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荒唐無稽ビビッドハイスクール!  作者: SAI-X
第十三話『メリークルシミマス!』
72/88

#71


 ――麗しのお嬢様とご一緒。しかもそれだけでなく、そのお嬢様は生徒会長にして戦国時代の武士を祖先とする家系に生まれた三ノ宮ユカさん。ナイスバディで強気だが礼儀正しく優しいお方。俄然テンションも上がるってもんだ。粗相の無いようにしなくてはなるまい! ということで早速、街中を歩いてみよう。


「いつもと同じ街並みだけど、なんだか今日は違って見えるなぁ」

「それは私とご一緒だから、でしょうか?」

「そうですね! ちゅうことで今日は存分に楽しみましょう」

「はい」


 今回の企画を立てたのは俺だけど、かーなーり楽しめそうだ。イブもクリスマスも、思いっきり遊んで楽しむぜぃ。


「まず、どこに行きましょうか?」

「ゲーセンとかどうですか?」

「ゲーセンというと、ゲームセンターのことですか? 私はあまり行ったことないですね」


 困った笑顔で三ノ宮さんはそう教えてくれた。そうか、女子高生とはいえどもお嬢様だもんな。そういう俗っぽいところにはあまり行ったことが無くてもしょうがないか。


「……じゃ、ゲーセン行ってみます?」

「いいですね! けど刃野さん、お金の方は大丈夫かしら?」

「いま確認しますっ!」


 ――お金。そう、ゲーセンで遊ぶにはお金がいる。お金をメダルに替えて遊んだりとか、百円玉を直接筐体に入れて遊んだりするのに必要なんだよね。財布の中を確認したけど、諭吉が一枚、千円札二枚。小銭がなんぼかゴロゴロしてます。


「いけますっ! 前もってお母さんにリア充ごっこのこと話して、多めにお小遣いもらったんで!!」

「そうですか。では、遊びに行きましょう」


 そんなわけで。三ノ宮お嬢様と一緒にクリスマスらしい曲が流れている街の中を歩いて、少し大きなゲーセンへ入ってみた。外と同じでこっちもクリスマスムード一色だ。壁に飾り付けられたリースに装飾がきらびやかなクリスマスツリー。店員もサンタさんの格好してるな。


「こっちもクリスマスらしい雰囲気ですわね」

「クリスマスん時ってどこもこんな感じなんですよね。にぎやかでいいことですっ!」

「元々アミューズメント施設なのもありますから、余計に楽しくなってしまいますね!」


 やだ、俺たちまだ遊んでないのにもう盛り上がっちゃってるよ。何か面白そうなのないかなぁ。入口からちょっと奥に行ったところで見渡して、っと――。


「んー、何がいいかな」

「……あの」

「三ノ宮さん、どうしました?」


 振り向いてみれば、三ノ宮さんは何かを指差しながら興味津々な表情をしていた。やたら目を輝かせていてかわいかったので、指の方向を見てみたら――なんとそれはUFOキャッチャー。


「私、まずはあれで遊んでみたいです!」

「オッケー、やっちゃえやっちゃえ!」


 二人で遊ぶUFOキャッチャーとはなんと楽しそうなんだろう!


「まずお金を入れてみましょう。こういうのはだいたい百円玉を入れたら遊べて、これは景品をクレーンでキャッチして運んで……」

「いえ、それは知ってます」

「失礼しました。じゃ、どの景品がお望みで?」

「私、あのパンダが欲しいわ!」

「パンダのパンくんか……よしっ、でかいけどやっちゃる!」


 なんて楽しくやりとりをかわしながら早速遊んでみたけど、やはり思ったように上手くはいかない。パンダのパンくんのぬいぐるみが欲しいという三ノ宮さんの願いを叶えるべく、二人で力を合わせて頑張った。


「掴んだわ! 今度こそ手に入れて見せます!」

「いけいけっ!」

「あっ! 引っ掛かってしまいました」

「オォウ……」


 何回やっても落としてしまう理不尽さとも戦った! その結果は――。


「やったぁ!!」

「パンくんかわいいです、私のためにわざわざ取ってくださってありがとうございます!」

「いえいえ、これも三ノ宮さんと僕たちが手を取り合ったお陰です!」

「はいっ」


 パンくんのぬいぐるみ抱きかかえて喜ぶ三ノ宮さんってば超かわいい。真面目で規律に厳しくて近寄りがたいオーラを放つ孤高の女王様ってイメージがあったけど、やっぱり中身は年頃の女の子なんだな。ぬいぐるみ持ったままお辞儀もするなんて本当にかわいい。


「おらっ、パンチだ! キックだ! チョップも食らえー!!」

「か、かわして! 防いで! は、反撃……って、私負けちゃったぁ!?」

「へへっ、やりぃ!」


 お次は格闘ゲームで対戦だ。あんまり上手い方じゃないんだけどゲームはほぼやったことない三ノ宮さんに勝ってしまった。俺にも意地がある。勉強は置いといて、ゲームに関しては譲れないなあ。とくに格ゲーではガチ勢って奴を目指してみたい。


「おっし、ここでショートカットだ!」

「む、お車なら負けませんわよ!」


 その次はレースゲームで勝負だ! 最初は俺が勝ったけど、だんだん追い抜かれて最終的には負けちゃった。三ノ宮さんのドライビングテクニックはすごかった。実はレーサー志望とかだったりして……いや、それは無いな。多分。


「わっ、早い!」

「追いつけません〜!」


 そのあとはダンスゲームやったり、太鼓叩いてもう一回叩いたり。あと、プリクラ撮ったりもした。笑った顔も負けず嫌いな顔もすべてかわいらしい。プリクラではむすっとした顔してたけどきっと内心は満面の笑みだったんだろうな。そう信じてるよ。


「はぁーー、疲れた〜」

「私もです」


 一通り遊んだので休憩。俺も三ノ宮さんも左手にはゲーム景品と、右手にはドリンクを持っている。どっちもコーラだ。


「ねえ、コーラでよかった?」

「ええ。お茶も好きですけど、私だってたまにはジュース飲みたいですし」

「それはよかった。ところで、おなか空いてませんか?」

「私はまだ……刃野さんは?」

「ペコペコでっす!」


 三ノ宮さんが暖かく微笑む。と、そこで彼女の腹の虫が鳴った。


「……いま何時でしたか?」

「えーっと、あ、もう12時前だ」

「早いんですね。さっきここに遊びに来たばかりなのに」


 首を傾げて感慨深そうに言う三ノ宮さん。友達と何度か遊んだことがあるタイプだと思ったんだけどそうでもないのかな。どっちにしろかわいらしいけどな。


「……お昼、どこで食べます?」

「そうね、せっかくですし歩き回ってから決めましょう!」

「よしきたっ! そうしましょう!!」


 さあて、お昼はどこにしようかな。街を散策しながらゆっくり考えるとしましょう。


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