世紀末世界なのに意外と秩序があってがっかりした件
掲載日:2026/02/22
「持ってきたぞ。……買い取ってくれ」
俺は世紀末特有の殺伐とした空気の中、自信満々に獲物を差し出した。
ここは力こそが正義の世界。非人道的な行いこそが称賛されるはずだ。
「おう、何の肉だ?」
ドサッ
中身を見た店主が目を見開く。
「あー!!!! 人殺しだーーー!! 殺人鬼が出たぞーーーー!!!!」
「おいおい、何を驚いてる。ここはそういう世紀末世――」
グシャ!
言い終わる前に、背後から振り下ろされた「秩序」という名の鉄槌が俺の頭蓋を粉砕した。
バタッ
「何事だ!?」
駆けつけた警備兵に、店主が冷ややかに俺の死体を指差す。
「これを見てくれ。人殺しのヤバい奴だったよ」
「ひでー殺人鬼だったな。おい、ちゃんと片付けとけよ」
警備兵が去り、辺りに静寂が戻ると、店主は手慣れた手つきでホウキを取り出した。
「ぱたぱた」と掃除を済ませ、男が死体を裏口へと運ぶ。
「……持ってきたぜ」
「おお、今日は新鮮なのが二体か(殺された獲物と、殺した本人)。ほらよ」
チャリン
「ふふ、楽に儲かったぜ」
(完)




