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20話 異変8


side藍璃



城門に駆けつけてみると、既に敵軍は城門近くにまで迫って来ていた。



「く!何故、城門を閉めない!直ぐに閉めよ!」

「申し訳ありません!城門の再建はまだなんです!」



「あらあらルーカス、なんてみすぼらしい姿なの?おほほほほ!」



こちらに向かって来ていた敵軍は城門から3、40m手前で止まり、そこから2人が前に出てきた。



「ミーナ…出てこなければノモルワ王国の仕業だとは確定しなかっただろうに…どういうつもりだ!」

「ふん!どうせあなた方はこれから死んでしまうのですから、関係ありませんわ!…スクナ!や~っておしまい!おほほほほ!」


ミーナと呼ばれた女性の隣に居たものが自身を隠していた布を取り払いその姿を現した。



「オォォォォォォ!」


全身が白く爪は長く尖っており角が3本生えていた。



「エルフなんて下等種ごときはサッサと滅びればいいんですわ!ですが…ルーカス?今、此処で膝をつき命乞いをするなら、貴方は助けてあげてもよろしくてよ?」

「…くだらない。この程度で、俺が膝を着くとでもおもったか!ふざけるな!」

「う!…スクナ!何をやっているのですか!サッサと始末しなさい!……スクナ?」


その目は此方を見ていた。正確には()を見ていた。

此方から一歩彼方から一歩…徐々に間を縮めて行き…


一閃!


‘氷華’を抜き放つと同時に、彼方も腕を刀に変えながら打ち合わせてきた!

キィィィン!


…パキ。



スクナの刃が欠けていた。


「な!」

「お!」

「ほぉ…」


ミーナ、ルーカス、エルフ王の各々が驚いたような声を出した。


「か、仮にも神々の1柱ですのよ!あ、貴女は何者ですか?!」

「さぁ?貴女に教える必要がありますか?それに、本当は偽神でしょう?当然の結果ですね。」


顔を真っ赤にして怒りを顕にしていましたが、無視してスクナに向かい、再び刃を交える。


偽神といえど、流石に神の名を持つもの…徐々には押しているものの決定的なダメージを与えることが出来ない。

十数回切り結び鍔迫り合いの後、一呼吸置くため間合いを空けた。



「っ~~!…スクナ!いつまで長引かせているのですか!サッサと殺りなさい!…さもなくば、あなたを贄にしますよ!」



「「「贄?」」」



私達の発言がぴったり重なったのを聞いて、ミーナと呼ばれた少女?の顔には焦りが見えた。

顔は青ざめ、視線をあちらこちらに向け、手をワタワタさせ、忙しなくその場でウロウロし始めれば、さっきの発言が秘密であり、バレるとマズイ事であるのは、誰の目にも明らかである。

その姿に、思わず私も臨戦態勢を崩されそうになり…


「相変わらず、ミーナは嘘や隠し事が出来ないんだね…」


城壁の上からルーカス王子の呆れた声も聴こえてきました…


「っ~~!もう、許しませんわ!」


その発言に



(自滅しただけだろ…)



と、その場に居た全員の気持ちが1つになった瞬間でした…


贄の発言に焦りの表情を見せたのはミーナだけではなかった。

スクナも焦り始めたようでした。

いきなり、神力の量・密度共に桁が跳ね上がった!


「グォォォォォ!」



先程とは比べ物にならない力の圧に後ろに控えていた、兵達の内何人かは気絶しているようだった。


…瞬間!スクナが目の前にまで来ていました!

そして、振るわれる一閃!


私は、何とか防いだものの吹き飛ばされました。

しかし、このくらいで終わっては指導してくれた龍司君に顔を合わせられない、だから…飛ばされている間の一瞬で左手をフリーにし、追撃に来たスクナの一閃を後退しながら紙一重でかわし…

そして、間合いを潰しながら左手で小太刀を抜き放つ!


…戦いが始まって漸くまともな一撃が決まった瞬間でもあった。


「「「うぉぉぉぉ!!」」」


決まった瞬間、城壁から歓声が上がった…


が、しかし、その一撃をものともせず、スクナの猛攻が始まった。


連撃に次ぐ連撃の合間に放たれる左拳の一閃を紙一重で防いでいく…

反撃の隙なんて全く見つからなかった。

完全な劣勢の状況に焦りばかりが募りますが、一手でも対処を誤れば死んでしまう事は誰の目にも明らかだった…



筈だったのですが…


「スクナ!…もう、良いです!下がりなさい!」


強制力が働いているのか、後ろに引っ張られる様に下がって行きました。

私達が戦っている間に描かれた魔方陣の中心にスクナを立たせた…


『この血は魔力高きエルフと闘気高き魔獣の血なり、この血で描かれた魔方陣に鬼神スクナを生け贄とし、かの者を召喚する…出でよ最強なる者よ!』


ミーナが宣言すると…




ドーーーン!!



砂塵を撒き散らしながら、その男は姿を現した…

圧倒的な力の波動で誰もが身動きすらとれなくなった。

そんな中、私はその力の正体が何なのか見当がついていた…




「ふむ、問題なしってな。」

「お久しぶりですわ。テンジン・ミヤナリ様。」

「ミーナか…何故、エルフを制圧出来てないんだ?」

「後一歩の所までいったのですが、邪魔が入ったのですわ!其が無ければ既に制圧出来てましたわ!」

「偽神スクナ使ったんだろ?」

「えぇ、そこの女が邪魔しなければ簡単に制圧出来てたのですわ!」

「へぇ…そう言えば、エルフの姉妹は捕らえて在るんだろうな?」

「妹の方は直ぐに捕らえられたのですが、姉の方が、別の国に逃げたのでお父様が捕らえに行きましたわ。」

「成る程、まぁいい。…で?そこの娘が、偽神とは言え、神に対抗したって?「えぇ。」…ふーん、成る程ね。確かに対抗出来るな、あの娘“咸卦法”が使えるな。」

「それは、貴方が言ってらした…」

「そう、ま、確かに偽神スクナには大変だったかもしれんが…まぁ、俺に任せときな!」

「えぇ、お任せしますわ!」


そうして、その男はこちらを向き、歩き出した。


「おや?よく見れば、結構…いや、かなり美人じゃん!お前も俺の女に「…貴方のその力は“覇気”ですね?」…なぜ君が知っている?」


途端に視線が鋭くなり、私を上から下までなめ回す様に見始め、圧が更に倍増し、立っているのがやっとの状態でした。


「今一度聞く…何故、“覇気”の名を知って……!!

…そのネックレス!そのネックレスは誰から貰ったんだ!答えろ!!」


彼がそう叫び、私の胸ぐらを掴もうと手を伸ばし…思わず目を瞑ってしまった。

うっすら目を開けてみると…その手は私を掴んではいなかった。



何故なら、首から掛けていたネックレスから手が出てきて…





そして、腕を掴んでいたのだ。



次回は、久々に主人公登場です!

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