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第32話 教室対抗戦(そうちゃんの初試合)

ご覧いただきありがとうございます。

先日は時間遅くの更新でしたが、PVは100を超えています。

桁が変わるとやる気が変わる。

やる気が変わればアイディアも変わる。

このアイディアはいいものか悪いものかはわかりませんが。

俺の初めての対外試合。

公式戦じゃないらしいけれど、仲間以外との練習試合。

通っているサッカーチームでも練習試合となるとテンションが上がる。

サッカーと違って仲間と協力できないのが将棋だ。


(勝ち負けが分かりやすくて面白え)

これが俺の将棋との出会いのきっかけだ。


父親から何気なく教わったルール。

勝ち方を教わってから、将棋ってこんなに簡単なんだと興味を持った。

学校で流行らせたのも俺だった。


皆はちょっとルールをかじっただけ。

俺は基本的に負けていなかった。

たっちゃんもそう。

将棋の名前こそ知っていたけれど、駒の動かし方は知らなかった。

しばらくは俺が勝ち続けた。


いつの日か、たっちゃんに初めて負けた。

衝撃的だった。

全く知らなかったところから、わずかな日にちで負けてしまうなんて。

その直後の勝負では俺は勝ったけれど。


後からたっちゃんは図書室で将棋の本を借りていることを知った。

勝ちたくて、自分なりに勉強していたのだろうな。

あの勝負はただのまぐれだろうと負けたことには少々気になったけど、特にそれ以上は気にしなかった。

遊ぶことはたくさんある。

毎日楽しかった。


たっちゃんが俺に勝ってからしばらくした。

いつも放課後は男4人揃って公園で遊んでいたんだけど、たっちゃんが来なくなった。

理由を聞いた。

将棋の大会に出るって言ってた。


俺は少し寂しかった。

リーダーである俺から離れて、別の誰かと遊んでいる。

そう思っていた。

だけど、たっちゃんは申し訳なさそうな表情をいつも見せる。

ああ、これは断れないんだろうなって思った。

いつか帰ってくると思って優しく応援していた。


大会が終わっていつもの放課後に戻ってきた。

たっちゃんも戻ってきて、いつもの4人で公園で遊ぶようになった。


だけど、昼休みだけはたっちゃんはクラスにはいなかった。

俺も後で合流したんだけど、4年生の教室で将棋を指していたらしい。

その頃はもう俺たちのクラスでは将棋は下火になっていた。

まさに流行りってやつだった。

俺はそれには気にしていなかった。


その辺りから気が付けば、たっちゃんの雰囲気は変わっていった。

持ち前の性格は変わっていない。

いつも俺を頼りにしてくれるし、放課後はいつも一緒だ。

だけど、成績がぐっと伸びたし、鬼ごっこやサッカーも強くなった。

サッカーの1VS1でもたまにボールを取られることがあった。


俺は焦った。

なんで急に強くなったんだろう。

俺はリーダーなんだから、誰よりもつよくなければいけない。

いつしか、そう思い込んで空回りしていたようだ。

たっちゃんにも嫉妬した。

ひどいことを言った。

俺はたっちゃんを傷つけるつもりはなかった。

ただただ、不安に押しつぶされそうだった。


担任の先生と3人で話したとき、本当に後悔した。

たっちゃんはただ好きで将棋を始めて、それでたまたま成績も上がっていったらしいことを知った。

俺はたっちゃんに謝った。

たっちゃんは許してくれた。

俺は嬉しかった。

それ以上にたっちゃんの真似をしたら、俺はもっと強くなるのかもしれないって思った。


そして、将棋に混ぜてもらった。

今、将棋教室にいる。


目的だった成績はどうなっているのかまだわからない。

けれど、将棋は強くなった。

これは確かに面白い。


隠し事やフェイントが一切効かない盤上で自分のイメージの通り盤面が進んでいく。

有利なら嬉しいし、不利なら悔しい。

諦めずにいれば、時々逆転もある。

それもたった一手でだ。


相手の攻め方をイメージするのが楽しい。

その攻めを受け切れるイメージができるのが楽しい。

盤上はただのイメージの途中で、実際にイメージ通りに進まないのがまた楽しい。

悩んで悩んで、一生懸命に指し続けて、そして勝つことが楽しい。


将棋はこんなにも考えるゲームだったんだ。

そりゃ、たっちゃんも将棋以外にも強くなるなって納得した。


級があがることが楽しい。

たっちゃんにはだいたい負けるけれど、たまに勝った時が楽しい。

そして、優ちゃん、雛ちゃんみたいなかわいい子と一緒の時間を過ごせるのが楽しい。


さて今、1局目が終わって2局目が始まる。

1局目は残念ながら負けた。

次も相手は俺より強いのだろう。

1局目の結果でだいたいの棋力が想像できる。


負けて当たり前、勝ったら大喜びができる。

こんな俺に有利な展開があるのだろうか。

たっちゃんと指し続けた居飛車同士の戦いならひょっとして勝てるかもしれない。


全力で応じてみよう。

桜井先生は俺も何かの大会に出させたいらしいし、レギュラーをとりたい。

そのために道場仲間とのよくある指し方ではなく、全く知らない相手と指してみたい。


俺はこの教室に来てよかった、と今猛烈に感動しながら2局目を指している。

ブックマーク、評価、感想ありがとうございます。

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