小説・吾輩は猫である
掲載日:2026/04/30
ある朝起きると、どこからか猫の鳴き声がした。
すぐ近くにいるのだろうか。まるで耳元で鳴いているようである。
しかし――
俺は猫など飼っていない。
どこかの野良猫が忍び込んだのかな。
そう思った。
鳴き声は断続的に聞こえる。
いったいどこにいるのか。探してみるも見つからない。
逃げ回っているのだろうか。
大きくため息をついた、その時――
ニャー。
ひときわ大きな鳴き声がした。
俺はぎょっとした。なぜなら、それは俺の喉から発せられていたからだ。
なんてこった。思わず狼狽する。
俺の呼吸に合わせて猫の鳴き声がするではないか。
明らかに異常なことだった。
これはひょっとして……
慌てて医者に駆け込み診てもらった。
胸部のレントゲンを撮ると、そこには猫の姿がぼんやりと映し出されていた。
「猫ですなぁ」と医者が言う。
「猫ですねぇ」と俺も答えた。
そう言うほかなかった。
これがほんとの、「我が肺は猫である」。




