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1.目の前に何か現れた

雰囲気で読んでください。

オチは考えていません。

 頭の上に天使の輪っかを乗っけた極上の男は、突然現れてこう言った。


「いやっほー! カナちゃん、君には今からイケメン4人を同時攻略してもらいます」


 このどピンクファンシーな部屋の主であるカナこと私は、腰を抜かしてフローリングに座り込んでいる。すぐ横で私の二の腕を掴んで同じように震えているのは親友のアケミだ。


「え、な、何こいつ、めっちゃ怖いよアケミィ!!」


「やだ! 私たちに近付かないで! ひゃあ! 何かキラキラが降ってきてるぅ! 逃げようカナちゃん!」


 手を取り合ってお互い涙目だ。訳わかんない! 何この空中に浮いてる馬鹿みたいにイケてる天使はぁ!! せ、背中に翼まで見えるんですけどぉ!?


「あはは! その反応めっちゃ面白い! でも話が進まないから直接見せちゃうね〜」


 その極上のイケメンは何か美術館でよく見る神様みたいな、そう! イエス・キリストの白いローブみたいなのをフワフワさせながら、両手を広げて私達のこめかみを親指と中指で押さえた。


「ぎゃあああああああああ!!!」


「カナちゃああああああん!!!」


 ああ死ぬ! 意味もわからずイケメンに頭鷲掴みにされて圧殺される!! 混乱した頭で有りもしないような光景を想像し泣き叫んでいると、私の想像でしかないその光景が一点の闇に吸い込まれて別の映像に切り替わる。


 私の頭の中に何か入ってくるー!!


 その光景はめっちゃ悲惨! どんなって? 何か色んなところが燃えてて人間が逃げ回ってる。意識すると私がカメラマンみたいで、見ている場所を好きに変えられた。


 高速大渋滞、道路に溢れかえる人、人、人。暴動と略奪、何これ動物が人間を襲ってる!? やばー! パンデミック映画じゃんこれウケるー!


 私は夢中になって色んなところを映した。私の想像力ヤバすぎ、映画一本撮れちゃううう。


 おっしゃもうちょっとカメラ引いてみよー! わお! 引きすぎて宇宙まで来ちゃった! 地球あおーい!!


「って何これ……」


 夢中でカメラを振り回しウキウキだった私の気分がサッと引く。


「カナちゃん同じの見てる……?」


 アケミも同じ光景を見ているようだ。教科書嘘じゃん、地球丸くないじゃん。だって――。


「「超巨大隕石で地球が割れてる……!?」」


「あはは! わかった? これ未来の地球の姿ね」


 イケメンは満足したみたいでその手をパッと離した。え? 何それ。


「そ、そんなはずないじゃん! もし隕石が本当でも日本が核ミサイルでも何でも撃って隕石破壊するもん!」


「アケミの言うとおりだぞー! こちとらゴジラもやっつけちゃうトンデモ国家だぞー!! すんごいんだぞー!!」


 私とアケミは手を合わせてイケメンに吼える。ワンワン!!


「君たち仲いいねぇ、めちゃくちゃ面白い。あ、駄目だ笑いすぎてお腹痛い」


 イケメンは翼を羽ばたかせてその場でクルリと前転した。ってこいつ浮いてるー!!! あ、元々浮いてたわ、まあ良いか。


「「ぎゃあああああああああ!!!」」


 今までの消費カロリーいくつぅ!?


「ぶはは! そろそろ慣れてくれないかな」


 イケメンが手を一度叩くと何故か心が落ち着いた。え、こんなにテンション下がるの歴史の授業受けてるときくらいだわ。シジミンのハゲ頭見て何とかテンション保ってるのに。


「あへー」


 口を開けて頭の中を真っ白にしてるとイケメンが指を振った。


「アケミちゃんはサービスだよ。協力無しに4人同時攻略なんて出来ないだろうしね。でもまあ、頑張りを見せてくれたらもうちょっと増やしても良いけど」


「勝手に話進めないでくれる?」


「そうだそうだー!」


 訳のわからないことを言うイケメンの言うことなんて聞いてやるかー! そう訴えているのにイケメンは親切心ってのを持ち合わせてないみたいで、どんどん何かをくっちゃべってる。


「パラメーターも見えるようにしておくね。はい、これカナちゃんの今のスペック」


 イケメンが手を振ると私のお気に入りのバンド、三毛エンジェロのドデカポスターに数字が色々出てきた。


「何これ、体力90、勉強50、雑学50、色気50……」


 シンバルの上に疲労20ってのもある。他にも色々書いてあるけどこれが一番目に止まった。だってこれさっきまで絶対に19だったもん。


「カナちゃんこれ……、私たちの大好きな“どっきんドキドキドッキングメモリアル”の画面に似てない……?」


 私はアケミの言葉に目をかっぴらいた! 本当だ!! これ私たちがどハマリした“ドドメモ”にそっくりじゃん!!


「言ったでしょ? イケメン4人を攻略してもらうって。こういう感じにしたらわかりやすいかなって」


 イケメンはまた空中で前転するとゲームのオープニングみたいな解説を始めた。


 ぷるあ! 光の粒子が目に刺さる!


「ヒロインはカナちゃん、君だ。アケミちゃんはサポーターとして一緒に活動して良い。さっき見せた地球は2年後の姿ね。カナちゃんがイケメンを同時に攻略出来たら回避される」


「ええ〜、意味わかんない」


「わかんなーい」


「ある方がこの世界を存続させるべきなのかって悩んでらしてるのさ。世界の存亡は君たちに掛かってる」


「ええ〜、無責任ー」


「むせきにーん」


 でも正直、ちょっとワクワクしてる。要するにリアルドドメモってことでしょ? アケミと目を合わせたらアケミもめっちゃワクワクしてるみたい。


「攻略対象はこの4人ね」


 イケメンは自分の羽根を抜いてこっちに渡してきた。ヤダ怖い、私が受け取ると一枚の紙に変化するイッツマジック!


「何なに〜? 西園寺渚冬さいおんじなぎと南城春樹なんじょうはるき東刈谷夏海ひがしかりやなつみ北王寺秋良きたおうじあきらぁ??」


「え! やばーい! これうちのどどめき高校のビッグフォーじゃん!」


 はい、無理ゲー来ました。世界が滅ぶ前に近付けないんだもん。会話もしたことないわー。


「ハイ無理ー、解散解散。アケミポテりこ取ってー」


「はいカナちゃん。こんな時間に食べるのが背徳的〜」


 今22時だぜ? もう股開いてあぐらですわ。震えてた私たちどこ行った。


 イケメンは慌てて私からポテりこを取り上げる。何すんだい!


「ま、待って待って! 大丈夫だから! その辺は僕の力でフラグ立てて何とかするから! 世界のために諦めないで!」


「勝手に滅びればいいじゃん! 滅ぶ前に一瞬で死ねば怖くないし! 2年間遊びの限りを尽くしてやるぜぇ〜!」


 手をワキワキと蠢かせるとアケミも隣で同じようにイケメンを煽る。仲良いのよまじで。


 調子に乗ってヒャッハーと中指を立てながらイケメンを煽っていると、やれやれと首を振って笑われた。


「何でも一つ、願いを叶えてあげると言ったら?」


「「ん!? 何でも!!?」」


 こいつぁー言っちゃいけないワード第一位来ました。何でもするから助けてくださいと来たぜ、アケミィ。ニヤニヤと視線だけアケミに送ると同じことを考えているようだ。


「いや、何でもってこっちが叶える側だからね? 出来ることと出来ないこともあるからね?」


「ええ〜、つまんなーい」


「つまんなーい」


 釘を刺されてしまった。私を神にしろとか願いたかったのに。


「どうしよっかなー。ねえ? カナちゃん」


「アケミィ、意外にこいつショボいのかも」


 部屋のすみでコソコソ話してたらイケメンが私たちの間に顔を突っ込んできた。やばば、めっちゃほっぺ近いい。


「いやほら、お金ならいくらでも用意できるよ」


「ハッ!!!!」


 アケミと手を組む。踊りだしそう! そうだ金だ!! 金で良いじゃん!! サイコーじゃあああん!!!


「やろう、アケミ」


「うん、絶対に1兆円を救ってみせる」


 ビックリするくらい私たちは真剣だ。


「あ、じゃあ私2兆円〜」


「ええー、カナちゃんずるい〜」


 何が何でも世界を救ってみせるぅ!!


「ははっ! やる気になってくれたみたいで良かったよ」


 こいつらの相手すんのつれぇーなんて聞こえた気がするけど無視無視!


「で? イケメンくん。名前なんて言うの?」


「え? あー……、自己紹介まだだったね。うーん、そうだなぁ」


 自分の名前を名乗るのに考えることなんてある?? 私馬鹿な男は嫌いなんだけど!


「あー、ジェイって呼んでよ。よろしくね、カナちゃん、アケミちゃん」


 ジェイは金髪碧眼をキラキラさせて笑った。やだ、ちょっと胸ときめくじゃん。

“ドドメモ”を“どドドド”にしようと思いましたが訳わからないので止めときました。

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