3話 玉座の間2
「では、理由があればわが国と事を構える可能性があると云うことか?」
「その通りだな。」
この発言で、玉座の間は殺伐とした空気が漂い始めた。
この一言で禁兵全員が一気に剣を抜き、魔術師と思われる人達は即座に魔法陣を展開し何時でも撃てるようにした。
貴族と思われる数人も臨戦態勢をとった。
「「「王よ!この者を討つご許可を!」」」
「ならん!!……すまぬな、カミミヤ殿。わが国の者は短絡的な者が多くてな。」
「いやいいさ、オッサン。後、俺の事は龍司で良いぜ。」
「そうか!では、リュウジ、ワシの事はガルフォートと呼んでくれんかね?」
「あぁ、良いぜ。ガルフォート。」
ふはははは!
笑う2人に玉座の間の殺伐とした空気は戸惑いに変わっていた。
「では、リュウジよ。1つ頼み事を受けてくれんかね?」
「何だ?頼み事の種類によるぞ?」
「ふむ、では……そなたのライブカードを見せて貰えんかね?勿論、此方も見せよう。」
ライブカードを見せると言うのは、自分の情報をさらけだすこととなるので、信頼している人にしか見せないのがこの世界の通例である。
「…条件があるな。」
「どの様な条件かな?」
「1つ魔王殺しなんて無駄なことは止めろ、理由はガルフォートには話してやる。次に、藍璃の訓練は俺がやる。口出しはするな。最後に…『俺ら』の旅行の邪魔はするな。以上の条件と引換ならば見せてやる。」
玉座の間に居る面々は一同唖然とした表情をしていた。
それも、そのはずだろう。今でこそ侵攻はないが、かつて自分達が苦しめられ、全ての魔を統べると云われる魔王を倒す事は人族にとっては悲願であった。
それを「無駄」の一言で切り捨てたのだ。怒るなと言う方が無理であろう。
しかし、
「ふむ…良かろう。それだけ重要な事が書いてあるのだろ?」
「まぁね…」
王の一言も予想外であった。
だが、その表情は硬かったので、王妃を始め貴族や禁兵一同は渋々ではあるものの納得せざるを得なかった。
「ならば決まりだ!この2人はわが国の客人だ!一切の手出しはならん!また、我が名において、この城内では自由にしてよいことを許可する!」
この発言は、王妃達を大いに戸惑わせた。(一番ショックを受けていたのは王に向かって左端に座っている、王子?らしき人であった。)
いくら、沈黙王とは言え王は王である。その発言はこの国では絶対である。
一同唖然としていたが、いち早く復活した王妃が
「…では、2人を武器庫へお連れしなさい。」
「おぉ、そうだったな。アルフィーネよこの2人を武器庫へお連れしなさい。「わかりました。」うむ…リュウジは後でワシの部屋に来てくれるか?」
「あぁ、良いよ。」
「よし!では以上で謁見を終わる!」
その言葉を合図に全員がガヤガヤと動き出した。
「では、2人とも付いてきなさい。」
「は、はい。」
「…」
王女は、そのままスタスタ歩いて行く
…が、誰も周りに居なくなると、龍司の方へ向いた。
「何故!貴方は私の発言を無視するのですか!」
そう、龍司は王女が発言しても全く無反応で彼女を見てもいなかった。
「自分の名前は言わない、言いたいことだけは言う。そんな無礼な奴に反応する必要があるか?…全く無いな。」
「っ!…では、名前を言えば良いのですか?」
「好きにしな。俺は相手の態度によって此方の態度も変えるしな。」
王女は龍司を睨み、龍司は王女見下すようにしていた。
藍璃はそんな2人を見て、オロオロしていた。
「…分かりました。私の名前はアルフィーネ・レイ・アルバロスと申します。宜しくお願いします。」
「神宮龍司だ。此方ではリュウジ・カミミヤになるがな。此方こそ宜しく。」
「あ、私は白神藍璃です。此方では、アイリ・シラガミとなります。宜しくお願いします。」
「…カミミヤ様、シラガミ様でよろしいですか?」
「様は要らない。カミミヤで結構だ、アルフィーネ・レイ・アルバロス。」
「私は、アイリって呼んで下さい。アルフィーネさん」
「分かりました。では改めて宜しくお願いします。…では、付いて来て頂けますか?」
「はい。」
「あぁ。」
これまでの様子を見て藍璃は…
「あの、アルフィーネさん?」
「何でしょうか?」
「最初会ったときは、龍司君が無反応でも気にしてなかったようですが…どうして気にされたのですか?もしかして…」
「…何か、盛大に勘違いを成されているような気が…「いいいえ、そそそんな事はありませんよ?」…まぁ、いいです。…正直に言いますと、カミミヤさんが羨ましかったのです。…父上は私達家族であっても殆ど会話をなされません。それなのに、初対面なのにあそこまで会話をされていたカミミヤが羨ましかったのです。ですから、カミミヤと関われば、話して頂けるのではないか?と、まぁ浅知恵ではありますが…ね?」
「成る程…」
戦闘ならず…