』『ジェノベーゼ』『たらこ』かな」
「そろそろお昼にしましょうか」
こうして俺は海鮮パスタをこしらえに台所に向かう。