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異世界転生したいおじさん念願の異世界転生するも悲惨だった件  作者: 南蛇井


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第四章「世界を知る者たち」 第1話「転生者狩りの噂と、旧都アルメリアへ」 〔後編〕「旧都アルメリアと、“転生管理者”たち」

ようやく辿り着いた都市・アルメリア。

 そこは、噂に違わぬ“旧文明の首都”だった。


 広大な石畳の道、魔導式の街灯が明滅し、空を見上げれば宙に浮かぶ機械仕掛けの球体。

 剛たちは、いわゆる「中世ファンタジー」の常識を覆す、文明の遺産を目の当たりにしていた。


「おいおい……なんだここ、完全に“SFの街”じゃねぇか……」


「やっぱり……この世界の文明、崩壊してるだけで“元は超技術”なんだね」


 ソラは目を丸くしていたが、どこかその景色に懐かしさすら感じているようだった。


 


「さて……まずはこの街の図書院に向かおう」


 クレイの提案で、旧時代の記録が保管されているという中央知識庁へ。

 彼らを出迎えたのは、知識庁に所属する一人の学者だった。


「おや。あなたが……《スキル・耐性融合保持者》、ですね?」


「は?」


 


 彼女の名は――ノエル=レインリッジ。

 冷静沈着な瞳と、白衣のようなコートをまとった長身の女性。

 転生スキルについて専門的に研究していると語るが、どこか言動が異質だった。


「この世界には、五百年ほど前から“転生者”が現れていた記録があります。ですがあなたの履歴は――想定外。101回、ですって?」


「いきなり個人情報流出してる感じすごいぞ……」


 


 ノエルは淡々と語る。


「ここ、アルメリアには“転生管理装置”の原型があります。

 それはあなたのような例外を検知し、時に“リセット”を提案することがある」


「……待て。それってつまり、転生者が多すぎたら“間引く”みたいな?」


「簡潔に言えば、はい。ですが私個人としては……あなたに興味があります。

 “なぜ、そこまでして生き延び続けるのか”」


 


 剛は黙った。


 何百回も死んで、何度も“瞬殺”されて、それでもなぜかまた目を覚ます。


 何度も嫌になった。


 何度も、もうやめたいと思った。


 でも、気づけば拳を握って、誰かの背中に立っていた。


 


「さあ、あなたに問います」


 ノエルの瞳が射抜くように剛を見つめる。


「“転生の意味”を知りたいと思いますか? そして……“あなた自身の意味”も」


 


 その問いは、重くも確かだった。


 剛は、ぎこちなく――だが、はっきりとうなずいた。


 


「知りたいよ。もう“逃げ場”に使うんじゃなくてさ。“ここに生きてる意味”を」


 


 ノエルは微かに微笑む。


「ならば、ご案内しましょう。《深層図書室》へ。

 転生者すら知らぬ、世界の裏側へ」


 


◆ ◆ ◆


 


 その夜、剛たちが宿へ戻る頃――


 アルメリア郊外の森の中、黒いローブの男が静かに言葉を吐いた。


「《転生者追跡:剛》、確認完了……《オーバーロード》、第一次迎撃準備に入る」


 彼の背後には、冷たい目をした同胞たちが並ぶ。


「“例外”は、管理されなければならない。我らが“この世界の秩序”のために」


 

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