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第30話 教室対抗戦(高槻さんVS相川さん-2)

ご覧いただきありがとうございます。

よくわからないお昼の時間帯にPVが伸びている・・・。

リピーターさんだろう。連載を始めたころに比べてユニーク数も倍増。ブックマークもまもなく20。

少なからず将棋の魅力をお伝えできているんだろうなぁと嬉しく感じます。(思い込みかもしれません)

水無瀬君。

大会で初めてあったけれどなかなかかわいかった。

一生懸命に指していて、私もこんな初心者の時があったなあと思い出させてくれた。


今の教室は確かに楽しい。

だけど、あの大会で見た水無瀬君の本当に楽しそうでキラキラしている姿は見られない。

水無瀬君はあの大会で、本人はわかっているのかどうかはわからないけれど、きっと受け切られることもわかっていながらも攻めの姿勢を崩さなかった。

あの勇気は尊敬できる。


将棋は強くなるにつれて、細かいやりとりが大事になっていく。

指したい手を指すだけでは相手は応じてくれない。

攻めたくても我慢する時が多い。

時には相手の嫌な手を指さなければならない時もある。


そう、将棋に勝つために。


いつからか、自分の攻め方よりも相手の攻め方を考えることが多くなってきた。

この作業は本当に大変。

だからこそその細かい指し手が楽しい、ということも理解できる。


だけど、勝つか負けるかわからない思い切りのいい勝負こそが一番楽しい。


今日は桜井将棋教室にたまたまお邪魔したけれど、まさかあの子がいたなんて。

なんと素敵な日なんでしょうか。


緒戦はやっぱり、水無瀬君と指したかった。

だから、迷わずに彼の前に着席した。


他の子も大会で思うところがあったのでしょう。

同じ相手を選んだ。

皆、年下相手だけど楽しそうだ。


将棋の魅力のひとつもこれだよね。

年齢関係なく、言葉を交わさず楽しめる。

そう、言葉は盤上と駒にある。


水無瀬君との勝負はやっぱり楽しかった。

前の対戦は覚えていたので、おそらく居飛車で来るだろうと思っていた。

予想通りだったので、四間飛車でやっぱり受けてみようと思った。

更に予想通りの急戦で来た。


「居飛車VS振り飛車」の急戦は振り飛車の有利に働くことが多い。

それでも、水無瀬君は急戦を選んだ。

早く会話を楽しみたくて仕方がない、そんな感じだった。


さぁ、頑張って捕まえてよね。

そんな感じで駒を動かした。

無理攻めでも諦めない、私は読めていても水無瀬君は読み切れていないのだろう。

だけど、水無瀬君は無理攻めだと信じずに私の玉に手が届く、そう信じて疑わない。

その追いかけてくる姿勢、とてもたまらない。

負けたくないけれど、途中から私も読みを捨てて攻め合いに転じた。


受け切って勝つのは簡単だけど、お互いの切り合いがやっぱり楽しい。

結局は負けてしまったけれど、とても楽しかった。

負けて楽しいと思ったのは久しぶり。

2局目は彼を強くしたくって、ちょっと本気を出しちゃった。

対局中なんども笑みがこぼれてしまったけれど、水無瀬君にはばれてないかしら?



さて、今は2局目だ。

相手は水無瀬君を将棋の世界に引き込んだらしい高槻さん。

私と彼が指している姿を見てイライラを隠していなかった。

彼女もとてもかわいい。


水無瀬君も高槻さんを意識しているようだ。

でも、自覚はないっぽいね。

まだ。3年生だし。


高槻さんとも良い勝負ができそうかな。

今日は練習試合でよかった。

勝ち負けを気にせず、思い切り指せる。

それでも時間は使ってしまう。

けれど、受けることを考える時間より攻めることを考える時間に使った方がストレスもなく楽しい。


彼女は三間飛車を選択した。

なら、私も合わせようかしら。

少々形はおかしいかもしれないけれど、なんとかなるわよね。


お互い金無双の囲いを完成させて、歩の交換を入れる。


挿絵(By みてみん)


(先に攻め切ったほうの勝ちか・・・・)


この思考に入るのがとても楽しい。


(また、こういう機会をお願いしようかな? それとも、ママに頼んでこっちにも顔を出すようにする?)

対局中でもこんなことを考えてしまう。


プロを目指す子がいる。

彼女は一生懸命に勉強している。

その結果は出つつある。


だけど、その姿は苦しそうだ。

きっと、その通りだと思う。

プロの世界でもプロになるには年間4人。

他の職業よりもずっと厳しい。

まあ、強かったら何でもいいのかもしれない。


だけど、これからの青春を将棋だけに捧げるのは私にはできない。


まぁ、とりあえずはこの勝負か。


隙を探す。

守りはとりあえずだ。


「△4五歩」

高槻さんは、飛車の横利きを利かす。

受けにも対応している。


「▲7六銀」

銀を攻め駒に活用する。

自分と相手の角と銀、見比べてみれば、こちらの方が有利だろう。

後は、9筋の端歩を突いて、8筋、9筋から攻めていこう。


・・・・


「参りました」

高槻さんが頭を下げる。


本当にぎりぎりの勝負。

攻める前は私が優勢だと思ったけれど、あまりそうではなかったみたい。

もっとも、相手の得意戦型だったみたいだから術中にはまってしまったのかもしれないけれど。


「ありがとうございました」

私も頭を下げた。


頭を挙げた時、高槻さんを見る。

とても悔しそうだった。

ああ、水無瀬君の手前、負けたくなかったんだね。


「水無瀬君と高槻さん、お似合いだね」

その一言で高槻さんの顔は真っ赤になる。

機嫌も大分直ったみたい。


(なるほどね)


スムーズに感想戦が始まる。

やっぱり、高槻さんは振り飛車一本で初段まで上がってきたらしい。


勝負には勝ったけれど、私の知らない手筋がいくつもあった。


(居飛車と振り飛車の両刀はやっぱ大変だ・・・・)

そう思わされる感想戦。


それでも勝てたのは年齢と対局数の差だろうね。

来年の高槻さんでも勝てるだろうか。


まぁ、勝てなくてもこうやって盤上の殴り合いにつきあってくれるでしょう。


本当に桜井将棋教室の生徒の心はきれいだ。

よくここまで強くなったこと、すごいことだ思う。


「また、やりましょう?」

その問いかけに高槻さんは、

「うん! ぜひ、お願いします!」

と全力の笑顔。


これは、さっきの対局がお互い全力だった証。


本当に面白いなぁ、将棋は。

ブックマーク、評価、感想、ありがとうございます。

毎日の投稿のアイディアがなかなかまとまってはいませんが、感想にいただいた道しるべを仕事の合間などでイメージしています。

周囲に奨励会の方と接する機会もあり、彼らを見ているとまさに命を削っている。

そんなイメージがするのです。単純なサクセスストーリーでもいいのかなぁ。

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