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赤ん坊の隣で

 朝陽の家、アパートの一室に到着した。里奈は大人しい。抱っこバンドで朝陽に括り付けられ、時々キョロキョロしながらも、指をくわえて黙っている。

「ほら、着いたよー。里奈、おねんねしようねー。」

朝陽はベビーベッドに里奈を寝かせると、おむつを取り替え、布団を掛けた。


 赤ん坊を見せられて終わりかと思ったが、そうではなかった。赤ん坊が寝ている隣の部屋で、情事を許してくれた。そのつもりで着いてきたんでしょ、と彼は言った。保育所まではその通りだったが、もう何が何だか分からなくなっていた。色々と理解の範疇を越えている。だが、せっかくなのでお言葉に甘えた。

 情事の後、

「じゃ、帰って。さよなら。」

あまりにもあっけなく、追い立てられた。

「もうすぐ里奈のご飯だから。」

そう言われては、返す言葉もない。

「ちょっと待て。お前があのゲイバーにいたのは、一時の情事の相手を、その……漁りに来たって事なのか?」

その歳で。朝陽はそれについては何も言わなかった。

「はい、出てって。」

玄関へ押し戻される。辛うじて扉に手を掛け、閉められないようにしつつ、

「連絡先、教えてくれ。頼む、朝陽。」

懇願する。このまま帰ったら後悔しそうだ。まず、家を知ってしまったから忘れられない。かといって、勝手に家に押し掛けたらストーカーになってしまう。どうしても、連絡先が欲しかった。

「分かったよ。ほら。」

朝陽はダイニングのテーブルに置いてあったスマホを手に取り、QRコードを出した。慌ててそれを読み込んだ。

「サンキュー、またな。」

そう言って、朝陽にキスをした。朝陽は少し驚いた顔をした。何も言われないうちに、その場を立ち去った。


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