表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/93

五十六話 神について 後

 一連の賢者の話は一息に飲み込める気がしなかった。コイツの考え方は俺からすれば独特すぎる。


 アスリヤも同じような感じだったが、飲み込めないなりに疑問点があったようだった。


「……仮に神が貴女の言うようなモノなのだとすれば、ギフトとは何なのですか?なぜ神は人間に、それも限られた人間にのみ不可思議な力を与えるのでしょう。魔王を倒す為だけを考えれば、そこまで多くの人間にギフトを与える必要は無いと思うのですが」


「さあな。私は神の性質について語っただけだ。なぜそうなのか、そんなことをするのか。それを厳密に知りたいのであれば神の成立過程を知る必要がある」


「成立過程……そんなもの、調べられる余地があるのでしょうか」


「あるさ。だから私はここに留まっていた。永雪域(ここ)には何かある。――とはいえ調べたからといって全てが明らかになるとは限らない上に、そこまで悠長にしている暇は無い。現時点での結論なら今でも出せるが」


「教えてください。勇者様に繋がるかもしれない情報は、全て頭に入れておきたい」


「……なぜ神は多くの人間にギフトを与えるのか。私はこれを安定化の為だと考えている」


「安定化……?」


「神が運行する、もしくはそのものである(ことわり)を、だ。お前は盤上遊戯の類をやったことはあるか?お互いの駒を取り合ったり、陣地を取り合うモノだ」


「あります。あまり得意ではありませんが……」


「アタシは割と得意っスよ。その手のゲーム」


「それと同じだ。神を指し手、ギフト持ちを駒と考えろ。神は自らの存在の安定化、すなわち勝利を目指して世界という盤上に(ギフト持ち)を増やしたいんだ。こう考えれば同じように説明がつく存在があるだろう」


「……魔王と、魔物」


「そうだ。魔王は神の対戦相手であり、魔物は魔王にとっての駒。だから魔物は人間を襲う。盤上を魔王へと傾かせる為。その先にあるのは、さっきも言ったような魔王が支配する世界だ。――ギフト持ちは、神にとっての駒であり、世界への楔なんだ。そして中でも特に強力な駒が勝負を決める為の勇者(切札)に選ばれる」


「……」


「お前は駒を動かす際、その駒に感情を込めるか?込めないだろう。冷徹に駒の能力を測りただ勝利の為に動かす筈だ。神も同じく、自身の安定化という勝利の為に人間にギフトを与えているんだ。これは神に意志は無いという話に繋がる。盤上遊戯に例えたのも、それが理由だ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ