#78
第十四話『暴れた数だけ強くなって、優しさを知ろう』
みなさん、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します!!
――なんて言ってみたけど、そっちはどうかな? 常夏? 涼しい芸術や食欲にスポーツの秋? それともさむーい冬? ひょっとしたら春真っ盛り? どっちにしろ季節感なかったらごめんちゃい。
俺たちはいま、お正月だよ。リョウやレンたちと近くの神社まで初詣に行ってるの。やはりというか幸薄そうな黒っぽいオーラを出しているレンが、なんかいろいろと不憫に見えちゃうな。俺とリョウは平常心保ってるのになんでだろう?
「おっしゃ、中吉! 上々だぜぇ!!」
「末吉か。まぁまぁだな」
初詣といえば? そう、おみくじだな。さっそく引いてみたけれど、俺は中吉。風邪を引かないようにしてくださいとのことだ。他には、お金と時間は大切に……なんて書いてあったな。リョウの場合は、友達は大切にしましょう、周囲の期待を裏切らないようにしましょう――と、おみくじに書いてあったそうだよ。
「レン、お前はなに出たのー?」
「……」
レンももちろん引いていたので、何が出たか訊ねたら固まってた。なんかのショックを受けた影響か苦笑いしてる。まさか、と思ってレンが持ってたおみくじを取ってみたら――。
大 凶 だってさ。
「あ……あー、ドンマイ。ドンマイとしか言いようがないな」
「だ、大凶!? マジかよ……お気の毒になぁ」
「こんなの信じない……認めない……読みたくもない……うううっっっ」
本気で気の毒なレンをよそにこいつが当てた大凶のおみくじを見てみたら――ますます可哀想に思えてきた。まず、書いてあることがムチャクチャだ。しかも理不尽だ。そしてこんなの引かされて本当に哀れだ。
「……えーと、蹴られて地獄に落とされるかもしれないので馬には十分注意しましょう。腐った饅頭を間違って食べないように気をつけてください。もしあなたが物事を損得で判断するような人であったら今すぐに考えを変えましょう。そのままではあなたに味方してくれる人は最終的に誰もいなくなってしまいます。気をつけないとあなたは将来不幸になってしまうので、半端な覚悟で誰かと付き合っているなら今すぐに――」
「読むなァァァァ!!」
「ウワアア〜〜〜〜ッ!!」
ブチギレ寸前、いや既にキレていたレンが何を思ったか雄叫び上げて俺から大凶のおみくじを奪い返した! マジびくったぞ、一瞬心臓止まるかと――。
「あ、あのさあレン……確かに嫌なことばっか書いてたけど最後のほうはむしろアドバイスになってたと思うぜ。だからそう怒んなって、な?」
「あ……そ、そうか。そうだよね! 僕、生きる希望が沸いてきたよ!」
リョウは普段はクールでスカしてるけど根はいいヤツなんだ。でなきゃ、今みたいにフォローなんか入れないしな。おかげでレンはすぐに立ち直って明るく元気になった。
「しっかし中吉かぁ。この前は小吉だったけど日によって違うもんなんだなぁ」
「ちょ……マサキ、それどういうことだ?」
「教えろよー!」
「実はね、こないだ家族で初詣行ってきたの。今年二度目ってわけよ」
……おみくじを二度引いた。そう言ってみたら二人ともメチャクチャ驚いた。むしろ、ドン引きされたかも――。