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荒唐無稽ビビッドハイスクール!  作者: SAI-X
第十五話『2年生になったら』
87/88

#86


「始業式もホームルームも終わったことだし新1年生たちの顔でも見に行こうぜっ」

「へへっ。賛成」

「私もついてっていい?」

「いいよいいよー。どうせなら一緒に行こうぜ」


 重ね重ね言っている通り、放課後、俺はリョウや神永さんを連れて新1年生たちの顔を見に行くことにした。ちなみにレンはどういうわけか、さっさとおうちに帰ってしまった。何か用事でもあったんだろうな。

 エリカはどうしたかっていうと? ほら、あいつは生徒会の役員だからさ。そのことで忙しいから無理に誘うわけにはいかないんだよ。わかるっしょ?


「あっ、いたいた」

「どこ?」

「ほら、あの子たちだよ」

「おー!」


 やがて、神永さんが新入生らしき人影を発見! 二人いるな。金髪赤眼で外ハネショートヘアーのおてんばそうなきゃわいい女の子と、なんか真面目そうな雰囲気のイケテるメンズのようだ。


「よっ! 君たち新入生?」

「うわ!? そ、そうだけど」


 いきなり陽気にあいさつしてみたら、二人の新入生はやや驚いて体が竦み上がった。ちょっとおどかしすぎちゃったかな?


「ぐえっ」

「こいつが迷惑かけちゃってごめんよ。君たち、名前は?」


 リョウ、何すんだー! この俺を押しのけ神永さんと一緒に新入生たちとの対談をエンジョイするつもりか! ゆ゛る゛さ゛ん゛!


「あたし、高槻千夏! よろしくお願いします!」

「おれ、石山コウキです。よろしくお願いします」


 新入生二人が簡単に自己紹介をしてくれたぞ。女の子は高槻千夏(たかつき ちなつ)ちゃんといい、男の子のほうは石山(いしやま)コウキさんというらしいな。


「高槻さんに石山さんか。オレ、氷室リョウってんだ。よろしくな」

「私は神永さよりって言います。ヨロシクね」

「そして俺は! 刃野マサキ! 趣味はサブカル、よろしくッ!!」


 こっちも自己紹介といきましょうかね。リョウと神永さんはいい笑顔で手堅く行ったから俺は派手に、大げさなポーズ取ってみたよ。これで印象に残ってもらえたら嬉しいぜぃ。


 せっかくだし一緒に校内を歩き回りながら、千夏ちゃんとコウキと話して交友を深めようと俺たちは考えた。


「……先輩たちは部活、何をやられていますか?」

「俺帰宅部だけどー」

「オレも右に同じ」

「私は文芸部! 漫画や小説の研究とかやってるんだよ。コウキくんたちは中学のとき何やってたの?」

「あたしバドミントン!」

「おれは水泳部です。エースにはなれずじまいでしたけど」


 まず部活の話題で盛り上がった。いっけね、何するかまだ決めてなかったわ。この様子じゃ今年もまた帰宅部かねぇ……。


「そうだ、千夏。いろんな『チナツ』がいるけれど、君はどんなタイプ?」

「えっ?」

「かわいい顔して腹黒でグロ趣味? それともノーパンの殺し屋さん? それともアグモン?」

「どっ、どの『チナツ』も当てはまりませんーッ!!」

「ぶっほ!?」


 なんてことだ! 千夏が俺の顔に怒りの鉄拳をかましてきたぞ! いかん。これはいかん。いきなりネタを振りすぎちゃったよ。


「! ごめんなさい、あたしつい」

「あー、気にしないで。こいつこういう風にふざけることあるけど基本いいヤツだから」

「はい!」

「グッジョブ!!」


 ナイスフォローだ、リョウ! でも神永さんとコウキは「こいつ大丈夫かな」って顔してるぞ。これが若気の至りってヤツなのだろうか。後悔――。


「でねー、そのまゆこ先生がめっちゃきれいでかわいいんだよ!」

「2年B組の木ノ本先生ですよね? おれもあの人は美人だと思います!」

「あんなに美人な先生が担任だなんて、刃野先輩たちがうらやましいですよー!」

「まあまあ。コウキたちもいいことあるって、なあマサキ」

「お互い頑張ろうぜ。ねー神永さん」

「まゆちゃん先生の他にもいい先生ばっかりだよ。うふふ」


 それから先生の話題もしてみたけど、まゆこ先生の名前は既に知れ渡っていたようで嬉しい。

 ……ん? 中庭の向かい側から誰かやってきたぞ。片方は背が高くてもう片方は背が低い。


「よう、石山、高槻。こんなところで何やってんだ」

「サトシ!」

「あたしたち、先輩たちと会って話してたんだけど」

「ふーん。ずいぶんと楽しそうだこと」


 ……なんかカンジわりぃなあこいつら。背が高いほうは男で伊達メガネかけてるし、背が低いほうは女の子で髪型はポニテだ。どちらも気が強そうで、あるいは嫌味っぽい。


「君たちも新入生か?」

「そうですけど? 僕は米原(まいばら)サトシ」

「ワタシは唐橋ことねです」

「俺、刃野マサキ」

「氷室リョウだ」

「神永さよりです。よろしくね」


 すさまじく嫌味っぽい二人に自己紹介をしてやると、メガネのサトシはこっちの顔を見るなりメガネを外してしかめっ面で顔を覗き込んできた。


「刃野先輩、もしかしてオタクですか?」

「は? だったら何?」

「きっしょ! キショイ、キショすぎ! こんなオタ臭いヤツが先輩だなんてこっちから願い下げだ」

「なんだと米原!」


 許せんヤツだ。オタクというかサブカルチャーに対してここまで偏見を持っていようとは……。


「安易な萌えキャラに釣られる汚れたブタどもが日本を汚す。男同士の恋愛に興味を示す腐ったブタどもが日本を腐らせる! 刃野先輩のようなオタクが健全な日本をどんどんダメにしていくんだ」

「き、貴様ぁ! こっちが下手に出ればのぼせ上がりやがって!」

「くっさ! 息を吐かないでくださいよ。オタクの匂いがついちゃったじゃねえか!」

「「ぐぬぬうぅ〜〜ッ」」


 くっそ生意気なヤツだぜまったく! サトシめ、サブカルチャーを侮辱したことを後悔させてやる。そうだな、まず手始めに百合かホモなしでは生きられない体にしてやろうか……!


「やめろマサキ!」

「マサキくん落ち着いて!」


 うっ!? リョウに神永さん。どうか止めないでくれ。これはサトシと俺との戦いなんだ。マジなんだ。だから止めないで――。


「か、唐橋やめろ! 離せ!」

「頭を冷やして! こんな奴らと争ってもサトちんの名が穢れるだけよ」

「うっ……」


 お互い仲間に静止されて、振りほどくのもバカバカしくなるくらいまでクールダウンした。バカみたいだよな。本来ならば仲良くするべきなのにこんなしょうもないことでケンカしちゃって。ホントバカみたいだぜ。


「きょ、今日のところは引き上げよう。ですが刃野先輩、これで終わったわけじゃありませんから」

「ぬかせッ」

「この次は必ずギャフンと言わせてやりますからね!」

「だったらその言葉そっくりそのまま返してやる!」


 お互いに、アッカンベー! ってやってからスタコラサッサと退散。気を取り直してかわいいほうの後輩たちと一緒に盛り上がりますた。

 ……あれ? さっきかわいくねぇほうの後輩とケンカしてたときに思ったんだけどさ。なんか漫画みたいな展開になってない? どうしよう。


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