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19話 異変7

今回も藍璃視点です。


side藍璃



只今、待ち伏せにあってからその包囲網を逆に殲滅すべく、光刃を放ち続けています。


「光刃!光刃!光刃!…う~ん…一々言うのめんどくさいな…」

「メンドクサイッテ…マスター…」

「ん~…光刃飛乱!」


思いつきで、無数の光刃を発動してみると…


「あ、出来るもんだね…」

「…マスター」


小太刀の側に浮いているコウが呆れた視線を向けてくるが…まぁ、気にしないでおきましょう。

展開した無数の光刃を一斉に放ち、前へと徐々に進む…周りでは魔術部隊の面々が次々と魔法を放っています。

魔法の打ち合いは今や圧倒的優勢のようで…


「くそぉ~~~!撤退だ!撤退~!」

「…逃がさない。」


追い討ちを掛けようとリンちゃんが一歩踏み出そうとしたので…


「リン部隊長!追撃は魔法のみで!」


そう言うと、チラッと此方を見てから、魔法陣を展開し魔法を放つのみにしてくれた。


「神殿まで後少し!少し駆け足で向かいます!」

「「「「はい!」」」」




神殿に着くと、そこにはルーカス王子が既に到着していた。


「アイリさんお疲れ様です。」

「ルーカス王子お疲れ様です。エルフの方々は?」

「神殿にいらっしゃる方々は無事です。…ところで、魔術部隊の人数が少ない様ですが…」

「500人ですからね。後の人達には城壁の修復に行ってもらいました。」

「なんて無茶を…怪我はありませんでしたか!?」

「あはは。大丈夫ですよ。あー…もしかして、怪我したら龍司君が怒ると思いました?」

「えと…まぁ…はい……。それにしても、アイリさんは人を殺す事に躊躇いがありませんでしたね。」


先程の待ち伏せされていた時を遠くから見ていたのだそうだ。ある程度落ち着いて応援に行こうとした時には、既に形勢逆転していたためここを守っていたそうだ。


「なるほど…実際、 人を殺した のは初めてではないですしね?まぁ、この様な戦争は初めてですが…」

「そ、そうなのですか?」

「ええ、詳しくは教えませんけどね?…それよりも、今は城内を一掃するべきでは?」


「そちらの御嬢さんの言うとおりですな。」


突然後ろから声を掛けられ臨戦態勢に入ろうとして…


「エルフ王!」


ルーカス王子の言葉で振り向くと、其処には老いて杖をついていて尚、王者の風格を纏ったエルフ王がいた。


「先ずは、礼を言わせて下され。不躾なお願いにもかかわらず助けてくださり、本当にありがとう。」

「いえ…礼は全てが上手くいってからにしてください。今は、先程言われた通り、城内の敵の殲滅と奪還を行いましょう。」

「…そうですな。」

「此方から主に兵を出しますので、城内の細かい場所の案内をお願いしたいのですが…宜しいでしょうか?」

「ええ、城内は侍女たちに案内をさせ、城下は民たちに案内をさせよう。」

「分かりました。もし、敵を発見した場合はあなた方を全力で守らせますので、ご安心を…」

「お気遣い感謝する。」




それから、城内から城下町に到までを奪還した後、竜騎兵の到着により復興用の物資が運ばれ、昼には一旦休息となった。

…何故、此処まで奪還が早く済んだのかと言うと、彼方此方を探してみても敵兵の姿が一切見えなかったからである。

城壁を修理、逃走兵の殲滅に当たっていた者達によると、魔術部隊が、伏兵に逢っている間に、まだ、修理の手の入っていない場所から一点突破で逃走したそうだ。




昼食後、私とルーカス王子、エルフ王の3人で今後の事について話し合っている。

斥候によれば、敵は城外のすぐ側に陣を張っていた。


「やはり、ノモルワ王国でしょう。」

「やはり、ルーカス王子もそう思われるか?」

「と、言うことは…エルフ王もそう思われましたか…しかし、一体何があったのですか?自分の国基準で申し訳ないが、貴国はわが国の軍事力に匹敵していると認識していたのだが…」

「でしょうな…此方も、地の利を活かせば帝国軍ですら退かせてみせる自信はあったのだが……全てはノモルワ王国軍が連れてきた魔物の所為なのです。」

「魔物?!…それは、もしかして‘鬼神 スクナ’ですか?」


ルーカス王子の言葉にエルフ王は重々しく頷いた。


「と、言うことは…神クラスの魔物が相手ですか…」

「ええ、問題は何故従えることが出来たか…と言うことですな。後は、奴らの目的が分かれば…」

「目的は…我らエルフ族の血と女性が狙いかと…」


話によると、ノモルワ王国軍はエルフの女性を捕らえ、男性を殺しているそうだ。

そして、殺したエルフの男性は血を抜き取っているのだとか…


「我が娘…ロッテも捕らえられてしまいまして…」

「報告では聞いていましたが…今、何処にいるかは分かりますか?」

「いえ…残念ながら分かりませんな…」

「あ、それなら大丈夫だと思いますよ?」

「気休めはいらんのだが…と言うかお主は誰だ?」

「エルフ王よ…彼女は称号に勇者を持つものです。」

「アイリ・シラガミと言います。」

「ほう…これは失礼致しました…して、我が娘が何処に居るか分かると言うのかね?」

「いえ、 私には 分かりませんよ?」

「……?今、私には…と言いましたかな?もしそうならば、誰か分かる者が居ると?」

「ええ、エルフ王にこう言っても分からないとは思いますが…ルーカス王子、この件に関して龍司君が“動く”って言ってましたよ?」


そう言いながら、ルーカス王子の方を向くと目を開いて此方をみていました。


「!!……本当ですか!?」

「ええ、だ「敵襲!敵襲!」…何かあったようですね…」


3人の元に独りの兵が駆け込んできて、息を吐くまもなく…


「‘鬼神 スクナ’と思われる魔物が、此方へ向かって来ています!」


「っ!いけない!全ての兵力をそこに集めよ!」

「待って!」


軍を集結させようとしたルーカス王子を止め…


「私が行きます。」


そう言いながら、2人へ微笑みかけた。



後に、その時のことをエルフ王とルーカス王子はこう語る…



あれは、女性の笑みではなかった…


夜叉の笑みだった………と。



あれ…藍璃視点は2話で終わる予定だったのに…


そして、空気になってる主人公…w


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