第二章 11 魔物狩りへ
11 魔物狩りへ
青空の下、ライの町を歩いて行く。
ミーヤは、父親譲りのまっすぐな黒髪を白いヘアバンドで押さえている。セミロングの髪が顔にかからないように。
旅装束に選んだのは、ゆったりした黒いズボン。着替えを何枚も持てないので、生理の時に苦しくないように、腹を締め付けず、血が漏れても目立たない物を選んだ。だが足首までワイドだったので、足さばきが楽なように、ゲートルで裾の広がりを抑えた。靴は丈夫な革靴。
上半身は白の長袖シャツ。その上に、黒の長袖ジャケット。動きやすいように丈は短めだ。春なので重ね着でも暑くはない。
ズボンに合わせてジャケットを選んだので全身が黒っぽくなってしまった。だが、着替えが少ないのは上半身も下半身も同じだし、魔物狩りで出血する可能性もある。汚れも目立ちにくいし、ミーヤはこのコーディネートを気に入っていた。
腰にはベルトポーチ、背中にリュック。
マアチは、赤色のくせ毛に鉢巻きをしている。短髪なので邪魔にはならないが、気合いを入れるため、また汗止めのために、魔物狩りの時は鉢巻きをする。
マアチが選んだのは、藍染めのズボン。ストレートなシルエットだが、腰回りはややゆったりしているので生理でもつらくない。足首は細めなのでゲートルは無し。足元はミーヤと同じく革靴。
上半身は、長袖シャツと、藍染めのベスト。ポケットが多めで便利な品だ。そしてベルトポーチとリュック。
ミーヤの身長は162フィンク、マアチは167フィンク。女の身長として標準の範疇なので、服屋にある既製品の中から選んだ。
ボウは、長袖長ズボンの上に、革鎧、革のブーツを付けている。もっと重い鎧も着られるが、今は初心者二人を連れて弱い魔物と戦う日々だ。すばやさ重視の装備にしている。
腰にはベルトで下げた剣。貴重品は服のポケットにしまうのでベルトポーチは無し。弁当用のバッグを軽く肩にかけている。
ボウは、身長185フィンク。大柄だが、男として珍しいほどではない。服も鎧も、体に合わせてオーダーメイドすると高いので、店に並んでいる物から選んだ。
久しぶりの晴天なので、町には魔物狩り屋がたくさん歩いている。
町人との違いは見ればわかる。町人は、町の中用の布の服。魔物狩り屋は、戦士なら武器防具を身につけ、魔法使いでも、防御力が高そうな布の服だ。
鐘の音が聞こえる。時計塔が鳴ったのだ。
ミーヤは時計塔に目をやる。針は左の真横、朝の七刻だ。
時計塔は一日二回、朝の七刻と夕の五刻に鳴る。夕の五刻は針が真下を指すとき。町の活動時間の始まりと終わりの目安だ。初級学校も朝の七刻から始まる。初級学校は子供が集まる場所なので、終わるのは針が右の真横、昼の三刻と早めだが。
早朝からやっている飲食店もあるが、今から開店する店も多い。
三人は、店先に並びだした弁当を眺めていく。
魔物狩り屋用に、また町人のために、町には弁当が多く売られている。
「どのはさみパンにしよーかな」
マアチが言う。はさみパンとは、具を挟んだパンの総称だ。野外に行くので、主食とおかずが同時に食べられるはさみパンは便利だ。
ミーヤは、野菜とほぐした魚肉がはさまれた物を買った。マアチは、野菜とソーセージのはさみパン。それぞれ50テニエル。ボウは、厚めの肉入り、70テニエルのパンを二つ。
瓶詰めのジュースやお菓子なども売られているが、今は買わない。魔法水筒があるし、ここ数日の収入はゼロなので節約だ。
「町でやることはもう無いな?」
「はい!」
ボウがミーヤとマアチに聞き、二人が答える。準備は整った。
「じゃあ、出発だ!」
三人は、町の外に向けて歩き出した。




