2.1日目「測定」
説明が終わった後、1人ずつ呼ばれて測定が行われていった。
空もほどなくして呼ばれた。
案内された先には初老の男性がいた。
「座ってください。」「ありがとうございます。」
社交辞令のようなやり取りをした後にその男性は”技”について説明をした。
「この”技”というのは”大義的には思考力をもとにつくられているんだよ。
そこに頭の良さは必要ない。
より厳密にいうなら、頭がよいとそれに比例した力が手に入る。
けれどそこで学校で覚えたことが直接かかわるわけじゃないということなんだよ。
ここまで大丈夫?」
空は(なるほど。)と思いながら、うなづき、続きを促した。
「ぼくたちはそれを仮に5つに分類している。
≪思考、反射、記憶、空間、感覚≫
これらの能力にF~Sまでのレベルをつけるのが測定だ。
これによって特性、使えるレベルが変わってくる。
もちろん、この7日間で大きく伸びる可能性も大いにあるよ。
むしろ、ほとんどの人がかなりの成長をとげる。
もちろん、そのためのメニューをちゃんとやったら…の話だけどね。」
男性はそう話し終えた後、空のことをやさしく見ていた。
(ぼくが納得しているかどうかを見て、返事を待ってくれているのか。)
そう至るとこのままだまっていても仕方がないと思い、
「理解できました。すごいシステムですね。」
とだいたい本心を話した。
(だいたいとついているのは本当にすごいと思ったのは、システムによってできる能力のほうではなく、その分類システムのほうだったからだ。)
すると、男性は安心したように
「それでは、測定をしましょうか。」
と切り出した。
もう少し、考えていたかったが、あまり不安にさせるのも悪いと思い、
うなづいて、測定を始めた。
測定といっても、一種の脳トレをしているようなものだった。
ただ、その中で推理系が多かったのは、正解率によって問題傾向をかえているからだろう。
と空は結果が渡せるまでそんなことを考えていた。
すると、さっきの男性が結果を持って、
「うーん、典型的な特化型だね。」
そういって、結果が書かれた紙を渡してくれた。
結果は{思考 A 反射 D 記憶 D 空間 D 感覚 C}
という思考だけがトップクラスで残りは平均といったところだった。
(ちなみにDが平均、AがトップクラスでSはほんの一握りしか測定されない。)
その後、男性からいろいろとアドバイスを聞いたが、ほとんど聞き流していたので割愛。
ただ、その中で一つだけ気になることがあった。
基本的に測定すると、系統と固有(であることが多い)の技名が教えてもらえる。
空も系統は書かれていた。精神感化系だ。
ただ、固有技名のほうはデータが型にないらしく「No data」としかかいてなかった。
その後、教室にもどると1人の男子に声をかけられた。
「君が南部?」「うん、そうだよ。」
そう反射的に返したものの、どうして声をかけられたのか…もし、友達を作る目的なら名前をしっているのは少々不自然じゃないか…などと考えていた。
ただ、その疑問は後ろにいた大柄な男子の言葉によって消えた。
「…同じグループになった小野 圭吾だ。よろしく。」
「あ、こちらこそ。ぼくは南部空です。空ってよんでください。」
「…わかった。こちらも圭吾ってよんでくれ。あと、ため口でいいぞ。同じ年だし。」
「わかった。ありがとう。」
この人となら仲良くしていけそうだな~と空が感じている時、
「どうして、俺のことを無視するんだよ!?」
と始めに空に声をかけた男子が2人の間に割り込んできた。
「おれは猪飼 巧己だ。まあ、3人とも中3みたいだし、巧己って呼んでくれ!」
「うん、よろしく。」
空は返事をしながらも(なかなか面白いグループになりそうだ。)と
これからの7日間に対する期待を感じていた。