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生誕

初めての執筆作品です。

気まぐれに綴ったものを投げていく予定です。

……あぁ……くそ……。憎い……。悔しい……。

もしも、もしも生まれ変わることがあるのなら、その時は、

次はもっと……強くなりたいな……。


────────────────────────

「……っ!?」


不意に意識が戻る。

生きてる……?どうして?

建物の屋上から飛び降りて、私は確かに死んだはずなのに。


状況が分からない。

何も見えないし、聞こえない。

声も出なければ手足も動かないのに、身体だけはやたら軽く感じる。


やはり、自分は死んだのだろうか?

それとも、植物状態にでもなって夢を見ているのだろうか?


分からない……。

せめて何か見えるようになれば……。


そう思った瞬間、ぼんやりと目の前が見えるようになった。


暗い。でも確かに何かが見える。


これは……岩か?

目の前に岩の壁が広がっている?

まるで洞窟か何かの中にでもいるかのような……。


そんな馬鹿な、あり得ない。

動揺が膨らむ。


ここはどこだ?いったい何がどうなっている?

疑問が尽きない。


身体が全く動かせず、目の前には岩の壁が広がっている。


わけが分からない。

せめて自分が今どういう状態なのかだけでも分かれば……。

そう思った瞬間、ピコンと軽快な音を立てて何かが表示される。

────────────────────────


《種族》

ゴースト


〈個体名〉

???


〈身体〉

Level:1


HP1/1 МP50/50


状態異常:なし


A:0

D:0

M:30

B:0

S:20


〈技術〉

鬼火


〈能力〉

魔力操作

物質透過

憑依


〈才能〉

なし


《個性》

正義感


〈説明〉

実体を持たない種族。

身体が魔素で構成されており、物理的な干渉は不可。

魔力の扱いに長け、自身の身体も魔力操作によって操作する。


────────────────────────


……まるでゲームやアニメのステータスのようだ。

なんだこれは。ますます意味が分からなくなった。

もはや意味が分からないということだけが分かっているような状態だが、何も分からないよりはマシだ。


少しくらいは理解出来ることがあってほしいという一縷の望み賭けて、とりあえず読み進めてみる。


まずは〈種族〉。

「ゴースト」、か。

ゴースト、つまるところは幽霊だ。

やはり自分は死んでいるらしい。


……自分の思考に笑いそうになる。


「自分は死んでいるらしい」


なるほどどうして、ここまでわけの分からない言葉があるだろうか?


……もういい次だ。

私は理解することを諦めて次の項目へ進む。


〈個体名〉

???


???とはなんだ。

不明ということだろうか。


言われてみると確かに、自分の名前が思い出せない。

一度死んだことで自分の存在が消滅したから、前の名前はもう必要ないということなのか?


……次だ。


〈身体〉

Level:1


HP1/1 МP50/50


状態異常:なし


A:0

D:0

M:30

B:0

S:20


弱い。

あまりにも弱すぎる

それに、全く動けない今の状況は状態異常ではないのか?

ツッコミどころは多いがひとまず置いておく。


次だ。


〈技術〉

鬼火


なんだ鬼火って。

幽霊らしく人魂みたいなものが出せたりするのか?

……今はそんなもの役に立たない。


次。


〈能力〉

魔力操作

物質透過

憑依


下2つは幽霊らしい能力だが……。

……魔力操作?

魔力?現実にそんなものは存在しない。

存在しないものを操作出来て何になると言うのか?

使えない。


次。


〈才能〉

なし


ふざけている。


次。


《個性》

正義感


……正義感。

皮肉な個性だな。


死ぬ前の私は、正義感の強い人間だった。

常に正しくあることを望み、目指し、そして潰れて、死んだ。

その結果が今なのだから、なんと妥当で皮肉な個性であることか。

実に不愉快な話だ。


次。


〈説明〉

実体を持たない種族。

身体が魔素で構成されており、物理的な干渉は不可。

魔力の扱いに長け、自身の身体も魔力操作によって操作する。


やっとまともな説明が来たかと思ったが、期待外れもいいところだ。

見事に意味が分からない。

何度も言うが、魔力などと言うものは現実には存在しないのだ。

そんなものは創作の中の存在であり、フィクションの中だけのファンタジーだ。

存在しないものを使わないと身体を操作出来ないというのなら、それはつまり2度と動くことが出来ないということだ。


それはなんという拷問か。

もしかしてここは地獄なのだろうか。

自ら死を選んだ私への罰なのだとしたら、あまんじて受け入れるべきなのだろうか。


あまりにも残酷な現実に、私の思考は逃避する。


(もしも本当に魔力などというものが存在するというなら、鬼火の1つでも出してみろ。)


そう思った瞬間、目の前にぼんやりと燃える炎が現れ、視界がわずかに明るくなる。


炎だ。

本当に出た。


……本当に出た?

あり得ない。

目の前で起きたことが信じられない。


残酷な現実から逃げ出したくなり、魔力が存在するなら炎を出してみろと思った。


その結果、実際に炎が出た。


それはつまり、この世界には魔力というものが存在することを意味している。


魔力が存在するならば、身体を動かすことが出来るかもしれない。


何も分からなかったところから、少しだけ希望が見えてきた。

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