夫の気遣いと…
誤字修正しました。
報告ありがとうございます。
2012/7/16 日間恋愛ランキング 11位ありがとうございます!
皆さんのお陰です!
ありがとうございます。
少し短めですが、よろしくお願いいたします。
夫婦とは一般的に、共同の経済生活を営み、子どもが誕生した場合それを保護し二人の子として養育する男女
のペア。「夫妻」とも言う。男性を夫と呼び、女性を妻と呼ぶ。2007年の日本の初婚夫婦の平均年齢差は約2歳
である。民法752条では「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」とあり、夫婦は「同居、協力、
扶助」の三つの義務を履行しなくてはならないことになっている。夫婦共同生活が維持できなくなることを企図
や意思を持って三つの義務を正当な理由なく故意に履行しないことを、「悪意の遺棄」と言う。
例えば、相手方を置去りにして住居を飛出す行為、相手方を追出す行為、病気にかかった相手方を長期間放置する
行為、家に生活費を入れない行為などが「悪意の遺棄」に該当する可能性がある。職務上の単身赴任、夫婦関係を
見なおす冷却期間としての合意の上での別居、子供の病気療養の為の別居など、正当な理由があって同居できない
場合は「悪意の遺棄」には該当しない。「悪意の遺棄」に基づくものであれば民法違反になり、それが継続して
修復困難とみなされれば正当な離婚理由となる。(Wikipediaより)
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短い芝生のような草の感触が足の裏から一枚布を通して伝わる。
草の柔らかいクッションのような感触が気持ちいい。
というのも瑞穂たちは靴を履いていないのだ。なんと今の格好はあの、家で土砂に襲われた時の格好のままなのだ。
ダンナさんはお風呂上りだった為、スウェットのズボンにTシャツ、中にタンクトップというかなりリラックススタイルだ。瑞穂もジーンズにシフォンのブラウスで丸い襟がかわいらしいカジュアルスタイルだ。
しかも夫婦そろって裸足。
救いは地面がごつごつした石ではないということ。ふかふかの芝生の為、足の裏が切れる心配はなかった。
しかし、裸足の瑞穂を見るとダンナさんは着ていたタンクトップをおもむろに脱ぎ、2枚に破り器用に瑞穂の足の裏に巻いて、即席の靴にしたのだった。
感謝の気持ちを伝えると、そっけなく返事をしたダンナさんだったが、瑞穂は彼の気遣いが嬉しかった。
そして瑞穂たちはあれからずっと無言で歩き続けている。
最初こそ気まずさマックスであったが、今となってはいつまで続くのか分からない、だだっ広いこの野原に、そろそろ足のほうが地味にだるくなってきた。瑞穂は職業柄立ちっぱなしであるから、全く体力がないというわけでもない。
しかし、終わりが見えない、どこに向かっているのかも分からない、そういうゴールが見えない旅というのはゴールが先に分かっている旅と比べて不安や精神的な負担は大きい。
この道で本当にいいのだろうか?引き返すべきか?動かないほうがいいのではないか?
あらゆる考えが頭の中を交差していく。
不安な思いは不安になるような出来事が引き寄せられるものである。
それに、この不安な思いが体力をじわじわと奪いとっていくのもまた事実である。
この負のスパイラルから抜け出したくて、前を歩くダンナさんに意識を向けた。
ずんずんと迷いなく進むダンナさんの背中は頼もしく、こんな特殊な状況にも関わらず冷静だ。
彼はただ闇雲に歩いているようではないようだ。ダンナさんには考えがあって、歩いているのだと思った。きちんと考えて最善の方法を模索して行動をするのがダンナさんなのだ。
迷いもなく前を、ひたすらズンズンと歩くダンナさんの背中をじっとみつめながら瑞穂は、置いていかれないように、ただひたすら左右の足を動かすことだけに集中した。
「…ふぅ。瑞穂、あれを見ろ。」
突然前から声を掛けられビックリした瑞穂は、反射的にビクリと身体を大きく揺らすと、弾かれたように前方にいるダンナさんの方へと頭を上げた。
「はっはい!」
「…向こうに集落のようなものが見えるだろ?」
「あ!ホントだ!!」
ダンナさんの長く筋張った一指し指の示す先を目線で追うと、そこには村のような集落が見えた。
家かテントだろうか?そのような形のものがポツポツとそれぞれ間隔をあけて数十個ある。
「今日は暗くなる前にあの集落まで歩くぞ。とにかくこの場所について説明してもらおう。」
「はい。」
瑞穂はようやく助けを求めることができることに安心をした。ようやく人に会えるのだ。
なんとかなるかもしれない。と一筋の希望という名の光がみえた気がした。
今までだるくて仕方なかった足も自然と軽くなる。
「…足、大丈夫か?」
ダンナさんの少し柔らかくなった目元が瑞穂を遠慮がちに捕らえながら、そうつぶやく。
瑞穂は一瞬誰に言っているのかわからなかったが、瞬時に自分しか今人間をいないということに気付き、少し戸惑いながら、精一杯の笑顔を作って頷いてみせた。
(…ビックリしたぁ。いつもはなんか言いたげな顔しても、絶対に気遣う言葉とか言ってくれなかったのに…なんか嬉しいな…。)
急にやさしい表情と言葉を掛けられた瑞穂は、内心うれしくて、うまく言葉が出てこなかったことに気付いた。
少しもったいない事をしたなと思った。せっかくダンナさんがタンクトップで靴を作ってくれたのに…このお陰
で怪我をせず済んだのだ。
それにこれがきっかけで会話のキャッチボールができたかもしれないのに!と心の中で足を踏み鳴らした。
「そろそろあの集落へ向かおうか。」
あたりの色彩がオレンジがかってきたのだ。さっきより少しスピードを出して、私達夫婦は目的の集落へと向かったのだ。
集落に近づくと活気溢れる声が聞こえてくる。
子供の声と大人の声だろうか…。
高い声でキャッキャとはしゃいでいる。
それに言葉は通じるだろうか?怪しいと思われないだろうか?何て言えばいいのだろうか?
心臓はバクバクと大きな音をたてている。
ちらりと今は隣を歩いてくれているダンナさんを見やれば、いつもと変わらない冷静な表情をしている。
そんなダンナさんを見れば、なんだか安心する。
大丈夫。と自分に言い聞かせ、集落にいる子供達が遊んでいる隣で井戸端会議をしている大人の女性達に声をかけた。
ようやく集落にたどりつきました。
誤字等ありましたら、ご指摘お願いいたします。
感想おまちしておりますっ(゜∀゜)ノシ
(お手柔らかにお願いいたします…)