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6話 2日目の朝


柔らかな日差しが部屋の中へ降り注いでいる。

何処からか鳥の鳴き声も聞こえる。

窓を開ければ涼しげな風が吹くような…


「ふっ!はっ!せぃ!」


10人が10人とも清々しい、と言うであろう、

そんな朝…


「はっ!ふっ!やっ!」


白神藍璃は小太刀を振るっていた…

刀身が朝日を受けて金色に輝き、幾つもの金色の閃痕を空中に残す。


「ふ~~~…………はぁ!!」



コン コン

と、扉を叩く音がした。


「どうそ!」


小太刀を鞘に収め返事をする。すると、扉が開き…


「失礼致します。朝食の準備が出来ましたので、お呼びに参りました。」

「あぁ、ありがとうございます。」

「勿体ない御言葉です。…申し遅れました。私は、王よりあなた方お客様のお世話をするよう御命令を頂いたメイドで御座います。御用がおありでしたら、お申し付け下さい。」

「あ、はい。宜しくお願いします。」

「朝食で御座いますが、此方でお食べになりますか?それとも、食堂の方でお食べになりますか?」

「ん~…龍司君はどっちで食べるか聞いてますか?」

「いえ、これからお呼びするところで御座います。」

「そっかぁ…じゃあ、龍司君を起こしたら、龍司君に合わせるって言ってくれる?」

「かしこまりました。…では、後ほどお呼びいたします。」

「よろしくね。」


ガチャン

メイドが出て行くのを注意深く見ていた藍璃は


「今のメイドさん…足音しなかった上に身のこなしが…この部屋に入れたから、私に害を為すつもりが無いことは分かったけど…まぁ、後で龍司君に聞けばいい……か!」


再び小太刀を振るい金色の一閃を放ち、藍璃は朝の鍛錬を再開させた。











龍司の部屋扉が音もなく開く…先ほど藍璃の部屋に入ったメイドが足音を気配を消してベッドに近づく…

ベッドでは、掛け布団が盛り上がっており、規則正しい寝息を繰り返していた。

メイドは懐から短剣を抜くと、おもむろに短剣を突き立てようと振り下ろした!



「何をしている?」



いきなり、メイドの背後から龍司が声をかける。


「!!」


メイドは咄嗟に振り返り、跳び下がろうとするが…ベッドの中に入っていた者が突如として起き上がりメイドを取り押さえた。


「主に刃を向けるとは…死んで詫びなさい!」


メイドを抑え込みながら叫んだのは…

白い布を身にまとい腰には剣を穿けるようにできた革のベルトをしめ、頭にはミスリルで出来たティアラ…その中心には戦女神の証である紅い鉱石が付いている。両腕には龍司と同じ籠手を付け、同じ型の具足を履いた…女神アテナであった。


「止めとけ…で?お前はどう俺の実力をみた?」

「…」

「主の質問に答えよ!」

「止めろ。…もう一度言わせるきか?」

「も、申し訳ありません…」


そう言うと、ようやく龍司はアテナから視線を外し抑え込まれているメイドに目を向けた。


「…ふむ、では自己紹介をしよう。知っているとは思うが、俺はリュウジ・カミミヤだ。」

「…レン・リード」

「レン・リード…レンと呼んでも?」

「どうぞお好きにお呼び下さい。」

「ではレン、お前の依頼人の話はしなくてもいい…だが、お前は俺をどう評価した?」

「…」


メイド…レンは沈黙を貫こうとしたが、いつまでたっても進展がないと分かると、溜め息を1つついて口を開いた。


「評価もなにも出来ませんでした…いえ、正確には私ごときでは測ることすら出来なかったと言ったところです。」

「そうか…アテナ、離してやれ。そして、戻っておいで。」

「はい。」


次の瞬間、アテナはその場から消えていた。



「ではレン?君の用事はそれだけかな?」

「もう二つ。この度、王の命令によりお二方のお世話をさせていただきます。宜しくお願いします。それと、朝食が出来ておりますが、此方でお食事されますか?それとも、食堂の方で食べられますか?」

「ふむ、なる程。先ずは…此方こそ宜しくな?それと朝食だが、藍璃は何か言ってた?」

「カミミヤ様に合わせる、と。」

「う~む。あ、俺のことは龍司で良いぞ。様はいらない。」

「では、リュウジ様と…」

「いや、だから様はいらな「メイドとしての矜持です。」…あ~、まぁいいか。」

「如何なさいますか?」

「じゃあ、部屋で食おう。」

「こちらでよろしいですか?」

「ああ。」

「では、準備致しますので少々お待ち下さい。」









その後…

藍璃も部屋にやってきてレンの用意した朝食を食べた。

朝食はサラダにパンなど…といった所謂洋食であった。


「む!このドレッシングは…」

「料理長の手作りで御座いますが…如何なされましたか?お気に召しませんでしたか?」

「いや!野菜にピッタリで、朝体を起こすのに程よい酸味があるのに………食べやすい、見事だ!」

「ありがとうございます。料理長に伝えておきましょう。」

「このパンも外は程よい硬さで中がフワフワでほんのりシナモンの香りと甘味があって…美味しいです!」

「ありがとうございます、その言葉も伝えておきましょう。」



と、言うようなことがあった……が、



(ゼウスー!!)

(おぉ!な、なんじゃ朝っぱらから!)

(テメェの趣味だろ!この朝食!)

(はて?なんのことかのぉ~?)

(俺は…俺は……朝はご飯と味噌汁派だーー!!!)

(……あれだけ食っておきながら、何を今更言っておるのじゃ…)


と、いう念話での会話が後からあったとか…無かったとか…



自分も朝はご飯と味噌汁派だー!!!

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