表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生したいおじさん念願の異世界転生するも悲惨だった件  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

58/146

第四章「世界を知る者たち」 第3話「スキルマーケットと、禁じられた記憶」 〔中編〕「スキルは命であり、通貨である」

 剛がスキル断片の記憶から戻ると、街の空気がどこか異様なものに変わっていることに気づいた。

 フェイランの街はにぎやかに見えて、その裏では、明らかに“何か”が蠢いていた。


「なぁ剛。……なんか、街の東区、ちょっとおかしいぞ」


 クレイが低い声で言う。

 いつもの理性的な口調ではなく、剣士としての“危機感”をにじませていた。


「人の流れが変だ。荷車が東の地下に集中してる。しかも護衛が全員、無言で目を合わせないようにしてる」


「情報抑制されてるってことか……」


「たぶん、スキルの密売ルートがある」


 


 剛の脳裏に、あの老婆が言っていた言葉が浮かぶ。


「時折、流れ着くんじゃ……“本来封印されてるスキル”がのう……」


 ──つまり、公式ルートでは出回らない記憶・技術・能力が、地下で“流れて”いる。


「スキルが金になるんなら……そりゃ、盗るやつも、売るやつもいるよな」


 


 そのとき、背後から声がかけられた。


「……よう、久しぶりだな。“β”」


 


 剛が振り返ると、そこにはひとりの男が立っていた。

 スーツのような服に、片目に傷を持つ中年の男。


 その男は、どこか懐かしさを感じさせる雰囲気を持っていたが――剛には、見覚えがない。


「誰……だ?」


「忘れて当然だよ。“あのとき”の記憶は、消されてる。お前の“初期適応実験”のときにな」


「なに……?」


 


 男は名乗った。


「俺は《ロウ・レムナント》。元・転生研究局の外部協力者。そして、かつてお前の“失敗作”だった者だ」


「失敗作……?」


「お前が101回転生する前、同じ“無限適応”を与えられ、13回で廃棄されたのが俺だ。

 でもな……その13回の死で、俺は“違う可能性”を選んだ」


 


 剛は、目の前の男が本気で言っていることに気づいた。


 ──“自分と同じスキル”を持ち、そして違う道を進んだ存在。


「何しに来た……俺に復讐でもしにきたのか?」


「いや。お前に、“選ばせに来た”。この街の地下には、**“封印スキル保管庫”**がある。

 そこには、お前に関する“元データ”も含まれてるはずだ」


「元……?」


「記憶を削られる前の、お前自身。

 もしそれを知れば、お前の進化は止まるかもしれない。あるいは、加速するかもしれない」


 


 剛は黙っていた。


 思い出したいような、思い出したくないような、そんな気持ちだった。


 


 だが、ロウは言う。


「このまま何も知らず、ただの“連戦連敗サンドバッグ”で終わるか。

 それとも、自分の意思で“過去に触れて”未来を選ぶか」


「……脅しかよ」


「選択肢の提示だ。お前に“本当の意味での自由”を与えに来た」


 


 そのとき、剛の胸元のスキルカードホルダーが淡く光った。


【新スキル:不明(鍵スキル候補)】

【発動条件:旧記録との接続】


 


「……やっぱり、逃げらんねぇみたいだな。俺の過去からも、このスキルからも」


 剛は、静かにロウを見た。


「案内しろよ。その“地下”ってやつに。

 俺がどう生まれて、どんな風に失敗して、なんで生きてるのか――自分で知ってやるよ」


 


──後編につづく──

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ