A地区の日常1
次回予告とタイトルが少々異なります。すいません。
A地区は他の地区と比較すると山が多いという。この山に囲まれた地区に私たちは住んでいる。こういうの地形を盆地というそうだ。
山というのは草木が生い茂るものもあれば私たちのようにゴツゴツとした岩肌がむき出しておりほとんどが100°の角度で登ることは不可能である。最も山を越えた場所は汚染区域とされているため登る必要性がない。むしろ登ろうとしていたら警備隊につかまるであろう。警備隊とは治安維持のための組織であり立入禁止区域に侵入しようとしているものの逮捕を行い従わぬ場合は射殺する。また殺人や強盗などの罪人に対してもこれが適用される。どうやら100年以上の前の世界も同じような組織があったらしい。
ただ100年前と違うのは山ほどあるという。まず地上を高速で走り抜ける乗り物や空中を自由自在に飛び回るものが昔あったという。
その地上を走り抜けるのは馬車とは違うようだし、空を飛ぶというのも気球とは違うようだ。
食料や水は備蓄するほどあるという。A地区は人口が一番少ないと推測されている。人口70万人である。
今年で新年号歴119年だが人口は大して変わっていないと聞く。人口統計グラフをみても新年号歴20年の情報からあるがほぼ平行線である。世界で爆発的に人口が増え水や食料が足りず人類が滅亡しかけるなどにわかに信じがたい事である。
「もうこんな時間か」洞窟から脱すると空がオレンジ色に染まり1日が終わりかけている事を示す。ここから家までは少し遠いので走って歩いて走って歩いてをくり返す。ようやく家に帰り着いた時には太陽が山にすっぽりと姿を隠そうとしている直前だった。
「ただいまぁ・・・はぁ」急いで帰ったため疲れた。「おかえりなさい」母が返事をした。 お父さんはどうしたのだろう。数秒考えていると隣の部屋で寝息が聞こえた。
どうやら夕食を済ませて今日はさっさと寝ることにしたらしい。今日の夕食はなんだろうと母が持ってきた器に入りっているものを見る。
ご飯とニラと何かの肉だ。私は肉の見分けなど出来ない。
「いただきます」とりあえず食べようと箸を持ちご飯を口へ運ぶ。お腹がすいていたのですぐに完食した。
その後風呂に入る。沸かすのは手間がかかるため水のままでいい。なんで風呂に入るために木を焼いて汗をかかなくてはならないんだと思う。ひんやりとした液体が僕を包み込み汗を流してくれる。あまり入っているのは良くないので1分ほどしたら出る。石鹸で体を適当に洗い水で泡を流し出る。すぐさま服を着る。その後歯を磨きすぐさま寝た。
・・・見つからないように慎重に動く。とはいえご朝ごはんと昼ごはんは食べてないし足や手もさっきから痛い。火も少しずつ落ちていく。
ここでバレてしまってはいけない。直感がそう告げる。と、いうよりいけないことである。と薄々分かっているのだ。
そうだこの先にはA地区からの出口があるはずだ。木材が積まれておりその陰に隠れA地区の出口がある。あそこに・・・。
「わぁ」何か感触を感じて私は声を出してしまった。
そこで私は捕まってしまったのだ。真っ白で変な形をした服を着た人に。その人は怒っているというより心配してくれているように、ごちゃごちゃと何か言っていた。内容はよくわからなかったが私の小さな冒険が終わったことが明確となった。
馬車に乗せられ小さな小屋のような場所に連れて行かれ色々と話を聞かされた。しばらくすると母親が来た。普段怒らないのだがこの時は1言だけ厳しく言われビックリした。 その後は少し記憶が飛んでいる。どうしてだろう。多分家に帰るまで私は寝ていたのだ。
目が覚める。また9歳の時に勝手に外に出てA地区から脱出しようとしていたあの時の事を思い出す。今から考えると随分と大胆なことをしようとしたんだなぁと思う。とはいえたった2年前の事である。11の自分がたった2年間などというのは少しおかしいかもしれないが、随分と昔のことのように感じる。
「今日は学意院の日でしょ」母が眠そうに椅子に座っていた自分に声をかける。学意院にいく気がしない。学意院とはいろいろな事を教えてくれる場所である。
・・・顔でも洗うか。そういって椅子から立つとフラッとして壁に頭をぶつけた。ドンッと鈍い音がした。
「大丈夫」朝飯をつくっている母が声をかける。「うん」と適当に答える。眠気で普段感じる痛みが半減しているような気がする。いや別に普段から頭をうっている訳ではない。近頃どういう訳か頭がクラっとして視界がぼやける。母に言うとなにやらFeというものを買ってきてこれを飲みなさいというのだが一向に良くならない。
「これって病気なの」と聞く。「多分貧血だと思うけど」と食器をガチャガチャしていたのをやめてこちらを向く。
「貧血」聞き返すが、その回答は「早く食べないと」という声と時計を見る仕草であった。私は時計を見る。私は朝飯を急いで腹に収め、飛び出るように出発した。
学意院は走って数分のところである。すぐに着いた。とはいえ・・やはり息が・・荒れる。 入口にのそのそと入る。そのとき後ろから「おはよう」と声が聞こえた。