第14話 団体戦!⑤(昼食タイム)
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お昼時。
僕、高槻さん、茨城さん、そしてママたちと妹、7人でファミレスはなかなかに大所帯だったけれど、幸いにして席はあった。
四角いテーブルをぐるっと座席を囲っている席だ。
子供たち同士で固まり、その横に親同士+妹と言った並びになった。
「好きなものを食べていいわよ」
僕のママは僕にそう言った。
「僕はお子様ランチ!」
ハンバーグとジュースとおやつとオモチャ。
これほど魅力的なメニューはないだろう。
「「私も」」
と子供たちの二つの声。
妹の分も合わさって、お子様ランチ4つだ。
ママたちも注文を終えたようで、まず、午前中の試合の振り返りをしていた。
「水無瀬くん、本当に勝ってよかったね」
改めて、高槻さんが褒めてくれた。
「正直、一勝はダメかなって思ってたよ」
と、茨木さんの厳しい声。
「何故勝てたか、僕にはよくわからなかった」
率直な感想を述べる。
「確かに居飛車相手と指すのは将棋教室くらいだもんね」
「相手が知っている戦法で来たのが大きかったかな?」
と、高槻さん、茨木さんがそれぞれに話す。
「知っている戦法?」
「そう、自分が知っている戦法は嫌な受けられ方をされるから、自然に覚えるの。最初のうちは、1つでもいいから知っている戦法を続けたらいいよ」
「わかったよ」
と、アドバイスを受けた。
「高槻さん、茨木さんは強いね」
お返しに2人を褒めた。
「えへへ、ありがとう」
「ギリギリだったよ」
と、2人も嬉しそうだ。
「2人とも大会はよくでるの?」
「大会はねー、今回で2回目だよ。前回も優ちゃんと一緒に個人戦に出たんだけど、予選落ちだったんだ」
「へー、高槻さんでも予選突破は難しいんだね」
「もちろん! 6年生もいるし、私と同じ年で有段者もいるよ」
「有段者?」
「そう、大人たちに混じって将棋を指してるよ。中にはプロを目指している子もいるみたいね」
「大人と指して勝つの?」
「そうなの、そこが将棋の面白いところ。スポーツや勉強じゃ、大人になかなか勝てないけれど、将棋なら強い大人相手でも勝てたりするんだ」
と高槻さんと話をする。
茨木さんも合いの手を出してきた。
「でも、あまり強い子は私たちの大会にはでてこないから大丈夫だよ。大会よりもプロになる方を優先しているみたいだしね」
「そうなの?」
「うん、プロ養成所みたいなのがあってね。そこに入っちゃうと、私たちみたいなアマチュアの大会には出られないんだ」
「へぇぇ」
「でも、養成所に入ってなくて強い子もいっぱいいるけどね」
と、教えてくれた。
ママたちはママたちで将棋の話はさておき、学校の行事や習い事について話をしていた。
そうこうしているうちに食事が届く。
食べながら話を続けた。
お話ししながら食べるご飯っていつもよりおいしく感じるね。
「ところで」
と一拍おいて高槻さんは言う。
「この後なんだけれど、予選の3つ目はおそらく勝てないと思う。2戦目、私が先に終わったので対戦相手を見てきたんだけれど、どうも前の大会で完膚なきまでやられた子みたいなの」
と、少し悲しそうな表情だ。
「ああ、あの子か~」
茨木さんも心当たりがあるようだ。
「確か、優勝していなかったっけ?」
「そそ、だから余計に覚えてるのよ」
と二人で盛り上がる。
(なるほど、次は高槻さんでも勝てないのか)
と、気持ちを引き締める。
「でも、トーナメントには決定しているから、目標は達成したし、負けても引きずらず本選を考えよう!」
「1回戦で負けたとしても、帰りは3時頃かな?」
と、いろいろ知ることは多いね。
高槻さんが続ける。
「そういえば、桜井先生もお昼から顔を出してくれるって言ってたね」
「応援来てくれるのは嬉しいね」
「でも、私たちが決勝に残るってわかってたみたいね」
「たしかに・・・」
ガールズトークが再び続く。
「本当にどうやったら強くなるのかしら?」
「ほんとにねー、雛ちゃんに”級”は勝ってるけれど、まだ”段”ではないんだよね」
「私たち、一生懸命やってるつもりなんだけどなぁ。あ、もちろん、水無瀬君もね」
二人とも十分に強いのに、という気持ちは抑えた。
「どんな勉強してたの?」
と聞いた。
「6級くらいまでは戦法を覚えたかな? 今は詰将棋が一番多いね」
と、茨木さん。
「優ちゃんとやってたら自然に強くなったね」
と、高槻さん。
「次はどうするの?」
「そうねぇ、長手数の詰将棋も挑戦しようかしら?」
「あと、次の一手で手筋も覚えないとね」
うーん、やることは多そうだ。
「そろそろ戻りましょうか」
食事も終えて、高槻さんのママがそう言った。
うん、とみんなが頷き移動し始める。
お子さまランチのおもちゃは3人とも同じシャボン玉だ。
大会が終わってから、近くの公園で遊ぼうと約束した。
市民センターに戻る。
予選3戦目の開始までもう少し。
ママに促されてトイレに向かう。
返ってきたところにママがこう言った。
「楽しんでおいで」
(ありがとう!)
僕はにこっと笑顔で返事をした。
そして、3人で試合会場へと向かった。
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