10.2日目「再戦への歩み」
「うわっ。」
6人の叫びが重なる。
特に近くで爆発の衝撃を受けてしまった相手チームほど、
ダメージが大きかったらしい。
だが、6人は反射的に身体強化をしていた。
おかげで致命傷は免れていた。
しかし、ダメージは6人だけではなかった。
戦闘フィールドを覆っていたシールド、それが破壊された。
「何!?」
クラッドの一人が驚いた声をあげるが、無残にもシールドは破られてしまった。
シールドの消滅により、安全性が低下していると判断され、戦闘は中断。
こうして、戦いは、不完全燃焼のまま、引き分けとなった。
全員が手当をうけ(検査みたいなものでもあった)一段落したところで、圭吾が栗薙に話しかける。
「…少しいいか?」
「ああ、かまわないよ。」
栗薙の顔が疲れた表情から爽やかな笑顔に変わる。
しかし、その意識的な変化が他に伝わってしまうことから、かなり余裕がないことが伺える。
「…今回の戦いで満足しているか?」
栗薙が待っていましたというように、にやりと笑う。
「まさか。不完全燃焼の塊だよ。もしかして、再戦の申し込みかな?」
「…その通りだ。話が早いな。今日はもう夜になるから、明日の午前中がいい。急な日程だがいいか?」
「ああ、こちらはかまわない。
申し込みは急だが、今日の中断はクラッド側の問題で起こったことだ。きっと融通はしてくれるだろう。
まさか、技で安全をうたうシールドが破られたなんて恥だからね。」
「…それもそうだな。じゃあ、申し込みはまかせてもいいか?交渉などはそちらのほうが得意そうだからな。」
「ああ、むしろ任せて欲しいくらいだよ。じゃあ、明日の戦い、楽しみにしてるよ。」
そう言って、栗薙が笑う。
「ああ。」
圭吾もそれに応じた。
「で、なんか作戦はあるのか?」
自分たちの部屋に戻った後、巧己が圭吾に聞く。
「…ああ、一応な。」
そして、空の方を見て言う。
「…それにはおまえの協力が必要だ。」
「わかった。でも、何をすればいいの?」
「…それなんだが、この前練習していた構造解除はどこまでできる?」
その質問に空は、少し困ったような顔をする。
「実は…まだ、実用性には足らないよ。」
「…そうか。」
その空の言葉に、圭吾も言葉をつまらせる。
それを見ていた巧己が何かを思い出して、提案をした。
「そういえばさ、前に空、圭吾の式にふれて書き換えたことがあったよな。それって今回の作戦につかえないか?」
「あ、それならできるね。」
「…ああ、少し危なくなるが、これが一番勝率が高いだろう。
じゃあ、その後は…。」
一方相手のチームでは、こんな会話が交わされていた。
「栗薙、引き分けとはいえ、フェンリルが破られるなんて初めてだ。どうするつもりだ?」
「それについてですが」相手は力ずくで壊してくるはずから、耐久を上げようかと。」
「そうすると、こちらが展開する前に、攻撃される可能性があるぞ。」
「そのために、作戦の初動を少々変更しようかと。具体的には…。」
「なるほど。それなら大丈夫だな。さて、明日の勝利は目前だな。」
こうして、両チームの思惑は重なり、リベンジマッチの結果は大きくかわろうとしていた。
やっと、2日目が終了です。
ぼくの中では、5日までを第1部。
その後の2日間を第2部として考えています。
第1部が4、5日にピークを迎えるので、
若干3日目が短めになるかもしれません。
私事ですが、7月の終わりから留学にいくことになったので、
それまでに完成させたいなぁ~と夢見てます。