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出逢いし天使 - 1

あけましておめでとうございます。

2012年もどうぞ、よろしくお願いします。



「あ、和音っ」


「蓮奈。素敵なドレスね」


「和音も。とってもよく似合ってるよ」


「ありがとう」



連合祭当日。私達は煌びやかなドレスを身に纏い、とあるホールのロビーにいた。



連合祭は、男子部女子部の両生徒が全員入ってもまだ人が空いているように見えてしまうほど大きなホールで行われる。ちなみにここは学園所有のもの。

そして全校生徒が正装をし、自由に優雅に食事を楽しむ。…とても高校生がやるような行事ではない、完璧な立食パーティ。ここに来た瞬間、帰りたくなったけれどそれも仕方ないと思うのよね…。



「それにしても似合いすぎだよ~」


「…そうかしら」



私の今日の格好は、は黒のマーメイドタイプのドレスに、いつも下ろしっぱなしの髪をサイドで結び、巻いているといったようなもの。自分でも結構上手くできたと思っているのだけれど。



「蓮奈の方が似合ってると思うわ」


「え、そ、そうかな」



照れたように笑う蓮奈は、薄ピンクのフリフリプリンセスドレス。可愛い系の蓮奈にはぴったりのドレス。

多分、坂本(さかもと)恭のためにオシャレしてきたんでしょうね。



「でもやっぱり、和音には白の方が似合うのに…純白のドレスが」


「白は、すきじゃないのよ」



清らかな白、全てを受け入れる白。そんな色私には似合わない。天使だったあの頃ならまだしも、今の、私には。



「ふーん…。でも、真逆であるはずの黒も似合っちゃうんだから、流石だよねぇ。周りを見てみなよ、誰もが和音に夢中…でしょ?」



スッと周りを見渡すと、たくさんの星薔薇の生徒が頬を染めてこちらを見ている。女子も、そして男子も。

…最悪。これだから嫌なのよね…。

内心とは裏腹に、周囲に完璧スマイルをお見舞いしてあげた。もう、これは癖ね…。



「キャァーッ!和音様が微笑んでくださったわ!!」


「素敵なドレス…和音様にピッタリだわ…!どこのブランドかしら」



これが女子の反応。



「すっげ…超キレイじゃん」


「あれが"愛しみの天使"か…」



これが男子の反応。

って、"愛しみの天使"って何よ…?



「和音のこと、皆そう呼んでるんだよ。皆への愛しみの笑顔を絶やさない、白く気高い美しい天使ってね」



キョトンとしていた私に蓮奈が説明してくれた。

"愛しみ"なんて…込めてない。これはただの作り笑顔。

白く気高くなんてない。…私はただの堕天使よ。罪、深き者…。



「さ、和音、行こう」


「ええ…」



こんな醜い感情、蓮奈には見せたくない。純粋なこの子を、汚れさせるわけにはいかない…。

私は平静を装い、蓮奈の後に続いてホールへと入った。



キィ…



大きすぎるドアは蓮奈によっていとも簡単に開いた。その先には…



「はー、相変わらずキラッキラ」


「ええ…シャンデリアが眩しいわねぇ」



1500人程度を収容するには広すぎるホール。天井で自己主張でもするかのように輝くいくつものシャンデリア。食べきれないほど用意された食事。色鮮やかなドレスを着た生徒たち。

その生徒たちの足元にはレッドカーペットが敷かれている。まるで、セレブのパーティにでも紛れ込んでしまったんじゃないかと不安になるほどの豪華さ。

それなのに皆が堂々としているのはもちろん、家関係のパーティーで場慣れしているからだろう。なんせ星薔薇は日本でも有数の超お金持ち学園、生徒だって普通じゃない。



「早く行こうよ、和音」



それは蓮奈も例外じゃない。



「…はいはい」



でもまずは、坂本を探さないと。私には副生徒会長としての開式の司会という役目がある。その間蓮奈を一人にしておくわけにはいかない。


こんな…



「可愛い子いねぇかな~」


「な!!」



特に、こんな狼たちの中では。


和音は意外に過保護なんです笑

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