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2014年/短編まとめ

ハロウィン少年

作者: オミ

茶色の耳。


フワフワした肉球グローブ。


狼男に扮した彼がいた。


「……可愛い」


私の一言に彼がピクリと反応した。


そして眉間に深いシワを刻む。


あ、機嫌損ねた。


狼男の彼がスタスタと近づいて来て、今度はニコッと笑う。


まずい、と警報を鳴らした瞬間にその手が掴まれ拘束される。


あ、待って、痛い。


ギリギリと締め上げられ骨が悲鳴を上げている。


「Trick yet Treat.」


彼の顔にはあくどい笑顔。


私英語苦手なんだけどと突っ込む暇はない。


ぐるん、と体を反転させられ耳元に息を吹きかけられた。


「うひゃあ?!」


色気のない悲鳴で彼がくつくつと喉を鳴らして笑う。


ひどい。


謝ってお菓子をあげて逃げよう。


そう考えた私だが耳元で彼がそっと囁く。


「まだまだ、始まったばっかりだからな」


逃げられない。


狼に捕食される。

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