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17話 異変5

更新速度を上げると言っていたのに…この遅さ…


今回は、アルバロス王のガルフォート…通称おっさん?視点です。


side ガルフォート



謁見の間からアイリが出て行き、エルフの2人も出て行った後、家臣達は情報収集やら食料はどうするのか…と、あーでもないこーでもないと、話し合っている。

中心で取り仕切っているのは、ルーカスである。


その様子を眺めていると…



「あなた?」


妻が此方を向いていた。



「どうかしたか?」

「最近はよく喋られますね?」

「まぁ…の?致し方ない部分はあるだろ?」


そう答えると、妻はクスクスと笑っていた。


「正直、初めは彼には腹が立つ事ばかりでしだが…貴方が家臣の前でここまで喋られるようになったことに関して、どうやら感謝しなければならないですね?」

「ふん…」


笑顔を向けてくる妻に、思わず顔を背けてしまうが、まぁ事実なので仕方ない。







妻と出会ったのは、自分が城を抜け出して(ただの家出である)1年を少し過ぎた、20歳頃の事だった。

その頃は、冒険者として活動しており、大抵の魔物は1人で倒せるくらいになっている頃で、‘地獄の蒼炎’を纏い焼き尽くす事から、‘炎鬼’という二つ名で呼ばれる様になった頃だった。


その時妻は、帝国への使者と共に帝国へ向かっており、時期的には、魔物が大移動する少し前で、大移動が始まる前に帝国へ着こうとしていた。



しかし、その年は魔物の大移動の時期がかなり早くに始まったのだった…



妻と出会ったのは、彼女が正にゴブリンに追われている最中であり、幾人もの冒険者も見ていたのだが…誰も助けに向かおうとしなかった。


ゴブリンならば例え20や30いたところで、問題はない。


だが、そこに居たのは…






1000をゆうに越えるゴブリンの大群が地面を埋め尽くしていた…




その当時、儂はBランクであり、もうすぐでAランクに到達しようと言う頃だった。

そして、クエストを終え報告に戻る途中にその光景を見た…


一瞬躊躇ったものの、何故か退く気にはなれなかった。

前のクエストでかなり魔力を使っていたが…再び蒼炎を剣に纏わせゴブリンの大群に突っ込んだ。


ゴブリンの大群の中で片っ端から切り裂き、消し炭にしていったが…いくらゴブリンが雑魚とは言え、1000対1の劣勢は変わらず、確実に数は減っているものの、徐々に体力は無くなり身体に纏っていた闘気も切れかけ…


ああ、これで終わるのか…


と、考えて始めたとき…



突如後方より無数の風刃が飛来した。


慌てて後ろをみると先程まで追われていた馬車が停止しており、その屋根の上に立ち1人の女性が詠唱を行っていた。

護衛していた騎士達は馬車を囲み円陣を作っていた。



その女性の美しさに再びフリーズしかかったが、直ぐに意識を切り替え再びゴブリンに向かった。


それまで傍観していた冒険者達もその女性に良いところを見せようと、各々ゴブリンの大群に突撃していった。




その後ゴブリンは全滅…

流石に儂も無傷とはいかず、座り込んでいると、騒ぎを聞きつけた帝国軍が到着し、顔を見られた儂は敢えなく連行されてしまい、家出はそこで終了となった…




その日の夜、晩餐会が開かれたのだが、その場で先代の帝王でもある儂の父親に、正座させられたあげくこっぴどく叱られたのであった…



因みに次の日、再び城を抜け出し、帝都の冒険者ギルドへ行き、ランクアップの手続きをして、はれてAランクにアップしたのは良かったが…‘炎鬼’の二つ名はかなり有名になっており、見かけた冒険者の1人が…


城へ通報→近衛兵出動→捕まる→王の前へ連行→再び説教→一週間謹慎(と言う名の監禁…部屋から出ることも不可だった)

と、流れるような展開だった。



その後は、トントン拍子で話が進んでいき、気付けばアルバロス王国に入り婿として、行くことになっていた…

妻が色々言ったためらしいが…儂は謹慎中で何が起こっていたのか全く知らない…



しかし、儂は国政にはなるべく関わらないようにしていた。何故なら、いくらアルバロス王となったとはいえ、帝国の王族であることには変わりはなく…帝国の思惑と思われると、新たな派閥ができ、政治が混乱する可能性があったのだ。

(それ程までに帝国の力は強大であるともいえる。)

それ故に、妻が政治を取り仕切っており、気づけば儂は沈黙王の称号を得ていた。







「貴方?」

気付けば、妻が此方の顔を覗くように見ていた。

「いや…何でもない。」


再びルーカスの方を見ていると…




「緊急!緊急のご報告があります!」


1人の暗部の兵が駆け込んできた。


「エルフ族の最終防衛線が突破されました!さらに、エルフ王の次女様が何者かに連れ去られました!」



!!!



その報告を聞くやいやな妻は

「直ちに、魔導騎士部隊を出陣させなさい!魔術部隊と近衛部隊は明日、夜明け前には出陣!竜騎士部隊は軍資の輸送を!そしてこの事を、カミミヤ・シラガミ両名と使者にも伝えなさい!」





翌朝、朝日が昇る前に各部隊が慌ただしく出陣し、ようやく朝日が昇りはじめた頃…



「緊急!緊急のご報告があります!」


又しても、1人の兵が飛び込んできた。


「城外に巨大な魔法陣が浮かび上がり、ノモルワ王国の魔導騎士部隊が出現!直ちに城門は閉めましたが、向こうにはノモルワ国王の存在を確認!さらに、その横には、エルフ王の次女と思われる女性がおられます!」

「いかん!禁兵!直ちに城壁へ向かえ!そして、お前はこの事を…」

「別の者がカミミヤ様にはお伝えしてあります!勝手な判断申し訳ありません!処罰は如何様にも!」

「構わん!…それよりも、儂も出る!我が武器を持って来い!」

「は!」

「あ、貴方!?」



横にいた妻が驚きの表情を見せた。



「…致し方なかろう?」


儂は、部下が持ってきた武具を身につけながら答えた。


妻はそれを見て大きく溜め息を1つ吐くと、真剣な眼差しになり…スッと頭を下げると、一言



「…ご武運を!」

「うむ!」



その場を出ようとすると目の前に暗部部隊長のレンが立っており、儂に向かって一礼すると



「リュウジ様より王へ伝言があります。…城壁より外へは出るな…とのことで御座います。」

その言葉にその場にいた全員が驚いた。


「それは、リュウジが動く…と言うことかの?」


儂の問いかけにレンは…


「はい。」


と、答えた。


「ふふふ…ふははは!勝った!これは勝ったな!では、城壁へ見物に行ってくる!」


そう言ったものの…妻はまだ不安そうな表情だったので、側に行き一言…


「大丈夫だ、安心しなさい必ず帰ってくるよ……ミルファ」


そう言い残し、儂は部屋を出て行った…



過去話を挟んだら…なんか、いつもより長くなった…

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