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機械の君を愛してる  作者: ラード
13/14

12話 16年で一番美しいもの

俺の16年間の人生で一番美しいものは何か……。


 今の俺は迷わず今だと言えるだろう。


 その子が作り物の美貌を持っているから?


 もちろんそれもあるだろう、だが、それだけではないだろう。


 夕日に照らされた教室が輝いて見えるから?


 確かに、夕日に照らされた教室はオレンジ色に輝きを放っていて、教室という見慣れた風景に非日常感を与えてくれているが、それが 理由ではない気がする。


 日中に見た明るく元気な表情の陰に見えた闇の部分を表すようなアンニュイな彼女の表情に俺の鼓動が速くなる。


 「いいなぁ……」


 日中に聞いたあのハキハキした声と同じ声質なはずなのにその落ち着いた悲しみを含んだ声色は流れる水のようにすんなり俺の心を貫き、その清らかな波は俺の鼓動を波をさらに荒くさせる。


(バンっ……)


 鼓動が荒れれば荒れるほど俺の体から力が抜けていき、ついに手に持っていたカバンが床に落ちる。


 音一つない教室にカバンが落ちる音が響き、次の瞬間愛花さんの首がこちらを向き、俺と愛花さんの視線が合わさる。


 「な……な……なぁ……」


 先ほどまで美しいアンニュイな表情を浮かべていた愛花さんの顔が俺と目が合うなり真っ赤に染まっていき、夕日の光と同調して先程とは逆転してとてもかわいく、俺の心をドキドキさせる。


 「なんで一夜君が教室にいるの!?」


 愛花さんは口を大きくあけ、怒鳴るように俺に質問してくる。


 「いっいや……授業参観のプリント忘れて……俺んちの親こういうのうるさいから取りにきた……っていうか……」


 愛花さんのあまりの勢いに押されながらおれは答える


 「そっ……そっか……授業参観か……」


 俺の言葉を聞いた愛花さんは声のトーンがわずかに下がった気がしたが、本当に小さなその誤差を俺は指摘できず黙り込む。


 「そ!そんなことより!一夜くんはいつから見てたの!!」


 愛花さんの少し沈んだ声色と俺と愛花さんの間に流れた沈黙のその数秒がまるで無かったかのように愛花さんの勢いは息を吹き返し、その勢いのまま俺に質問してくる。


 「えっと……愛花さんが校庭のほうを見ながらいいなって言ってるところを見ました。」


 きっとここで気を使って誤魔化す選択肢は無数にあっただろうし、実際に俺の頭の中にも何個か浮かんでいたが、なぜか俺は鷽をつきたくなかった。


 「見られたくないとこ全部見られてるじゃん!!!あー恥ずかしい!あのね!私の体機械だから過度な重圧とか衝撃がかかったり、砂とかの微細な粒がパーツの間に入ると壊れる可能性があるからって運動禁止なんだよね!だからちょっとうらやましくて!だから!ほんの少しだけ暗くなっちゃってたっていうか!それだけあって!」


 愛花さんは俺の答えに顔を真っ赤に染めて、かなりの早口で弁解をした。


 「俺はさっきの愛花さんがきれいだとおもった……」

 

 …………っつ!!何言ってんだ俺!?こここんなんなのどこのロマンチストだよ!


 俺は自分の発言を信じられないまま恐る恐る愛花さんのほうを見ると、愛花さんは目を見開き、先程よりもさらに顔を真っ赤に染めながらこちらを見ていた。

 

 愛花さんの表情を見た俺の鼓動が人生で一番早く動き、俺は弁解の言葉を探そうと、パニック状態の脳みそを無理やり動かした。


 「いっいや!その!これは口説いてるとかじゃなくて……なんていうか……俺俺きれいだと思ったあの愛花さんを誰にも否定されたくなくて……って!あれ?何言ってんだ!」


 動かない脳みそを無理やりうごかした結果俺から出た言葉はかなり気持ち悪いもので、自分で言っていて嫌になってくる。

 

 「ご!ごめん!……そ!そうだ!プリント!プリント探さなきゃ!」


 俺は早くこの場を立ち去りたくなったので、本来の目的であるプリント回収に話題を持っていく。


 「あれがほんとの私でも一夜君はいいの?」


 プリントに意識を持っていこうとした俺の耳元に微かな音が聞こえ、それが愛花さんの声だとは気づいたが何を言ったのか聞き取れなかった。


 「ん?なんか言った?」


 「うーうん!何でもない!」


 俺の質問に愛花さんは満面の笑みを浮かべていつも通りの元気な声で答えた。


 耳まで真っ赤にしながら放たれたその笑顔と声はいつもの元気さと同じなはずなのにいつもの違和感を感じなかった。

うおぉぉぉぉぉ!!書ける!書けるぞ!

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