3.1日目「2つの戦闘ルール」
しばらくして、グループごとの部屋に案内され、ここでのルールを詳しく説明してもらった。
その後、空は気になっていたことを聞いた。
「グループで交戦するときのメリットとデメリットを教えてもらえませんか?」
今までほとんど表情を変えずに話していた男性は「いいところに気がついたな。」
と言わんばかりに、微笑んだ。
「その前にまだ説明していない非公式の戦闘について話しておこう。」
「え?戦闘ってクラッドを呼ぶ以外にあるんですか?」
と、巧己が驚いて声を上げた。
「ああ。」
男性はそれすらも分かっていたかのように対応し、話を続けた。
「君が言ってくれたのは、僕達の間では公式とよんでいる方法。
もう1つのほうがクラッドを呼ばない方法で非公式と呼んでいる。
もちろん、どちらも認められたルールなんだけどね。
非公式のほうは相手の了承がいらない。むしろ、不意打ちに使うから了承がとれないんだけどね。
ただし、こちらにもデメリットがある。
まず、敵からどれだけ離れても良い。」
公式ルールでは決められたフィールドから自分の意志ででたら負けになる
「また、自分たちの部屋に入った時点で戦闘消滅。
自分たちの部屋は安全地帯だからね。」
それぞれのグループの部屋にいるときは攻撃ができないというルールになっている。
所詮、学生。兵士でもないのだから安全に眠れないとまずいという心遣いであろう。
「次は、勝利のメリットについてだが、これも公式か非公式かで変わる。
公式は3体3、非公式は1対1。よって公式のほうがリスクもリターンも多いことになる。
単純に3倍だからね。」
「…仕組みよりも、明確なリスクを教えてほしい。」
圭吾もそろそろ長いと感じたみたいだ。
「おっとすまない。
支払うものは勝者が選べる。
『金か力か』のどちらかだ。」
それは、まさしくこのprojectそのものを表していた。
「金なら1万、力から固有技の一部を相手が取得する。
力なら、なくならないが、金はへっていく。」
「もし、金が0になったら?」
「その時はリタイアになる。
ここから去るか、残りの時間を自分たちの部屋で過ごすかのどちらかだ。」
急に出てきたリアルなリスクに、恐怖を覚えながらも、空はそれ以上の好奇心をもてあましているという感じだった。
それは残りの2人もそうだった。
「ちょっとややこしくなってきたから、まとめてみようぜ。」
そういって巧己はノートにまとめていった。
それによると、
・戦闘は公式、非公式の2種類。
・公式は3対3で、フィールド上でクラッドの監視のもと戦闘を行う。負けた場合の、リスクは3人分。
・非公式は、1対1でフィールドはどこでもよい。リスクは1人分(宣誓布告した、数になる。)
「こんなところか。」
「うん、そうだね。」
「と言っても、なんかしっくりこないな。」
そういって巧己はベットの上で横になってしまった。
まとめるとか言ってたくせに考えることは嫌いらしい。
そこに、いままでだまっていた圭吾が口を開いた。
「…時間があるなら、技の練習をしてもいいんじゃないか?」
「あ、確かに!」
と言って、巧己が起き上がった。
「よし、まず基礎的なものからやってみよう。」
そう言って。空が取り出したのは部屋に置いてあった”技”についての教本だった。
2人も大きくうなづいた。
結論から言おう。
確かにみんな”技”が使えるようになった。
火、水、雷、風の初級技、そして系統にかかわらず、使える身体強化。
どれも実用的には程遠いが、とりあえず使うことはできた。
そして、次に系統技「加速」。
手始めに身体加速をやってみた。
その結果は…
空と巧己が傷だらけになっていることからわかるだろう。
だが、圭吾は系統の一致のおかげで暴走することもなく使えている。
傷だらけになり、いったん休憩を…と2人が考えた時、
部屋にある連絡用の液晶にメッセージが表示された。
そこには、
「ただいまより、模擬戦を開始します。」というメッセージが表示されていた。