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プロローグ

「お~い、部活行こうぜ。」

「おぉ、いいぜ。」

「ねぇねぇ、帰りどっか寄らない?」

「いいよ~、あそこのケーキ屋に行こうよ!」

「いいねぇ!」

「俺、今から委員会があるんだった…」

「あはは、そいつはご愁傷様。」



「…」



今は放課後で、誰もが部活や帰り支度などの準備をしている最中である。

しかし、1人の男子生徒は本を広げ静かに読書をしていた。

しかし、誰一人彼に話しかけようとはしていない。

別に彼が虐められているわけではない。むしろ、その存在に気付いていないようであった。


やがて、教室には彼1人だけとなった。そこでようやく、彼は帰る気になったのか、本を閉じ鞄に入れ、教室を出た。


彼は1人帰り道を歩く。

誰と喋る事もなく、ただただ、家へと帰って行く。

それが、彼の日常であった。


家に着いた。家には誰も居らず、彼の帰宅を無言が迎えいれる。


そして、夜…

「こんばんは。良い月夜ですね。」

彼の家に突然その女は現れた。

「天照か、何のようだ。」


まるで、来るのが分かっていたように、そちらを見ずに彼は返事をした。


「結論が出ました。貴方にはこの世界から出て行って貰うことになりました。…申し訳ありません。」

「ふん、かまわねぇ…だが、一応理由を聞いておこうか。」

「…貴方の存在は危険過ぎます。単身で我ら神どころか、この世界を壊す程の力を持っているからです。」

「そうか…まぁ、わかってはいた事だが…何故、お前が泣きそうな顔をする?」


天照の顔は悲しみで今にも涙が零れそうになっていた。


「例え、貴方が世界を壊す程の力を持っていたとしても…貴方はこの国の民であり、平穏を常に望んでいたではありませんか!むしろ、貴方の平穏を乱していたのは常に我々神であった!それなのに貴方は…身を守るためだけに戦い、報復行為は一切しなかった!今だって…我等の無茶苦茶な要求を文句も言わず受け入れてくれようとしているじゃないですか!」

「…ったく。日本の最高神ともあろう者が、たかが1人の人間にそこまで肩入れしたら駄目じゃないか。」


彼は苦笑しながらようやく天照の方をむいた。


「ですけど!…このままでは、私は貴方から受けた恩を何一つ返せないままじゃないですか!」

「別に恩を売った気はないよ…只の気紛れだよ。」

「只の気まぐれで、私が死にかけていたのを助け、看病し治癒魔法をかけ続けたって言うんですか…しかも、神すら癒すほどの魔術を使い、神ですら解けない呪いを解呪しておいて!」

「正確には破呪な…」


神は本来呪いなどかからないが、かつて他の神が人に教えた【蠱毒】の法を人は更に強力なものに作り上げ、それを天照にむけて放った。

当然、天照は気にもしなかったが、その【蠱毒】は天照に牙を向けた。

即座に他の神はその法を造った人を消し去ったが…天照にかかった【蠱毒】はどの神をもってしても解呪することが出来ず、天照を隔離し放置する事にした。

そこに、当時既に神々に追われていた彼が現れたちまち解呪…破呪をしてしまったのだった。その事により、更に神々を警戒させてしまうのだが…


「…て?どこの世界に行けば良いんだ?」

「それは…」


「それは儂から説明しようかの?」


天照の後ろから白髭を生やした爺さんが現れた。


「なんだゼウスかよ…」

「何だとはなんじゃ!受け入れ先を儂が管理する世界にしたのにのぉ~…」

「私が立候補したのに…」

「…で?どんな世界で、いつ行くんだ?」

「アルバロスと言う世界じゃ、魔法や魔獣やらがおる世界じゃ。行くのは明日の放課後くらいかの?」

「パターンだな…だが、なぜ明日の放課後なんだ?」

「おぬしの学校に白神藍璃(しらがみあいり)と言う子が居るじゃろ?その子が此方に勇者召喚されるのじゃよ…じゃから、その者の側に居ればラクラク移動が出来るという訳じゃ!」


「…色々言いたいことはあるが、とりあえず了解した。」

「むぅ~…」


横を見ると天照が膨れっ面をしていた。


「お前は仕事が有るでしょうが…それが終わって、ゼウスがOK出したら来たら良いよ。な?ゼウス。」

「まぁ、そんくらいなら良かろう。」


途端に天照の顔が喜びに変わり、慌てたように帰って行ったのであった。


「愛されておるのぉ…」

「はぁ~…兎に角、明日の放課後、白神藍璃って奴の側に居れば良いんだな?」

「そうじゃの」

「了解。」


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