22話 異変10
どうも、お待たせしました。
「エルフ族王女アリアとの誓約により、彼女の妹であるロッテを助けに只今参上……ってか?」
「「「「「な!」」」」」
「おぉ!来たか!」
「龍司様!」
「いつの間に!そして誰だ!!」
ガルフォート、アリア、ノモルワ国王が各々の反応を見せるなか…
「じゃ!」
と、一言言うと、次の瞬間には城壁の上に行きアリアの目の前に立っていた。
「ほい、依頼の1つ目は完了。…治療は後でやるから、とりあえず、俺の部屋に連れていきな。」
「うむ、抱えて行くのも大変じゃろう…禁兵!運んでやりなさい!但し、静かに迅速に、じゃ!」
「「は!」」
「私も行きます。」
「あぁ、行ってきな。」
龍司とガルフォートが手をふり見送っていると…
「だから…だから、誰なんだ貴様は!」
…と、怒鳴り声が背後から聞こえて…
「これで、懸念事項の1つは解消されたかな?」
「そうじゃのう…」
…ない様だ…
「ムキーー!!全員魔砲撃準備!……撃てー!!!」
凡そ5000人の魔導騎士による一斉砲撃が始まる…
「「「「お~~!」」」」
…が、何故かあがったのは、感嘆であった。
「なに?!……撃ち方~止め!」
煙が晴れてそこに見えたのは、左手を前にだし薄い幕の様なものを展開していた龍司が居た。
「なんだあれは…う~む…」
そんなノモルワ国王をしり目に龍司は右手人差し指を天へと掲げる。
『覇者防壁…バージョン:ドーム型結界…発動』
瞬間…ノモルワ軍どころか、アルバロス首都全域を覆うドーム型の結界が発動した。
「ぬぅ…お前ら!力の使用を許可する!…先ずは奴だ!前衛500…突撃~!」
「「「「「オオォォォ!」」」」」
2つの力を融合させ突撃してくる、500の魔導騎士部隊…龍司の張った防壁を突破しようと試みるが、それも叶わない…
「オッサン、それに遠見で観ている連中。よく見とけ。此が神に…神力に対抗するために人が編み出した技の結晶…‘咸卦法’だ!…そして、知るがいい…正しい手順で学ばなかった者の末路を…」
そう言うと、突撃してきた兵に視線を戻す、皆が視線を集めた時…
「ア゛、ア゛、ア゛アァァァァァァ!」
ボンッ!
1人の兵が爆発した…
ボンッ!ボンッ!ボンッ!
そして、次々に爆発していく…
………
誰もが、その光景に恐怖と不快感を覚えた。
「もう1つ…今度は俺が魅せよう。ただ1つ‘最強’を名乗るために…永遠に魂を囚われ続ける者達の力…‘覇者の気質’を!…『リミッター3(スリー)解除…‘覇気’発動』」
そこまで言った瞬間、世界が震えた…実際は龍司が張った結界内だけだが…結界が無ければ、確実に世界中に影響が出ていたと、断言出来る程の力が溢れた。
が、そこに居た者達は皆…え?と思った。
大多数の者には力の波動すら感じることは出来なかった。
…が、徐々に気づき始める。
今尚、自分達が感じることの出来る範囲外の力が全てを覆っていることを
龍司が視線をチラッとノモルワ軍に向けると…
ズーー…ン
いきなり、地面が陥没した…
龍司は真上に移動すると再びドーム型の結界を発動させ…
ノモルワ軍のど真ん中に降り立った。
「『武具錬製…双頭ノ太刀』
…我が刃、我が剣舞、止めらるものなら止めてみよ。」
龍司の両手に一対の太刀が握られていた。右手に握られているのは蒼白い太刀、左手に握られているのは黒い太刀…
振るわれるは神速の凶刃斬られたものですら直ぐには気づかない…
動き始めて初めて気付く…既に斬られ死んでいることに…
剣や鎧ですら紙のように斬られていく。
勿論、近くに居た者は対抗しようとしたが、誰の刃も届くことなく切り伏せられていった。
龍司が斬り込んでから10秒…既に兵数は約1500まで減っていた。
「ふむ…此のまま斬っても良いが…苦痛なしで殺すのもなぁ…」
突然停まる、神速の凶刃乱舞。
一対の太刀を消しつつ…
「んー…あんまり得意じゃないけど…『武具錬製…斬馬刀』…我が示すは剛ノ太刀、我が突撃を止めてみよ!」
ド…ゴォォォーーーン!
「本当に…人が吹き飛びおった。…というか、人が大量に剣で打ち付けられると此処まで大きな音が出るのか…」
目の前で起こっている非常識な事象についていけず…ガルフォートの呟きには誰も返事が出来なかった。
身の丈以上の大剣で斬ることよりも、叩き斬る事を主とし、鎧ですら叩き斬る様は、正に剛の剣。
ド…バァァァーーーン!
「「「グハッ!」」」
「「「ヘギャ!」」」
「「「ブフォ!」」」
先程と打って変わって広がる地獄絵図
逃げ出したくとも龍司の張った防壁により出ることは叶わない…
「ち、チクシヨー!!!逃げるな!殺れ!殺れー!!」
ノモルワ国王が檄をとばすが時既に遅し…
既に残りは100人を切って…
ゴ…パァァァーーーン!
…ノモルワ国王以外全て倒されていた。
ここまでにかかった時間48秒…
「ふぅ、此で残るはあんた1人だな。…何か言い残すことはあるか?」
ブゥン!
龍司は斬馬刀を一振りさせ、肩に担いだ。
「「「「「あ…」」」」」
その一振りで首を落としていた。
「…あ、やっちまった。うん、まぁ、誰にでもミスはあるってことで!」
(((((嘘つけ、絶対狙ってただろ!)))))
観ていた全員が思った。
「じゃ、まぁ、帰りますか。」
ノモルワ国王の首をポーンと放り投げると、フッ…と何処かへ消し、斬馬刀も消し、城壁までフワッと跳んできたが、誰も驚かなくなっていた。
「よッと、オッサンはあいつの首いるか?」
「ふむ、まぁ、ノモルワ国都に行くときは必要かもしれんが…要らんな。」
「ん、じゃあ、俺が貰っとく。後でちょっと必要になると思うからね…」
「了解じゃ。」
「じゃあ、帰りますか。」
「うむ。」
まるで何も無かったのかの如く、呑気に帰り始める龍司とガルフォート…
その背を城壁にいた兵士達は唖然とした表情で見送る…
龍司が、出撃してから5分以内に全てが片付いていた…
「あ、やべ!死体を土に埋めてくるの忘れてた…っとと、まず焼かないと土が汚染するな…」
フッ!
ボンッ!
「あ、火力が強すぎた。まぁ良いか、後は埋めて~…終了!」
…ってなことが後であったとか。
最後のは、べ、別に書き忘れてたから慌てて付け加えたんじゃないからね?
ホントだよ?!