第4話 魔力の器
先日のあの怪しすぎるだけでなく、闇の加護を受けているサタン王の到来のおかげで私は体調を崩していた。
本来闇の加護は今は封印されし魔族のみが纏うことの出来る加護。その加護は一般人には無害だが、神族に対しては効果を表し、心身ともに害を及ぼす。
「にしても···なぜ闇の加護を?」
『ほんとほんとー!闇の加護、前の王様が封印したのにー』
『でも、死んじゃったんでしょー?封印が弱まったんじゃない?』
先代の王 アーサー=クリーチャーはとても人柄が良く、精霊たちも好んで遊びに向かうほどだったらしい。今の王とは真逆だな。
「風の精霊はいる?」
『はい!』
「私はこの通り、外の世界に行くほどの体力は回復してない。だから、情報収集頼める?」
『了解!!』
ビシッと効果音がつきそうなくらい張り切って敬礼をしている風の精霊。風の精霊は情報に関してはピカイチなのでそこらの情報屋より安心できる。
「···この身体にも困ったものだな」
あの日、激痛による後遺症が残ってしまった私。その後遺症とは、発作、激しい動悸、そして弱体化であった。これらを解明したのは科学の擬態を持つ マッド。彼は擬態の能力で簡単に解明できるのだが·····
ホントびっくりだな。
「まさか本人がここに来るとは思わなかった」
「まぁまぁそれほどでも」
「驚いただけですから。褒めても貶してもありませんよ」
回想を繰り広げているうちにいつの間にかマッドが訪ねてきていた。人間は入れないって?精霊に許されたものなら大丈夫です。
「ふーむ、精霊がこちらにやってきたものだから何かと思えば···やっぱりお前はここにいるべきじゃない」
「急に何を仰ってるんですか。私は精霊王ですよ。」
「聖地は神の住処。神は聖地から発せられる永久不滅の魔力を補給し続けて生き長らえている。君は神だが擬態しない限りは人間だ。身体に限界がきている。」
つまり彼が言うには、元からボロボロなコップに永久的に水を注ぎ続けてる状態だと言いたいのだろう。そのまま注ぎ続けてればいつかはコップは割れる。
それと同様、私の身体も滅びるということ。
「だけど、擬態が精霊王である限り私はこの場を離れる訳にはいきません」
「んーどうすっかなぁ」
『僕達お留守番できるよ!』
『守ってるから回復してきてよ!アル様!』
精霊達は一斉に同じようなことを口にした。しかし、王がいない王城など悪党の恰好の獲物になるだろう。しかもこんな大量な精霊がおり、神の泉もあるのだから·····
ダメだ、やはりここをどくわけなはいかない。
「やっぱりダメです。心配しかありません」
「お前、擬態化を続けてれば魔力のサイクルできるしいいんじゃね?」
「それは試しました。···しかし、擬態化した際問題が発生したんです」
私は擬態化したとき、他の人と違い異質な問題が発生したのだ。
「魔力を消費しない!?」
「ええ。むしろ溜まっていく一方なんです。人間の姿だと擬態時より魔力供給の量は少ないから人間になってるんですよ。」
何故かわからないが一般的には擬態化する度に魔力は消費する。擬態化を維持する場合は簡単に言うと維持費を魔法で補うと言えばいいのだろうか···擬態を解かない間は魔力を少しずつ消費してゆき、一定を超えた場合強制的に擬態は解ける。
それが私には無いのだ。つまり維持費タダ、チートじゃね?と思う私だったが、ここで欠点を発見する。
「つまり、お前は魔力のサイクルが一方的に入ってくるだけで出来てないということか」
「そうです。だから月一でここに最上位魔法 絶縁結界を貼って魔法をぶっぱなしてます」
「辛うじてそれでもってるというわけか」