第3話 王様の到来
アテナ襲撃事件から次の日
私はなにやら精霊達が怒っている様子なので、寝室から出てみる。因みに私と精霊は一心同体に等しいので精霊が怒っているということは私が怒るような人がいるという事だ。
「···おお!!アルラウネ=レヴェンカ殿、いや、精霊王 アルラウネ様」
そこに居たのは悪徳そうなニヤケ顔で何を思ってるのかわからない目、そして闇のように黒い左眼と鮮血のような紅い右眼をもつ王都の王 サタンがいた。この王、本当に善側の王なのか疑問に思う。
王が来るような場所ではないがなんの用かは不明だ。しかし、あの顔を見るだけで不愉快だ。
「何の用ですか?」
「実はうちの最大戦力であるアテナ=レヴェンカ様の神の御加護が無くなっておりまして···精霊の神であり、聖地の王である貴方様ならご存知かと」
「アテナ=レヴェンカは昨日、ここ聖地を襲ったのですから私が神の加護を剥奪しました。」
嘘なんぞついてもどうせ見破られるだろうしここは真正面から言い切ってやった。
すると、サタン王は深く考える素振りを見せた。
「どうにかしてその神の御加護を戻すことは出来ませんかね」
「無理です」
「そこをなんとか···そうだ!この聖地の周りにある土地も木を生やして精霊王の領域に致しましょう!!」
「勝手に話を進めないでください。」
前世の記憶では、前回の話でアルラウネ=レヴェンカは死ぬ。だけど私は死にたくないので回避したものの···はてさて、次の物語は一体何なのだろうか。全くわからん。
「ならば···何をすれば返してもらえるのですか。だいたい、他人の擬態の能力の一部を奪うなど···」
「擬態を使用し悪事を働こうとするものを止めるために王達は絶対設定を設けたと聞きますが」
「それはそれですよ!第一、アテナ様は悪事を働いておりません。···あなたは勝手な理由をつけて害になるものを排除したのですか」
そう言ってサタン王は下品な笑いを浮かべ始めた。何勝手な想像を思い浮かべてるのやら···
「これは王会にて議題に出す必要があるようですねぇ。味方でいるべき精霊王が罪のない者の擬態の能力を奪ったとね!!」
「意味が分かりません。そう伝えるのなら伝えなさい。こちらからも対処させてもらいます。例えば·····そう、国中の精霊が居なくなったとかね」
そう言うと、サタン王は大層悔しそうな顔を浮かべていた。精霊達もそうだそうだと後ろで声援を送ってくれている。可愛いな。
「今日のところは引き下がりますが·····次こそは覚悟していてください。」
そう言って王様は消えていった。
私はへたりと脚に力が入らず地面に座り込んでしまった。はしたないが仕方が無いだろう。
「···あいつ、闇の加護を受けている」
『大丈夫ー?アル様頑張ってた!』
『闇の加護、危険だった!』
すると、治癒属性の妖精が私に魔法をかけてくれた。
『アル様、頑張って!精霊は精霊王の仲間だよ!』
「ありがとう·····」
私は早めに寝床に着くことにした。