7.2日目「明らかになる力」
1時間ほど、ひやして、体も動かせるようになり、本格的に技の練習に入ることとなった。
まずは身体強化、これは意図しなくてもできるのが望ましい。
さすがに意図しなくてもとはいかなくても、話しながらなら維持したままでいれるようになった。
次に、系統技の練習に入った。
空は心境操作の技、圭吾は身体強化を含めた近接用の加速技、
巧己は、五大属性(火、水、雷、風、土)の精霊操作の技を練習していた。
2時間ほど練習し、そらは2つの感情「興奮」、「不安」の操作、
巧己は五種類の精霊を使い、初級技クラスのことができるようになった。
圭吾は…苦戦をしていた。
周りの2人からすれば、かなり早くなっているし、精度も上がっている。
だが、圭吾本人が納得していないのである。
空は自分の練習を一時中断して、声をかけるために圭吾の方を見た。
その時、空には圭吾の手元に本来見えないものであるはずの技の構造式が見えた。
そして、直感的に構造式の中で非効率的な部分を見つけた。
(あそこだ。)
空はその構造式に触れようと歩き出していた。
「おい、空。どうしたんだよ。」
だが空には聞こえていない。
圭吾も巧己も空のいつもと違う空気に、動けずにいた。
そして、空の手が構造式に触れようとする。
見えてるわけでもなく、また、実際にその技の構造式にふれられていない巧己には、
空の手が空を切っているようにしか見えないだろう。
しかし、圭吾には空が何をしているのかが理解できた。
より厳密に言うなら、空の手が、発動しようとしていた技の構造式に触れようとしていることはわかった。
それによって、何が起こるかはわからなかったが。
(違和感があるのは…初動部だ。)
空は、その目でそう判断し、その構造式に触れる。
周りから見ても何もわからない。
けれど、改変された構造式をつかっている側には心の内面を触られたような衝撃だった。
そのまま、圭吾が技を発動する。
その速度は、傍目から見ても、いまままでよりも効率が良く、
そして、早くなっていることが明白だった。
「空、今のは一体なんだよ!?」
一人、状況がつかめない巧己が叫ぶ。
「えーとね、ぼくも半分無意識下だったから、全部はわからないんだけど…。
圭吾の技の構造式に無駄な部分があったから、それを直したって感じかな。」
かなり要役された言葉に巧己が頭を悩ます。
「ほとんどわからないから、一つずつ聞いてくぞ。まず、構造式ってのは?」
「技を使うときに無意識で作り出している起動式みたいなものかな。」
「なるほどな。次、どうしてお前には構造式が見えるんだ?」
「うーん、わからない…。なぜか、目をこらすと見えたって感じ。」
「…それについてだが、それが空の技なんじゃないかと思う。
それまで、二人の話しを聞いていた圭吾は言った。
「なるほどな。それなら精神感化でなんとか通用するな。」
「…空、俺からも質問なんだが、お前が改変した構造式によって、俺の加速技の精度は明らかに効率が上がった。
そしてお前は、無駄な部分があったと言った。
具体的には、無駄だったところってのはどの部分なんだ?」
空は少々答えにくそうだったが、圭吾の真剣な顔に負けて、口を開いた。
「圭吾はさ、加速を始めるときに一瞬、体を上げるよね?」
「ああ。」
実はそれこそが、ずっと圭吾が直そうとしていたものであった。
「もう分かっていると思うけど、それは重力を使って加速する”技”を使わない時に、
使えるイメージであって、物体そのものを加速する”技”ではタイムラグでしかない。
だから、不必要と感じて書き換えちゃったんだよ。」
「…やっぱりそれだったか。
空、ありがとう。おかげで壁を一つこえることができた。」
「そんなことはないよ。
それよりも、勝手に手を出してごめんね。」
そんなやり取りを二人がしていると、
それまで思慮を張り巡らしていた巧己が空に対して、
「なあ、空。
お前の力って応用すれば、技を無効化できるんじゃないか?」
と言った。
その言葉は、二人にとって思いがけない言葉だった。
巧己の言葉は続く。
「相手の構造式の一部を変えるだけで暴発だって起こるし、
構造式を意味がないように書き換えられれば、発動そのものだって無効に出来る。
これと、精神操作を連鎖しておこしたら、その人はもう”技”自体が使えなくなる可能性だってあるぜ。」
空と圭吾は言葉が発せなかった。
そして、これは平和に七日間をすごすためには気づいてはいけないことだった。
日付は変わってしまいましたが、気分的には20日分の投稿です。
やっと、空の力についての話がかけました。
お気づきの通り、このまますべて能力自体が自由に扱えたら、
かなりチートになってしまいます。
なので、かなり遅くになるまではすべてを使いこなすなんてことは起こらないと思うので安心してください^^
最後に、投稿ペースについてですが、今週はできるだけ1日に最低1話ペース。
来週は不定期になると思います。
…テスト週間に今日から入ってしまったからです。
とりあえず、6月中に区切りをつけたい…な。