罪深き悪魔 - 1
悪魔のターンです。やっとか…。
「いやー、今日も空が青いねぇ」
「…あっそ」
隣で両手を空に上げて呟く恭に素っ気なく返事を返した。
そんな俺に不満そうな顔をして、
「おいおい、反応薄すぎるだろー。もーちょっと感情豊かにだな…」
「あーっ!鬱陶しい!ちょっとぐらい静かに出来ねえのかお前は!!」
ひっでぇ、と恭が呟いた。
口を尖らせたこいつのフルネームは、坂本 恭。俺のトモダチってやつだ。
「俺が空が嫌いなこと知ってんだろ」
"空"なんて、くそくらえだ。天使なんかが管理する、空なんか。
「…たくよー何でそんな嫌いなのか知らねぇけどさ。意地っ張りなんだから、椛くんは♪」
「キモイシネ」
「ぐさっ…」
地戸 椛。星薔薇学園男子部高等部二年の生徒。学校一の天才で、そしてまたイケメン…らしい。それがこの俺。
俺は未だに暗いオーラを纏っている恭を横目に、芝生の上に寝転がった。この中庭は沢山の木々で覆われているから、空の見える範囲がかなり少ない。だからここによくたまっているわけだ。
…元悪魔である俺に、あの空は…まぶしすぎる。
一ヶ月前。俺はある罪を犯しこの"中"ノ国へ『上げられた』。"力"を取られ、何も出来ず無力なまま。
『落として』くれやがった今の魔王は、実は俺の友人。罪人とはいえ見捨てられなかったのか、多額の金と住居を与えられた。でもそれ以上の干渉は魔王であるアイツには出来ない。王は常に、平等でなければならないとされているからだ。それだってかなりのリスクを負って秘密裏に行われたのだろう。
"力"が残っていれば人間の記憶を弄ったりして操作できたんだがな…すべて取られてしまった以上、全部初めっからやらなければいけなかった。
金は有り余るほどあるから、偽の戸籍とかいろいろ用意して、この星薔薇学園男子部に転入したってわけだ。
「あーあー、椛くんって残酷ぅー」
「しね」
「…………」
お気付きでしょうが、恭が蓮奈の彼氏くんです(*^^*)