第一話 『後悔ばかりある人生で申し訳ない』
俺は首の周りを縄で締め付けていた。いや、その表現は少し間違っていた。これは自ら望んで行っているのではなく、傍らにいる幾人かの男性どもがそうさせていた。
「自分の手をお前みたいな下種のために汚したくない。死ぬんなら、お前ひとりでやってくれ」
だから、首を締め付けていたのではなく、首を締め付けるように命令されたと言ったほうが正しいのだろう。
(本当はそんなことを言っていない。ただ、俺が自分で首を絞めるからと言って彼たちにやらせないようにしているだけだ)
自分が取り返しのつかない罪を背負ってしまったから、少しでもその重りを軽くしたいだけである。
「何であんなことをしたんだ!」
「この人でなし!」
「お前なんか、さっさと死んでしまえばいいんだ!」
「返してくれよ! 早く返してくれよ!!」
「お前みたいな奴がいるから、お前みたいな奴がいるから」
「一体、あいつは何を考えているんだ!」
「経緯を教えてください」
「あんなことする必要なんてどこにもないじゃないか……」
「絶対に殺してやる。お前だけは許せない!」
「絶対に許さないからな!」
「簡単に死ねると思うなよ!」
「どうして?」
「信じていたのに……」
俺はただ誰かを救いたかったはずなのに。あのテレビの画面に映るヒーローのように誰かを明るくさせたかった。本当にそれだけだったのに。
それなのに、俺はどうしてこんなことをしなければならないのだろうか?
何度目かは分からないが、何でこんな状況に陥ってしまったのか、まるで走馬灯でも見るかのように思いを馳せた。