5.1日目「勝利の祝杯と襲撃者」
「今日は大健闘だったな!」
「…ああ。本当にうまくいったとびっくりしてるよ。」
「うんうん。」
あの後、勝利に舞い上がった僕たちは反省会…という名目ではしゃぎながら話をしていた。
今、3人共が飲んでいるジュースがある。
これは部屋に入った時に、
「勝利おめでとうございます。ささやかですが、お祝いを用意いたしました。ぜひご賞味ください。」
というメッセージと共においてあったものだ。
一瞬、疑いをしたものの、ほとんど気にすることもなく、3人共飲んでいた。
しかし、みんなのテンションがいつもより高いのはアルコールが入っているのではないかと思えてくる。
これがただ勝利に酔いしれている(それはそれで問題だが)ならいいのだが…。
閑話休題。
話は、今日の戦いのことから、それぞれの特性についての話になった。
「…そういえば、2人はどんな技が得意なんだ?」
「俺は、神霊系で、固有名は「ホーリーコンソール」って言うらしい。
固有名のほうが恥ずかしくて言えないけどな。」
しかし、空と圭吾が気になったところは違った。
「神霊系?」
「そうなんだよ。こう見えて神社の神主なんだぜ。
といっても、親父が病気で入院してたことがあって、その時に一時的に神主になったまま、戻してないだけなんだけどな。」
「…なるほど。」
「そういう圭吾は加速系統だよな?」
「…ああ。固有名は「無感手」。今日使った技はこれだ。」
「あれか。もう使えるのかよ…。で、空の技は?」
「系統は精神感化系なのはわかってるんだけど、固有名がわからないんだ。」
「…どういうことだ?」
圭吾、巧己の2人の顔に疑念の色が浮かんだ。
「えーとね、調べてもらってもNo dataとしかでてこないんだ。
ここのデータベースにはない形なんだと思う。」
「じゃあ、精神感化系ということから探していくしかないのか。
もしかしたら、すごく強大な力かもな。」
「いやいや、ものすごく脆弱で観測できないだけでしょ。」
「そんなぁ…。」
その空の言葉は2人の笑いを誘い、最終的にもとの空気に戻った。
今、空は1人で廊下を歩いている。
別に散歩したいわけじゃない。
3人でジュースを買いに行くじゃんけんをして、負けてしまっただけだ。
ジュースが売っている場所は部屋から100mほど廊下を行った先にある売店。
まあ、この時間なら自販機しかやってないが。
そんな意図で歩いていると、前から矢のようなものが飛んできた。
少しずらして、3発。
(危ない!)
1発目は反射でよけられたものの、2発目は右肩を、3発目は左腰をかすってしまった。
「くっ…。」
痛みによる言葉が口から漏れ、空はその場にうずくまってしまった。
幸いなのか、痛みだけで血は出ていなかった。
それでも、立っていられるほどの痛みではなかった。
「致命傷はあたえられない。それどころか血もでないか。
責任回避のためなのか、または自己防衛のためか。
まあ、そんなものはどちらでもいいか…。」
聞き覚えのない、冷静な声はそうつぶやいた。
そして、襲撃者は剣を握り、
「さて、後始末はしとかないとな。」
そういい、剣を構えた。
空には敵が何らかの武器を構えたのはわかった。
だが、それが技で作られたものなのか、実際の刃物なのかはわからない。
そもそも、わかっていても避けられるほどの意識はなかった。
その時、壁のスピーカーから、
「非常事態発生。認メラレナイ戦イヲ感知。
該当者ハ、スグニ戦イヲ止メナサイ。」
という、機械的な声の警告が流れる。
「機械のほうが、異常に気づいたみたいだな。
だが、幸いなことにここの管理者たちは、この事件について他の人達に
しられたくないだろうから、人は逆にでてこなくなったはずだ。」
だが、それは襲撃者にとって逃げる要素にはならなかったようだ。
しかし、その仮定を覆す存在がいた。
「おーい、大丈夫か?」
そう叫びながら、走ってくる人がいたのだ。その後ろには大柄な少年もついていた。
「ちっ。」
想定外の自体に顔をしかめ、剣を構えていた襲撃者は踵を返して、
その場から立ち去っていた。
(助かったのか。)
意識の朦朧としている中でそう認識し、
(あ、体がうごかない…な。)
と、感じて、空の意識はそのまま奈落の底へ落ちていった。
やっと、一日目は終了です。
このペースで行くと、一日5回×7日分で35回となりそうですが、
そこまで行かずに終わると思います。
実際、1日3~4回程度が妥当かな~と考えています。
もちろん、内容にもよりますが。
鍛錬の日を4回も5回も書いてても面白く無いですし。
(そんな日はなく、毎日戦いをいれるつもりですが。)
現在、手書きの原稿の方は、7回の途中まで書いてあります。
ただ、投稿する時間がないんです…。
がんばって、時間をつくって、早めに投稿しますね。
みなさん、お付き合い下さってありがとうございました。
これからも、よろしくお願いします。