1話 召喚
翌日
彼はいつも通りに起き、いつも通りに学校へ向かった。
そして、昼休み…
(さて、昼飯でも食いますかね…)
彼は1人屋上へと向かう。
屋上への扉は鍵が閉まっているはずだが…
彼が触れた途端、アッサリと扉は開いた。
「…」
無言のまま、彼は弁当を食べ始める。
それがいつもの光景だった。
しかし…
「何してんだ?ゼウス?」
彼の横には透明化したゼウスがビシッと親指をたて…
(おぬしは、名前は聞いたことがあっても、見たことは無いじゃろ?じゃから、ちょいと彼女に会えるようにしといたのじゃ)
…と、念話が飛んできた。
(おい!何てことしてんだ!)
(それじゃあの~♪)
直後、屋上の扉が開き…
「誰か居るの?」
「…」
…そこには美人と言うよりは美少女と言った方が正しい、まさに可愛らしさを体現したような少女が居た。
身長は150cmをすこしうわまったくらいで、髪は真っ黒で肩より少し長く、目はパッチリとして、身体はくびれるところはくびれ出るところはでている。
「あ、ごめんなさい。邪魔しちゃったかな?」
「…いいや、こっちは食い終わったところだ。気にする必要はない。」
そうして、彼は立ち上がり、扉を出ようとしたが…
「あ、あの!」
「?」
「…流石に1人は寂しいから、せめて此処に居てくれないかな?」
「…はぁ?」
「う……ダメかな?」
彼女は潤目になり此方を上目遣いに見てくる…
「…はぁ~」
彼は扉から手を離すと彼女から少し離れた場所へ移動し、ゴロンと横になり目を閉じた。
「…」
「…」
静かな時間が続いている…
彼が微睡みのなかでウトウトしていると、ふと頭が持ち上げられ柔らかい部分にのせられた…
「…何してんの?」
「いや、頭が痛そうだったから、膝枕を…」
「いや、いいから…」
「あっ、起きちゃ駄目。」
「のぁ!引きずり落とすな!」
(くっくっく…やっぱり面白いことになったのぉ~)
(ゼウスてめぇ…)
(おぉ…怖い怖い、儂は彼女を此処に来るように仕向けただけじゃよ)
(…)
「君は、初対面の人に何故こんな事をする?」
「初対面かぁ…」
「? 初対面…じゃないのか?」
「う、ううん!…初対面だよ?」
「…何故疑問形?」
「だ、だって、私の我が儘で此処に居てもらってるんだから…」
「はぁ~…まぁいい。どっちにしろ後5分で授業が始まるから。」
「あ、ほんとだ…」
「それじゃぁな。」
「あっ…」
彼女は何か言いたそうであったが、それを無視して屋上から去って行った。
そして、放課後…
彼はいつも通りに、教室で1人になるまで待っていた。
ところが…
「お、おい!あれって、白神さんじゃねえのか!?」
「何しに来たんだろ…って言うか相変わらず可愛いなぁ~」
「珍しいね…白神さんが他の教室に来るのって。」
「ほんとだねぇ。」
彼女は教室に入るとキョロキョロと周りを見渡し…彼を見つけると
「あっ!」
途端に笑顔になり、彼の前まで来た。
「…」
それでもなお、彼は静かに本を読み続けていたのだが…
「おい…何だよアイツせっかく白神さんが来てくれてるのに…無視かよ。」
「失礼な人だよねぇ…」
「ほんと。」
そんな呟きが聞こえてきて、彼は、はぁ~…と溜め息を一つ吐くと
「何か用か?」
「何あの態度…失礼な!」
「くっそー、そんな奴ではなく俺に話しかけてくんないかなぁ~」
「コロスコロスコロスコロス…」
少々、ヤバい人がいるが…教室内がざわつきが大きくなった。
「あ、あの!今日、一緒に帰って貰えませんか!?」
その一言で世界から音が消えたきがした…そして…
「「「「「え~!!」」」」」
教室が爆発したかのような錯覚を覚えるほどの大音量が発せられた。
「…いいぞ。」
「「「「「な、なにぃ~!!!」」」」」
今度は、学校自体が爆発したかのような錯覚を覚えるほどの大音量が発せられた。
「…このまま注目を集めるのも嫌だから、さっさと帰るぞ。」
「あ、はい!」
帰り道
「…」
「…」
無言が続いている。
そして、ある程度進んだ時、
「ああの、私、白神藍璃と言います!今日は一緒に帰ってくれてありがとうございます!」
「いや、いいよ。白神さん?だけど、なんで…」
『見つけた…』
「へ?」
「は?」
突如として光が2人を覆った。
「ちっ!このタイミングかよ!」
「え?」
そして、2人を覆った光は収束して消えた。
…
「ようこそアルバロスへ!勇者様!……2人?」
そこにはドレスを身にまとっている少女がおり、周りには幾人かの兵士が槍を構えていた。
「え?…アルバロス?」
「…あぁ、此処は所謂異世界ってヤツだな。…とりあえず、そこのヤツ唸ってないでどうにかしろ。」
ドレスをまとった少女はまだ、唸っていたが、彼の言葉を聞くと
「とりあえず、私はこの国の王女です。これから、我が父にしてこの国の王にあって頂きます。ついてきなさい!」
余りの高圧的な態度にに2人共呆れた顔をしていたが、はぁ~…と、溜め息を1つ吐くと仕方なしに付いて歩き始めた。
「あっ、そうだ。俺の名前は神宮龍司だ宜しくな。」
「はい!」
少々、強引過ぎたか…?