表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生したいおじさん念願の異世界転生するも悲惨だった件  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/146

第三章「仲間と絆」 第8話「飛竜襲来と、あの町の約束」 〔前編〕「帰郷、そして空を裂く影」

「懐かしいな……この景色」


 小高い丘の上から見下ろすのは、かつて剛が“二度目の転生先”として訪れ、

一瞬で火炎に包まれて“火耐性+1”を得た村──レイスト村。


「何が“懐かしい”だよ、滞在時間10分だったくせに」


「いや……なんかこう、“焼かれた痛み”って記憶に残るんだよ……」


「そんな帰省エピソードあるか?」


 


 剛たち“すべらない旅団”は、村の祭事護衛の任務を受けて、再びこの地を訪れていた。

 レイスト村では十年に一度、火山神への“献火祭”が行われ、周囲の火竜を鎮めるという言い伝えがある。


「つまり、村を焼くのは神の気まぐれであり、火竜のせいでもある……」


「そういう曖昧なスピリチュアルってやつ、いちばんやばいやつだよな」


 


 しかし今回は──


「……火山神が“沈黙”している、だと?」


 村長の口から出た言葉に、剛たちは息をのんだ。


 


「三日前から、祭壇の火が一切灯らなくなった。

火竜に供える炎が、どこからも“湧いて”こないんだ。これは……“神が怒っている”印だ」


「つまり……」


「**火竜が“直接来る”**可能性がある。最悪の場合、“赤の飛竜”がこの村を焼き尽くす」


「うわー……これまたデカい厄災きた……」


「で、我々がやることは?」


「当然、“祭りの護衛”だ」


「いやいやいや! この状況で!? 絶対“護衛”ってレベルじゃねえだろ!?」


 


 そんな剛の抗議もむなしく、祭り当日を迎える。


 村は総出で準備に追われ、旅団の三人も祭りの警備、避難経路の確認、神殿の魔法陣の修復など、目が回る忙しさ。


「剛さん、こっちの避雷針の設置もお願いします!」


「避雷針!? 飛竜って雷も吐くのかよ!?」


「たまにです!」


「やめてくれそのランダム要素!!」


 


 そして──


「……来るぞ」


 クレイの呟きとともに、空が“叫び”を上げた。


 


 赤い影が空を裂いた。


 その姿は、火山の溶岩を思わせる赤黒い鱗、三本の尾、そして黄金の瞳。


 “赤の飛竜”──この地に生きる伝説が、ついに現実のものとして姿を現す。


「村に……来る!」


「避難誘導開始! バリケード展開! 魔法支援班、位置につけ!」


「“護衛任務”ってなんだっけ!?」


 


 剛の足元で、かつて彼が倒れて“火耐性+1”を得た場所が、ひっそりと黒く焦げていた。


「今度は……倒れないぞ」


 彼の眼差しが、飛竜と交錯する。


 


──〔中編につづく〕

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ