11歳の願い
※部分的に他の作品と似ているかもしれませんが自分では完全オリジナルとして作成しています。
他の作品とかぶらないように頑張って行きたいと思います。更新速度は遅いですがよろしくお願いします。
私の目の前の光景。見たく無かった光景。その時私は知った。否、改めて気付かされたのだ。私はこの柵から脱して行くことはできないのだと。次第に強さを増していく漆黒の絶望の波は、私の中にあった希望という光をすっぽりと飲み込んでしまった。自分がもっと小さな存在であればこの柵をくぐり抜けることができたであろう。私が皆をはるかな高みから見下せるような大きな存在であればここから見える世界へ出ることができるのに。でも出来ない。私は余りにも大きくそして小さいのだ。
私はここで一生を生きるしか無いのだろうか。涙が出そうになるのをこらえながら思う。そうだ無理なのだ私はここから出れずここで死ぬのだ。
この閉塞された世界で。
旧年号歴2030年 人々はある問題に直面していた。ただ、この災害ともいえる問題については私たち人間はきちんと対処法を研究していたという。そのためこの食糧危機問題は大した騒ぎにならずに済んだ。 人口が80億を超えるのは想定の範囲内だったという事である。ただし食料より不足し深刻な出来事があった。水不足であった。生命としてこの世界に存在している以上この水という物資は必要不可欠なものである。
これに対し人々は手を組み唸っていたわけではない。きちんとした対策をとっていたのだ。まずある一定の水準以上の清潔な水を排水用に使用しないことや、汚水を清潔な水として利用できるように洗浄する工場の建造などが行われた。そのため先進国はある一定の水の供給が可能だった訳である。
しかし財政的に苦しいところや技術的に不可能な国は水に飢えた。高額な水を満足に買う事ができず、水不足で苦しんだ。
それを解決すべく先進国の人々は奮闘した。さらに半数以上の国で某国同様一人っ子政策を採用した。 この政策採用から名簿上確かに効果があることが分かった。ただしあくまでも名簿上の数値であった。 闇子という戸籍に登録していない子供が急増した。 もし闇子が見つかれば厳しい罰が課せられることは繰り返し言われたが闇子を持つ家庭は無くなる事なかった。
旧年号歴2050年 名簿上は数が減り78億に減少したが生活必需品の物資の需要にこたえられるようになっているはずにも関わらず需要は増大していく一方であった。明らかに名簿上と現存している人口の数が一致していないのである。
ある国の政府は物資の統一化を行った。皆一緒の供給が受けられるということである。いわゆる共産化の政治へと変わっていったのである。
また食料や水不足が深刻な国は公共施設での盗聴を行った。異分子の弾圧と粛清・思想統制が行われた。そのため暴動などが各国で起こり政権はガラガラと崩れ世界は一気に混乱し始めた。
その最中、世界で3本指に入る国家が破壊の炎を荒廃しきった国々へと送り込んだ。それに反発するように同じく軍事力でそれを制止させようという国家が出てきた。
翌年になると世界中を巻き込む戦争が勃発した。後に第3次世界大戦という人口の99%を消し去る大戦争である。
そしてほとんどの国々は炎に包まれ汚染物質があらゆるところに拡散した。
世界は約3割が陸地で残りの約7割が海であると考えると人間が住める場所は元々広くなかったのだ。しかし人間たちはそれ以上に狭い世界へと自ら改変してしまったのだ。
強欲であろうが強き者を正義とし弱者を悪とする。この世界では太古より繰り返し行われきた殺戮行動であった。この行動も当然の結果であったかもしれない。世界で3割しかない人間の住める国土は減少し10%しかないという。90%はよくわからないが1000年たたないと取れない汚れというものがあるらしい。
一部の人々は安全な場所へと逃れそこで新たな文明を築き上げた。
新年号歴119年 この世界には人間が住める地区が8つあるという。私の国ではそれぞれA地区、B地区、C地区とアルファベットで区分してありG地区でまである。私が済むのはA地区という場所で元大国家の一部であったという。ほかの地区も旧国土の一部であったり、C地区のように一つの国家をほぼそのままくり抜いたような地形であったりバラバラである。この中でF地区というのは世界の最南端に有り大陸一つがそのまま一つの地区として扱われているという。ここよりどんなに広いことであろうか。またそこには白い化物が存在するらしい。私のA地区でも人間ではない動物という生物はは90種が確認されているがそんな生物はいない。
ちなみに1人称が私だけしか遣わないというのもA地区独特の文明らしい。他の地区では私の性別ならば僕や俺などを使ったりするようである。
私はわからない。1000年もこの世界が閉塞されなければならない理由が。村の人立ちが知らない洞窟がある。私が偶然岩の隙間に見つけたちいさな洞窟だ。小さいといっても中は広く、大人が10人入ってもヒ広々と寝れるような場所である。そこから先に進むと柵がある。その向こうは私の知らない世界が広がっているのだ。写真や文章では聞いたことがあったも実物は見たことがないのだ。
この柵を超えたい。しかし出れないのだ。私がもっと小さければこの柵の隙間から出ることができるのに。しかも頑丈で岩出叩いても岩の方が欠けてしまうほどの強靭さである。
ここから出れなければ私はこのA地区しか知らずに一生を終えることになる。決してこのA地区が嫌いなわけではない。お父さんやお母さん、村の人達はすごく優しい。
A地区から出たいと言うと決まって「外には1000年たたないと浄化されない汚れが━━━━」と決まったように言いう。一度A地区から出ようとしたことがあるがそこには巨大な門というより壁があり、変な服装をした人達がいた。私はそこで何かごちゃごちゃと言われ家へと連れ戻されたのだ。
私がもっともっと大きければ押しのけてでも外の世界に行けるのに。しかし洞窟の柵といい、あの壁のような門から私は出れない。ここから出るには私はあまりにも大きくそして小さい存在なのだ。
大きくて小さい体で私はA地区から抜け出すことはできないのか。1人で考えても結論が出ることは未だ無い。
次回「A地区」