4.1日目「模擬戦」
「模擬戦!?」
3人が同時に声を上げる。
「どういうことだよ?」
「ちょっとまって。今調べてみる。」
そう言い、空が液晶を操作する。
すぐに情報が出てきた。
「えーと『本日、午後より模擬戦を行います。
ルールは特例で、フィールド自由で3体3、ペナルティはなしとします。
本日はクラッドの代わりに音声付きのカメラを使用します。
宣戦布告をし、それをうけた時点で始まります。
必ず、1回以上ご参加ください。』だって。」
「よし、行こうぜ!」
「…ああ、行こうか。」
「うん。」
巧己の誘いに、圭吾、空が賛同した形となった。
3人とも、”技”を実践で使ってみたかったのか、誰ひとりとして反対したものはいなかった。
部屋をでるとまもなくして、1つのグループと出会った。
「模擬戦を申し込みたい。」
相手のグループの1人が行った。
「その申込み、受けさせてもらおう。」
巧己が言うと、どこからともなく、
「戦闘意思確認。カウントヲ始メマス。」
という機械的な声が聞こえてきた。
「5」
お互いにフォーメーションにむけて動き始める。
「4」
3人の形が定まる。
「3」
こちらは前2人、後ろ1人。相手は横に1列。
「2」
相手との距離を計る。
「1」
6人とも予備動作を始める。
「開始」
全員が動き始めた。
先手をとったのは相手の中心の人。
手に先端のとがった矢のような武器を持っている。
さっきまで手に持っていなかったから技で出したのであろう。
そのまま、こちらに向かって走ってくる。
彼の力は強いのだろうが、移動に技をつかっていない。
だからこそ、空の技は間に合った。
火の範囲技「ヒートウォール」
今の力では、周りの空気を30度~40度ぐらいに熱する程度。
だが、相手にはそんなことがわかるはずもなく、火の壁の2mほど手前で止まった。
右のほうにいる人が水の技で打ち消そうと技を練り始める。
だが、それでは遅すぎた。
圭吾の加速技。5m以上を0.5秒とかからずに近づく。
相手は火の壁があるから攻撃が仕掛けられない。
さらに、相手も同じ条件だと思っている。
しかし、圭吾はこの技の効果を知っている。
そのため、躊躇なく加速が使えたのだ。
ほとんど奇襲に近い移動に、相手には瞬間移動したように見えただろう。
相手も、手に持っている武器で攻撃をしようとする。
だが、その前に相手の体が浮いていた。
圭吾が合気道で投げ飛ばしたのだ。
これで残りは2人。
だが、投げ終わる前に左にいた人が火の単球技「ファイヤーボール」を放つ。
「危ない!」
空が声を張り上げる。
自分の技の発動速度が足りないと感じ、圭吾の反射速度に頼らざるをえなかったのだ。
だが、その攻撃は当たらなかった。
巧己が手に水をまとい、打ち消したのだ。
手に、水をまとう技は練習していない。
きっと、単球式のものを手から当たる直前に放ったのだろう。
圭吾も一瞬驚いたが、すぐに加速を使い右のほうで技を発動しようとしていた人を投げ飛ばす。
近距離なら格闘技のほうが早い。
そして、最後の一人にも攻撃が及ぶ。
自分の系統である火の技が打ち消されたことのショックで後ろの攻撃に気付かなかった。
空が使った技、加速技「コンプレスエアー」。
だが、加速系の技が下手なせいで大したダメージにはならなかった。
しかし、それで十分だった。
衝撃に驚き、後ろに意識が向いてしまったことによってできた隙を巧己が見逃すわけがない。
拳が鳩尾を打つ。
圭吾が投げ飛ばした敵から目を離して後ろを向いたときにはもう3人目も気絶していた。
こうして、初戦闘である模擬戦は終了した。
やっと念願の戦闘シーンがかけました。
次の話は一部のみ戦闘がある予定です。
戦闘と言えるかどうかわかりませんが…。
固有名詞がいくつも出てきて若干厨二っぽいですが、
気にしたら負けです。(←
遅くても明日には次の話を出すつもりです。
読んでくれた方、ありがとうございます。